軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第5話

「そうなのか? それにしても……凄い数の剣じゃないか。これ今日作ったのか?」

俺の近くの箱には十本ほどの剣が入っていた。

リガードさんの驚いたような顔に苦笑とともに頷く。

「そうですね……ただ、あまり納得のいくできではないんですけどね……」

以前、リガードさんに作ったときのような剣の出来ではない。

あの時は、もっと集中できていたし、リガードさんのためにもという気持ちが十分にあった。

その気持ちがそのまま魔鉄に伝わり、剣を打つことができていた。

今だって、よりよい品を作りたいという気持ちがあったのだが、どうにも集中しきれていないんだよな。

「いやいや……これ、かなりいいだろう。兵士たちに持たせたら大喜びされるはずだぞ」

「……そうですかね」

どうだろうか。

リガードさんの言葉は嬉しいものであるが、今の自分は納得しきれていない。

リガードさんはいくつかの剣を眺めた後、部屋の隅に置かれていた椅子を引っ張ってきて座る。

足を組んだリガードさんは、微笑とともにこちらを見てきた。

「なんだか、切羽詰まったような顔じゃないか。何か問題でもあったのか?」

「……え? そ、そんな顔していますか?」

もちろん剣を作るために悩んではいたが、切羽詰まったような顔とは少し違うはずだ。

困惑とともに問いかけると、リガードさんは冗談めかした様子で笑う。

「ああ。なんだか焦りを感じるな。オレもよく鏡を見るとそんな顔になっているからわかるぞ」

リガードさんは自慢げに腕を組んでいるが、それは自慢できることではないだろう。

リガードさんの言葉に苦笑しながら、近くに置かれたままの剣を見る。

ちょうど先ほど作り終えた剣だ。エンチャントも施されたその剣の表面には、俺の顔が写っていた。

……確かに、いつもよりは元気がなさそうに見える。

原因は分かっている。それをリガードさんに話すべきか迷いながら、口を開いた。

「ちょっと、不安がありまして」

「不安か? 話せる内容なら、聞こうか? 人に話すことで解決することもあるだろうしな」

悩んでいることは結婚式についてだ。

アリシアの婚約者として頑張ってきたが、まだ自分の鍛冶の腕には未熟な部分もある。

今だって少し悩みを抱えただけで、いつもよりも質が落ちてしまっている。

アリシアの夫になるのなら、今以上に安定して、高品質の武器を作れるようにならなければならないだろう。

この悩みをリガードさんにしてしまっていいのだろうか……。

少し考えてしまったが、それでもリガードさんなら話しても悪いようにはならないはずだ。

このまま一人で抱えるよりはずっといいと思う。

「結婚式についてなんですけど……まだやっぱりちょっと悩んでしまっていて」

俺の言葉にぴくりとリガードさんの眉尻が上がる。

「悩む? あっ、わかったぞ。アリシアが怖いということだな?」

「いえ、そんなことありません。ただ、まだ……鍛冶師としての腕に未熟な部分もあるので、今バーナスト家に入ってもいいのかと思いまして」

「か、鍛冶師の……腕に……?」

「はい……。もちろん、それなりに良いものが作れているというのは、皆さんに言ってもらっていますから、たぶんそうなんだとは思います。でも、自分の実力にはムラがあって、今も悩んでいるだけでかなり質が落ちてしまっていますし……この不安定さを抱えたままでいいのかと思いまして」

リガードさんはちらと俺の作った剣を見て、頬を引くつかせていた。

リガードさんの反応に首を傾げていると、彼はゆっくりと口を開く。

「つまり、鍛冶の腕が不安で、それで結婚はまだ早いんじゃないかって悩んでいるんだよな?」

「……そうですね」

リガードさんは背もたれに体重を預けるように深く腰掛けると、それからゆっくりと口を開いた。

「それは問題だな……アリシアと結婚して、オレの仕事を引き継いでくれる約束があっただろう?」

「そんな約束していません。シーフィさんと一緒に頑張っていってください」

ちゃっかり仕事を押し付けてこようとするリガードさんの提案を丁重に断ると、リガードさんは冗談っぽく頬を膨らませる。

「むぅ、それはまたあとで考えるとして……少なくともオレは今のフェイクに問題はないと思っているがな。それは親父も同じなんじゃないか?」

「……そう、だとは思います」

そうでなければ、婚約者、結婚へという過程を踏むことはなかっただろう。

「はっきりというが、ここにある剣のレベルなら問題ないとは思うが」

「……そうですかね? あまり集中できていないままに作ったものなので、不安です」

「その状態でこれだけのものができているのなら、なお問題ないと思うが」

……今回は一兵士の武器だから、まだ良いのだと思う。