軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

370.魔剣リアム

「うむ? 魔剣という名前がきにくわんか? 魔王ゆかりだしそもそも魔剣を使っていたからそうつけただけなのだが」

「えっと……」

「『リアム』以外は正直なんでもよいぞ。剣の名前がシンプルに『リアム』というのもありといえばありだ」

「……ああっ!」

一瞬だけ考えて、俺はハッと理解した。

ラードーンの言葉があまりにも迷いがなくて、つまりははっきりとしたビジョンがあるということ。

そして――。

「いまの説明だけでおわかりになりまして?」

契約シーラが困惑顔で聞いてきた。

俺はフッと微笑み、答えた。

「ラードーンの説明が少ないってことは説明しなくても俺が分かる事、つまり魔法の事なんだろうって分かる。それがわかったら答えは一瞬だ」

「こいつに魔法以外のことは期待せんよ。何より――」

ラードーンはそういい、ニヤッ、と「わざとらしい」いたずらっぽい笑みを浮かべる。

「――本人がそれを望んでいないしな」

「はは、そうだな」

「……神竜ラードーンにそこまで信頼を寄せられているのはすごいですわね」

「魔法に限って言えば人の領域を大きく超越しているのだからそうもなろう」

「率直に羨ましいですわね。自分がもっとも大事だと思うものを高く評価されるのは」

「ふふっ」

「なんですの?」

「いやなに、隣の芝生は青いというヤツだ」

「……?」

「きにするな。それよりも理解したのならあとは任せた」

「ああ」

頷き、応じると、ラードーンは再び俺の中にもどった。

無言の気配でいつもの完全静観モードにもどった事を理解すると、俺は契約シーラに向き直る。

「まずはどういう剣が――ああいや、見た目はどうでもいいか、まずは試作品をつくってみるか」

「そうですわね」

頷く契約シーラに、俺は【アイテムボックス】を呼び出して、この前作ったばかりの合金を取り出した。

俺の「魂の大きさ」の話が優先されて後回しにした、依り代になる新たな合金。

「それはなんですの?」

「デュポーンとピュトーンのために作ったものだ。もしかしたらラードーンみたいに依り代があったほうがいいと思うかもしれないけど、確実に三人――いや二人でも 同じ場所(俺の中) なのは嫌だろうってことで作ったんだ」

「そうでしたの」

「で、これを使って、剣を作る」

「ええ」

「その中に――【盟約召喚:リアム】」

説明するために、実際に魔法を唱えた。

瞬間、俺とまったく同じ姿形をしたもう一人の俺、分身の俺を呼びだした。

「あなたの分身ですのね」

「ああ。シーラの契約召喚とちがう、盟約召喚の方だ」

「盟約召喚……たしか、力の出所は同じだという……」

「そうだ」

俺ははっきりとうなずいた。

【契約召喚】をベースに作った【盟約召喚】。

最初は【契約召喚】の進化形というか、上位版というか、そういう感じで新しく作った魔法だが、実際につかってみて完全に上位版というわけじゃなくて使い方次第では善し悪しがあるという事がはっきりとした二つの魔法。

「【契約召喚】だと唱えた時の魔力以上の事は出来ない、そのかわり召喚体に何があっても、あるいは本体になにが起きても相互に干渉はおきない」

「【盟約召喚】は力の出所が一つ、どっちかでも目一杯使ってしまうと両方が 息切れ(、、、) してしまう、という事でしたわね」

「そうだ」

「今回のは【盟約召喚】の方をつかうんですの?」

「ああ――これを」

「ああ」

俺はもう一人の俺――盟約リアムに合金を渡した。

盟約リアムが合金をもって、だまったまま契約シーラをみる。

「あれを剣の形にして、盟約召喚の俺を憑依させる。そうすると意志を持ったインテリジェンスソード――ラードーンでいう魔剣になる。そしてその力は――」

「常に、あなたそのもの」

契約シーラは目を見開いたままいった。

話を理解して、それで驚いていた。

「常に魔王の力を使える、魔剣リアム。これを作るというのはラードーンに言われてわかったが、それがどうなるのかは正直ピンときていない」

そういいながら、契約シーラを見つめる。

「どう思う?」と答えを求める視線だ。

ラードーンが俺の中にもどって、気配からして完全に傍観モードになっている理由はもうひとつある。

俺は魔法の事がわかる、何を作ればいいのかすぐにピンときた。

それがどうなるのかわからない――が。

契約シーラ――シーラには分かる。

そう、ラードーンが評価しているだろうとおもった。

なぜなら俺は分からない、そしてラードーンは説明する気はない。

なら、シーラが理解して説明するだろうと思った。

それは正解だった。

「人間が震え上がることでしょうね」

「そうなの」

「ええ、あなたに対する恐れがそのままわたくしにもむけられますわね」

「ならつくるしかないな」

「せっかくだからオーダーを一つよろしくて?」

「オーダー?」

「ええ、魔剣リアムを握って――抜いて戦う際はわたくしの姿がある程度変貌するような仕掛けを」

「……ふむ」

「髪と瞳の色が変わるだけで充分ですわ。魔剣の力に吞み込まれた人間、という演出ですわ」

「なるほど」

「可能でして?」

「簡単だよ」

それくらいなら、と俺はおうじた。

そのまま契約シーラにもう少し意見を聞いて、オーダーを受けて。

魔剣リアムの事をつめていった。