軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.必要時間を半分にする

ものは出来た、運搬するための魔法も覚えた。

次は移動手段だ。

アイテムボックスが使えるようになったから、身一つで移動出来る。 この状態でも普通とは比べものにならないくらい移動が楽だ。

だけど、俺はマジックペディアで覚えた魔法の中で、一つ、上手く使えば移動時間を半分にすることができる魔法がある事に気づいた。

普通とは違う使い方だけど、多分出来るはずだ。

まずはその魔法のチェックだ。

俺はマジックペディアをはずして、アイテムボックスに入れた。

マジックペディアをつけないのは、その魔法を完全に習得したというチェックをかねてる為だ。

林の中を歩いて回った。

何でもいい――と思ったそばから一羽の野ウサギと遭遇した。

「バインド」

初級の拘束魔法、バインドを使う。

対象の動きを止める魔法だ。

初級だから強い相手にはきかないし、拘束相手を触るなりして「動かす」と拘束が切れる。

なかなかクセのある魔法だが、とりあえずは充分。

バインドで止めた野ウサギに近づき、ガッチリと逃げないように捕まえた。

そして、

「契約召喚――契約」

捕まえたまま野ウサギに魔法をかける。

召喚魔法は大きく分けて二種類ある。

森羅万象に多数存在する精霊を呼び出す精霊召喚と、その他の生き物を契約で縛ってから、それを呼び出す契約召喚。

契約召喚には、まず対象に契約をかける必要がある。

俺は野ウサギに契約をかけた。

魔法の光が野ウサギの体に吸い込まれていった。

その野ウサギを捕まえたまま、魔法を再行使。

「契約召喚:野ウサギ」

かけ声は何でもいい、魔法は究極、術者の「テンション」に大きく依存するから、わかりやすいかけ声も一つの方法だ。

それは効果的で、俺が捕まえている野ウサギとは別に、もう一羽の野ウサギが出現した。

まったく同じ見た目の野ウサギである。

その野ウサギは俺から逃げようとするが。

「解除」

すると、召喚された方の野ウサギはポワン、と音を立てて消えた。

契約召喚のもうひとつの特性。

契約した本人じゃなくて、そのものの幻影とも呼ぶべきものを呼び出す。

見た目から能力にいたるまで、ほぼほぼ同じものを召喚できるのだ。

俺は野ウサギを放してやった。

テストが成功したからだ。

次は――本番。

俺は深呼吸して、足元に魔法陣を展開。

契約が成立するかどうかは、術者と相手の力の差と意志によって違ってくる。

自分より明らかに強い人間にはまず成功しないし、力量がほとんど互角であっても抵抗されたら契約は成立しない。

そんな中、俺は自分に魔法をかけた。

「契約召喚――契約」

術者と同じ力量、かつ抵抗の意志無し。

成功するかは五分五分と思ったが――無事成功した。

「契約召喚:リアム」

魔法を使う、俺の幻影を呼び出した。

「成功、なのか?」

「そうみたいだ」

「どんな感じだ?」

「普通、『俺』が目の前にいる事以外はなにも変な感じはしない」

「なるほど」

呼び出した俺の幻影とは、普通に会話が出来た。

「よし、じゃあラストテスト」

「ああ、俺は入れる? 出す? どっちで?」

「まず俺が入れる、それが成功したらそっちが入れて」

「わかった」

俺は俺の幻影と頷きあった。

まずは俺からだ。

「アイテムボックス」

アイテムボックスを呼び出して、初めてとなる、その辺で拾った石を入れた。

そしてアイテムボックスを消した。

「いくぞ……アイテムボックス」

次は俺の幻影がアイテムボックスを使った。

アイテムボックスの中から、俺が入れたばかりの石を取り出した。

「いけそうだな」

「そっちもやってみて」

「ああ」

俺の幻影が頷き、アイテムボックスにひろった小枝を入れた。

目印にするために、入れる前にばきっと折って、切れない程度に繋がった状態で入れた。

そして、アイテムボックスを消す。

今度は俺がアイテムボックスを呼び出した。

中に手を入れて――あった。

取り出したのは、折れてるがきれない程度に繋がったままのあの小枝。

「つまり、オリジナルと幻影の間でも」

「アイテムボックスは一緒ってわけだ」

「みたいだな。じゃあ頼めるか」

「ああ。いってくる」

俺の幻影はそう言って、林から立ち去った。

俺は開けたアイテムボックスをしまった。

最後に中身のリストをチェックした。

――――――――――――

純白炭 318キログラム

即席麺 1045食

――――――――――――

これがどうなるのか……。

それから三日間、俺は魔法の練習を続けながら、アイテムボックスの中身を注意深く見守った。

ちなみに追加で何も入れてない。

今回の件が成功するまでは追加で入れない様にしている。

売りに行く街への道のりは大体三日かかるって分かっていた。

その、三日目の昼。

――――――――――――

純白炭 318キログラム

ジャミール銀貨 36枚

――――――――――――

「来た!」

アイテムボックスのリスト、中身が変わった瞬間、俺は歓喜の声を上げた。

アイテムボックスから銀貨一枚を取り出した。

作った即席麺が、銀貨に換金された。

片道三日間の道のりを幻影にいかせて、アイテムボックスの中身を引き渡して、受け取った代金をアイテムボックスに入れる。

最後に

――――――――――――

純白炭 318キログラム

ジャミール銀貨 35枚

ハミルトンの紋章 1枚

――――――――――――

アイテムボックスに合図のものが入ったから。

「解除」

俺は、自分の幻影を解除して。

こうして、売りにいって、銀貨を持ち帰るのには往復で六日間かかるところを、片道分の三日間ですませたのだった。