軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

161.懸賞金ランキング

次の日、何となく街中をぶらついていると、魔物たちが集まって、盛り上がっているのが見えた。

何か面白い事があったのかな、と、そう思いつつ近づいていく。

すると、中心にガイとクリスがいて、他の魔物達がそれを称えている、という構図が見えた。

ガイとクリスは大いばりしている。

「どうした、楽しそうだな」

「あっ、ご主人様!」

「これは主。視察でござるか」

ガイとクリス、それに他の魔物達は一斉に俺を見つめ、好意的な眼差しを向けてきた。

「いや、ただの散歩だ。それよりも珍しいな、二人がそんな風に仲良さげにしてるの」

「ふふっ、今日くらいは褒めてあげてもいいかなって」

「うむ、イノシシ女にしてはよくやったでござる」

「よくやった? 脳筋のくせになにその上から目線」

「イノシシ女こそ今日くらいとは何様のつもりでござるか」

「なにを-」

「やるでござるか!」

おいおい……。

直前まで和やかだったのになんでいきなりそうなる。

いやまあ、それもまた二人らしいっちゃらしいんだが。

まあそれはともかくとして。

「はいはい、そこでストップ」

「うっ」

「あ、主の命令なら仕方ないでござる」

俺が間に入って、二人のいがみ合いを止めた。

「それよりもなにがあったんだ? 互いによくやったみたいな話をしてたけど」

「おお、そうでござる。聞いてくれでござる主」

「脳筋と一緒に生意気クソ野郎の街を殲滅してきたんだ」

「生意気クソ野郎?」

誰の事だ?

と、俺が首をかしげていると。

「主の兄でござる」

「アルブレビト?」

「そそ、そいつの街」

「なんでまた」

「だって、あいつご主人様に向かって失礼だったじゃん」

「しかも、捨て台詞に恫喝していったでござる」

「ああ」

そうだったな。

「敵対する勢力を放っておく必要はないでござる。いつかリベンジするというのなら、その前に潰したほうが良いでござる」

「って、あたしも考えてつけていったら生意気クソ野郎の街の前で脳筋とばったり会ってさ」

「イノシシ女と考えてた事は一緒だったでござる。だから二人で街を滅ぼしてきたでござるよ」

「おいおい……」

二人はさらっと話しているけど、それってかなりの大事なんじゃないのか?

「殲滅って、具体的には?」

「安心して、脳筋はガチ殲滅しようって言ってたけど、あたしが止めたから」

「止めた?」

「うん、いわゆる冒険者とか、戦闘員だけ殲滅しといた」

「イノシシ女に指摘されるのは癪でござったが、主ならそういうだろうと納得したでござる。女子供は脅かしただけで済ませたでござる」

「あぁ……そう」

だけ、っていうのかなそれ。

「ついでに跡地に塩も撒いてきたよ」

「塩、なんでまた」

「レイナに聞いたんだけど、塩を撒くと街が死ぬって」

「……?」

どういう事だそれは。

『塩害というやつだ』

「どういう事だラードーン」

俺が首をかしげていると、ラードーンが頭の中で説明してきた。

『土地に塩を撒けば、年単位で草木一本生えない不毛の地になる』

「そうなのか……って」

俺は苦笑いした。

逃げていくアルブレビトを追跡して街を殲滅したガイとクリスよりも、さらっと塩を撒くようにアドバイスしたレイナの方がエグくないか?

