軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

213.全軍出撃

「神竜様!?」

「触るな!!」

「!?」

一瞬のうちに倒れた三人。

三人ともに顔色が紙のように白くなって、息も絶え絶えになってる。

神竜を崇拝しているスカーレットが慌てて駆け寄ろうとしたが、砂時計には一切触れない方がいいと判断した俺は、大声を上げてスカーレットを制止した。

「あ、主様?」

「それに触るな……外部の刺激でどうなるのか分からない」

「は、はい……」

ビクッとして、後ずさりするスカーレット。

俺は顔を強ばらせながら三人に近づき、砂時計をじっと見つめる。

砂は落ちていた。

ザ・砂時計って感じで落ちている。

「即死じゃないだけマシか……」

「そうなのですか?」

驚き、食いつくほどの勢いで聞いてくるスカーレット。

俺は頷き、砂時計を見つめたまま答える。

「即死ならこんな砂時計が出てくる意味はない」

「な、なるほど。たしかにおっしゃる通り……」

「もっとも、落ちれば落ちるほど症状が悪化する、というのはなくはないが」

「うっ」

息を飲むスカーレット。

神竜への崇拝が、今は不安と焦りにそのまま変わっていた。

一方で、俺は落ち着いたまま、砂時計を観察した。

ラードーンの砂時計をみて、デュポーンの砂時計をみて、ピュトーンの砂時計をみる。

三人の砂時計を交互に、じっくり見比べた。

不思議と、頭は冴え渡っていた。

ラードーン、デュポーン、ピュトーンらが一斉に倒れるというものすごい状況だから逆に冷静になったのか、あるいは――

「ラードーンのおかげかもな」

目の前の光景が、どう見ても魔法による攻撃だから、なんとかなりそうに思えるからか。

ラードーンはいつも、俺は魔法のことならばといってくれた。

俺の魔法への感覚はラードーンの折り紙付きだ、ということになる。

だったらどうにかなる、じっくり観察すれば何が起きているのか分かる。

ラードーンのおかげで、俺は意外なくらい落ち着いていた。

頭の 一部(、、) が冷静なまま、砂時計を観察したままスカーレットに言う。

「スカーレット、使節団を拘束しろ」

「――はっ!」

「尋問――いや拷問にかけてもいい、知ってることを洗いざらい吐かせろ」

「直ちに!」

スカーレットはパッと振り向き、部屋から飛び出していった。

最後にちらっと見えた表情は怒りの、般若の形相そのものだった。

あっちはスカーレットに任せよう。

拷問とか尋問に関して言えば俺よりも遙かに知識があるし、神竜を こうした(、、、、) 相手をスカーレットは容赦はしないだろう。

だからあっちは任せる。

任せて、俺は砂時計――ドラゴンスレイヤーの分析に専念した。

「これは……本人の魔力か?」

落ち続ける砂を見ていると、何となくそう思った。

そして感じたものを念頭に更に見つめると、それを確信した。

落ちている砂は、本人の魔力そのものだって確信した。

『その通り』

「むっ? だれだ」

急に思考に割って入るような声、俺は慌ててまわりを見回した。

しかしだれもいなかった。

『デュポーンよ、前世のね』

「デュポーン?」

パッとデュポーンの方をみた。

彼女はベッドの上に倒れたままで、顔色が紙のように白くなっている。

側に デュポーン(、、、、、) がでてきているのかといえば、そういうわけでもない。

『ごめんね、今はこの声を届けるのが精一杯なの』

「そうか」

『これもいつまでも続かないから、要点だけ教える』

「ああ」

俺は小さく、はっきりと頷いた。

最低限の相づちだ。

『これはドラゴンスレイヤー、あたしらを殺すために特化した魔法。まあ、実際に喰らったことがあるのは あたし(、、、) だけだけど』

「……それでラードーンはドラゴンスレイヤーのことをしらなかったのか」

『そういうこと。ついでにいうとあたしはこれで死んだから、他の二人に比べて一回多く転生してる』

「――っ! そうか」

『で、察しの通り砂が落ちればあたしらは死ぬ。猶予は約三日間』

「猶予って言ったな。どうすればいい」

『わからない』

「分からない?」

『知ってたらあたしは死んでない』

「むっ……」

知ってたら死んでない……この上なく説得力のある言葉だった。

「じゃあどうすればいい?」

『この魔法は単独で動いてない、魔力を辿って』

「魔力……」

デュポーンに言われた俺は意識を集中して、魔力を辿る。

すると……感じる。

三人からでている魔力が、ものすごい長い糸のように同じ一点に向かっているのを。

俺は窓から飛び出して、更に魔力を感じた。

空に飛び上がって、更に感じ取った。

すると、魔力が遙か先――国境を軽く越えた先に繋がっているのが分かった。

国境の先――パルタ公国に向かっていた。

俺はゆっくりと地上に戻り、部屋に戻った。

そこにレイナが飛び込んできた。

「ご主人様!」

「レイナか、丁度いいところに来た」

「これは……何なりとご命令を」

やはり衝撃的な光景なのか、レイナは倒れている三人を見て、一瞬で厳しい表情が更に厳しくなった。

そして、真顔で俺の指示を仰いできた。

「全軍、出撃だ」