軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

71.最強の盾【物理】

「なるほど」

どんな魔法なのか、どうやって使うのか。

それを読み取るのは、今までの魔導書やマジックペディアと何も変わらなかった。

だから、一瞬で読み取れた。

『わかったのか』

「ああ」

『なら、やってみるといい』

俺は頷き、その魔法を少しでも早くマスターするために、同時魔法数19をフルに使って、発動させようとした。

その瞬間、空間から多数の丸い物体が現われた。

青色をした、拳くらいのサイズの丸い物体で、空中にふわふわ浮いている。

まるでシャボン玉だ。

そのシャボン玉は、ゆっくりとこっちに近づいてきた。

「なんだあれは」

『……』

ラードーンは答えなかった。

故に俺は警戒を強めた。

ふわふわと飛んでくるそれを、身構えつつそっと指先で触れた。

触れた瞬間、パチン、とこれまたシャボン玉のように弾けて割れた。

割れただけで、体にダメージが来るような事はなかった。

――が。

「魔法が……キャンセルされてる?」

『その通りだ』

ラードーンがあっさり認めた。

シャボン玉に触れた途端、俺が同時に発動している19の魔法はすべて消えた。

同時に、他のシャボン玉も消えた。

「……」

詳細が知りたい。

今度は新しい魔法を、1ラインだけ発動。

すると、また同じようにシャボン玉が多数現われて、ふわふわとんできた。

今度は少しだけ大胆に触ってみた。

ハエを追い払うくらいのアクションで、シャボン玉を払う。

触れた瞬間、さっきと同じように弾けて、同じように魔法がキャンセルされて、他のシャボン玉が消えた。

更にテストをする。

初級神聖魔法オールクリア、初級火炎魔法ファイヤボール――。

様々な魔法を使ってみたが。

シャボン玉は出てこなかった。

「つまり、 ここ(、、) の魔法を練習しようとすると邪魔しに出てくるわけだ」

『そういうことだな』

「……なら」

俺は再度魔法を発動した。

そして、邪魔するシャボン玉がでてきた途端、テレポートで脱出。

「ダメか」

地上――真上に飛んだのだが、魔法はキャンセルされる。

再びテレポートで戻る。

シャボン玉が無い状態で再発動、今度はアナザーワールドを使って、その中に入る。

「これもダメか」

魔法はやっぱりキャンセルされた。

『あの空間自体が古代の記憶だ』

「マスターするまでは魔導書手放せないもんな……」

やっかいだが、納得と言えば納得だ。

俺はアナザーワールドからでた。

あのシャボン玉を何とかしなきゃいけない。

一旦地上に出てから、再び戻ってくる。

魔法を使う、シャボン玉を出す。

シャボン玉に向かって、地上で拾ってきた石を投げつけた。

ふわふわと浮いているシャボン玉、吹けばとぶようなはかなさに見えて、ブドウくらいはあるそこそこの石を投げて当てても割れなかった。

はじかれたシャボン玉は、俺に向かってふわふわと飛んでくる。

「マジックミサイル」

魔法を使って、シャボン玉をうった。

撃たれたシャボン玉ははじけ飛んだ――が、倍に増えた。

一つが割れて、二つになった。

「物理無効、魔法は吸収増殖、か」

『うむ。それをかいくぐって、魔法をマスターしていく――という試練だ』

「なるほどな」

『ちなみに、時間経過でもふえていくのでそのつもりでな』

「……いやだけど納得だよ」

俺は納得した。

ラードーンが直前に「試練」って言ってたから、そうなる事は思いっきり納得した。

魔法は最初時間がかかる。

それを邪魔するのに、時間経過とともにやっかいさが上がっていくのはものすごく納得だ。

『通常は、いかに魔力が高かろうとも、それに依存することなく、体術なども鍛える――というコンセプトだ』

「なるほど」

『ふふ、お前なら問題ないだろう。同時魔法が使えるのだ。地道に一ラインでここの魔法を、他のラインで迎撃に回せば、楽にマスターできるだろう』

「……いや、もっと良い方法がある」

ラードーンが示した攻略法にただ乗っかるだけじゃなく、その上をいく攻略法を思いついた。

『ほう?』

ラードーンは興味津々、って感じで俺の出方を見ていた。

「契約召喚:リアム」

俺は、自分の幻影を召喚した。

「任せた」

「任された」

自分の幻影と頷きあって、俺は新しい魔法の練習を始めた。

19ライン。

1つを契約召喚に、のこった18を新しい魔法にまわす。

あおいシャボン玉が多数出てきた。

それを、俺の幻影が19連パワーミサイルで撃ち抜く。

パワーミサイルに撃たれたシャボン玉は弾けて分裂したが、はじけ飛んだ分、押し出されて距離を離された。

向かってきたシャボン玉を幻影が押し返す。

分裂したり、途中からふえたりして、数が徐々に増えていく。

幻影はそれを19連同時魔法で押し返し続けた。

途中から任せてもいいと思った俺は、新しい魔法の発動に専念する。

最初の発動まで――一時間。

幻影が稼いだ一時間で、俺は魔法を発動した。

「アブソリュート・フォース・シールド」

解き放つと、目の前に透明の盾が18個一気に現われた。

「どうだ?」

「多分、5分くらいまで縮んだ。18回の発動で」

「5分か、余裕だな」

「頼む」

俺は更に18回始めた。

5分後、一気に発動して――マスターした。

アブソリュート・フォース・シールド。

この空間のシャボン玉と同じ性質を持つ。

一回だけなら、あらゆる物理攻撃を無効化する防御の魔法だった。