軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

347.リアムクエスト

契約シーラは気づけば森の中にいた。

リアムの言う通りにした結果、光に包まれて、室内にいたのが見知らぬ森の中にいた。

困惑するシーラは森の中を見回した。

「森……ですの?」

疑念が湧き起る。

パッと見変哲のない森のようだが、契約シーラは拭いきれない、そこはかとない違和感を感じてしまう。

「……ああ、何も気配がないのですわね」

感覚でその事を掴んで、つぶやき、違和感の出所に納得する契約シーラ。

契約シーラはシーラの召喚体、知識や感覚は本人とほとんどおなじだ。

本体であるシーラがもつのと同じ感覚で契約シーラは森に気配がない――他に生命体がいないことを感じ取った。

森は本来、様々な気配にあふれる場所だ。

鳥や獣や様々な虫など、およそこの世でもっとも「気配」が無軌道に密集している場所といっていい。

その森に何も気配はなかった。

「ただの森ではありませんわね……さて、彼のもくろみは何かしら」

契約シーラの表情に余裕が出来て、笑みが顔にうかんだ。

目の前の状況そして自分がいる場所が経験したことのない不自然さだと分かっただが、それを企みそして誘い込んだのがリアムだとしっているから、契約シーラには焦りも不安もなかった。

あるのはむしろ期待感だった。

「とりあえず……道なりにいってみますわ」

そういって、契約シーラは歩き出した。

森の中の獣道を、宣言した通りの道なりに歩き出した。

そうしている間も気配に意識を配り続けたが、移動を続けてもやはり気配のようなものは一切感じ取る事ができなかった。

そうこうしているうちに、目の前に一匹のウサギが現われた。

ウサギは茂みから飛び出して、契約シーラの前に立って彼女を見あげた。

「ウサギ……にしてはこれも気配がありませんわね……」

獣にも気配があるはずで、それがない事で契約シーラは警戒を切らさなかった――が。

次の瞬間。

『助けてください旅の人』

「あら、喋りましたわ」

契約シーラは少しばかり驚いた。

飛び出してきたウサギが喋ったことに驚いた。

とはいえ彼女もそれなりに人生経験があり、リアムとのつながりで様々な魔物を知っている女。

ウサギが喋ったところで「少しばかり驚いた」程度で済んだ。

「あなたは何者ですの?」

『助けてください旅の人』

「あら?」

契約シーラは少しばかり引っかかりを覚えたが、とりあえず話を聞くことにした。

「助けるって何をですの?」

『おじい様が悪い魔物につかまったんです。お願いします旅の人、おじい様を助け出してください』

「悪い魔物? それはなんですの?」

『助けてください旅の人』

「あら……これは……」

いよいよ引っかかりが本格的な違和感になった。

同じ言葉を三回目口にするウサギ。

会話が成立していない、という違和感が契約シーラを襲う。

「あなたは何者ですの?」

『助けてください旅の人』

「ここはどこですの?」

『助けてください旅の人』

「わたくしの事をしっていて?」

『助けてください旅の人』

「……助けるって、何をですの?」

『おじい様が悪い魔物につかまったんです。お願いします旅の人、おじい様を助け出してください』

「あらあら……ふうむ……」

契約シーラは考え込んだ。

明らかに会話が成り立っていなくて、特定の言葉をかけないと会話が先に進まない。

これはどういう事なのだろうかと頭の中で考えながら、会話の「正解」を探っていった。

「どう助ければいいんですの?」

『魔法です』

「あら!」

これか、と契約シーラは思った。

ここでリアムが絡んでいそうな――いや、間違いなく絡んでいるであろうキーワードがでてきた。

魔法。

リアムとは切っても切れない関係をもつ言葉だ。

『この魔導書でファイヤボールを覚えてください。おじい様をさらった魔物はファイヤボールを当てれば倒せます』

「なるほど……そういうことですのね」

ここでようやく話の全貌が理解できて、契約シーラはにやり、と口角を持ち上げた。

宮殿の応接間で、俺一人っきり。

俺はソファーに座って、テーブルの上に置かれている本をじっと見つめていた。

本は開かれていて、綴じ代の部分を中心に魔法陣が広がっている。

開かれている本をじっと見つめて、じっと待った。

一時間くらい待ったところで、魔法陣が光って、上に向かって光の柱が立ち上った。

その光の柱の中から契約シーラが現われた。

「お帰り、どうだった?」

「発想はすごいですわ。ですが」

「ですが?」

「ファイヤボールで魔竜と呼ばれる魔物を一撃で倒すのはいかがなものでしょう。これをつくったあなたの魔法はすごいですが、物書きの才能はありませんわね」

「ああ、それは知ってる」

契約シーラの突っ込み、そしてからかいに俺は笑って返事をした。

それは当たり前のこと、出来ないのは知っていて、適当にやったところだ。

「倒したってことは大体成功したってことだな」

「ええ、本の中に異世界を用意して、中に入り込んで用意された課題をクリアするための魔法を覚える――すごい発想ですわ」

実際に体験した契約シーラに褒められて、この方法は行けそうだと俺は確信をもった。