『性格の違いがよく出ている』

ラードーンは妙に感心したような口調でつぶやいた。

話は全て飲み込めた。

「それで凱旋して、みんなに話をしてたって訳か」

「そういうこと」

「主に無礼を働いた輩に皆不快を感じていたでござる。その末路を共有すべきでござるよ」

「なるほど」

魔物達も相変わらずだなあ。

「というか、街一つ滅ぼしたんだ。また懸賞金が上がるんじゃないのか、二人とも」

「え? 本当だ」

「おお……それは楽しみでござる」

「どれくらい上がるのかな」

「イノシシ女よりも、それがしの方が多く倒してたからきっと上になっているでござる」

「ないない、あたしの方が大物を数多く狩れたから、あたしのほうが上」

「大物という名の雑魚でござる。結局逃げ出して背後から襲われるような連中でござる」

「脳筋こそワンパンで巻き込まれてまとめて一掃されるような連中ばっかじゃんか。そんなんじゃあがんないよ」

「なにをー!」

「やるの!」

はいはい、いつものいつもの。

お前ら仲いいなあ。

もう、止めるのも面倒臭くて、やりたいだけやらせることにした。

「ふん、勝負は懸賞金が出てからね」

「うむ、待ち遠しいでござる」

「待ち遠しい、か。ふむ……」

数日後、宮殿の執務室。

「お呼びでしょうか、陛下」

俺からの連絡を受けて、ブルーノがやってきた。

いつものように、ブルーノは俺に恭しく頭を下げてきた。

「うん、ちょっと兄さんに頼みたいことがあるんだ」

「何なりとお申し付け下さい」

「これを」

俺はそう言って、指くらいのクリスタルをブルーノに渡した。

「なんでしょうか、これは」

「俺が作った魔道具、一回限りで、魔法を発動したら消える代物」

「なるほど。それで……どのような魔法でしょうか」

「リアムネットって知ってる?」

「はい。陛下が開発した……効果はとても一言では言い表すことのできない優れた魔法と認識しています」

「なるほど、そういう認識か」

俺はちょっと困り顔をした。

これに関しては、ブルーノが正しい。

リアムネットは色々機能をつけすぎて、本当に一言で言い表せない様な代物になった。

と、いうか。

「これも、リアムネットの効果を拡張する物なんだけどな」

「なるほど、そうでございましたか。さすが陛下でございます」

ブルーノはそう言って、心の底から感心したような顔で、深く腰を折って頭を下げた。

「既に飛び抜けて優れている魔法なのにもかかわらず更に改良するとは、お見それ致しました」

「必要だったからな」

「して、これはどのように?」

「ああ。どこかの冒険者ギルドの、懸賞金が張られている掲示板とかに使ってきてくれ。懸賞金の内容をリアルタイムでリアムネットに届けるための魔法だ」

「そのような事ができるのですか?」

「複雑な内容は人間を通さないと難しいけど、名前と懸賞金程度の内容なら、魔法を一回かけただけでずっと取れそうだったから」

「なるほど」

「頼めるかな兄さん」

「お任せ下さい」

ブルーノは大きく頷いて、引き受けてくれた。

更に数日後、宮殿の大広間。

会議のために円卓のあるそこに入ると、先に来ていたガイとクリスの姿があった。

「ふふん、あたしの勝ちだね」

「ぐぬぬぬ……」

ガイが悔しがってて、クリスが勝ち誇っている。

「どうした」

「あっ、ご主人様! ありがとうご主人様! ネットで懸賞金が見られるようにしてくれて」

「ああ、もう見られるのか。で、どうなった」

「あたし、金貨300枚になってたよ」

「あがってるな。ガイは?」

「11枚でござる……」

「ありゃ」

懸賞金という、はっきりとした数字にでる評価で、白黒をつけられた形で、クリスは勝ち誇って、ガイは悔しがってる訳か。

「まあ? 脳筋にしてはよくやったんじゃないの? ちゃんと金貨になったんだし? 微妙に端数まで評価される小物のままだけど――おっと口が滑っちゃったー」

「ぐぬぬぬぬ……」

「これから腐らずに頑張ればいいんじゃないの? まあ、あたしももっともっとあがるけどぉ?」

「ぐぬぬぬ――もう我慢ならんでござる!」

「おっ?」

「表に出ろでござる! イノシシ女に懸賞金がすべてじゃないって事を体に教えてやるでござる」

「望む所よ、懸賞金だけじゃなくて力で脳筋より上だって事を叩き込んでやる」

二人は盛り上がった。

盛り上がりすぎて、外に出る前からバトルが始まって、結果ドアからじゃなくて窓を突き破って外に飛びだした。

「仲いいなあ」

そんな二人の姿をみて、俺はそうつぶやいたのだった。