軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆57・スライム祭り

もふに囲まれ、もふに起こされるという理想郷を見た私は、一瞬、自分が起きたのか、夢の中に堕ちたのか、どっちだろうと考えてしまった。

「リリアンヌ、ほら、そこにスライムがいるわよ」

――え?

いやいや、ちょっと待って。『そこにスライムがいるわよ』って何。ちょっと意味が解らない言葉に、のっそり起き上がった私は、ここがホーム前の〈ゴロニャンエリア〉でない事に固まった。

――え? ココハドコ? ワタシハ……あ、うん。

それより、もしかしてまた〈転移〉したんだろうか?

「転移した?」

「にゃ? 普通に走ってきたぞ」

――え? 私は走ってませんが?

「リリアンヌは袋のにゃかで寝ていたから、運んできたにゃ」

「袋……」

寝てる間にどんな運ばれ方をしたのか気になるけど、聞くのはやめておこう。起こされるまで快適に眠ってたんだから、変な運ばれ方はしてないハズ……。ん? 何で起きなかった、私……。

「リリアンヌ、スライム見なくていいの?」

――あ、そうだった。

寝て起きたら別の場所にいたとかいう寝起きドッキリはさておき、スライムだ!

クロ達に促されて、お楽しみのスライムとの邂逅を果たすべく、スライムがいるという場所へと近付いた。

「…………」

――ん? お祭り屋台の水ヨーヨーかな?

水深がかなり浅い小川に、カラフルな球が大量にプカり散らされている。

「これ、スライム?」

「そうよ?」

――なんか思ってたんと違う……。

じゃあ、どんなスライム想像してたの? と言われれば、30センチ位の涼し気クリアカラーなぷにぷに物体が、単体でいるのを想像してた……。

目の前にいるのは、半透明ではあるけれど、思った以上にネオンカラーの10センチ大位の球体物である。見た目は水風船か、大きめのスーパーボールで、それらがひしめくように水に浮いている様はヨーヨー釣りか、スーパーボールすくいにしか見えない。

いや、そもそも何で水に浮いてんの? 中身、空気なの? それより、スライムって水生生物だっけ?

「スライムって水の中で生活するの?」

「別に水の中に棲んでる訳じゃないわよ。単純に、水に浮かんでるのが好きなだけでしょ」

「そうなんだ」

テイムするなら水槽とか必要なのかと思った……。

「それでどうするの? 好きな色のをテイムする?」

「そう……だね」

折角だからテイムしようかなと考えていると、一緒に来ていたチビ猫妖精達が、水に浮かぶスライム達をツンツンしたり、手で掬おうとしていて、ますますお祭り風景っぽく見えてきた。

猫妖精達の『スライムすくい』を暫く見ていると、掬ったスライムをツンツンしていた猫妖精の勢いが余ったのか、突然「ぷしゅっ」と萎むスライムが……。

――あっ……。

見る間に萎んだスライムは、中の容量どこいった? ってくらいにぺちゃんこになり、最終形態は完全に『カラーセロファン』と化していた……。

――えぇ~、あんなんなるの? なんて物悲しい……。

「ぺらっぺら……」

何だか切ない気持ちになりながら、テイムしたら優しく取り扱おうと強く思った。

「リリアンヌ、獲らにゃいのか?」

「あ、獲るよ!」

「何色にしますか? 気に入った色がなければ、少し移動して探してもいいですよ」

「やっぱり赤が可愛いと思うのよね」

クロさん……、だから私、そこまで赤好きじゃない。

「赤はイラナイかな」

「「え!?」」

クロとナツメさんの事は置いといて、何色にしようかな……。やっぱり青系かな?

「シロは金がいいと思う」

「え? 金なんている? いても金色もイラナイかな」

「え……」

「金色のスライムはいないと思いますよ」

金色はいないんだ……。シロの事もさておき、ちょっと迷うなぁ。

「あ、2匹をテイムする事って出来る?」

「出来るわよ。スライムなら欲しいだけテイムしても平気よ」

そうなんだ……。そんなにイラナイけど。

「じゃあ……、青系1匹と別の色1匹テイムしちゃおうかな」

「「青!?」」

謎の赤推しコンビはスルーして、まずは青系スライムを探す。スライム達を見比べながら、ちょっとだけ緑が混じったような水色のスライムを選んだ。

「まずはこの子かな」

「キレイな色ですね」

「うん」

「もう1匹選ぶなら、そのスライムは私が持っておきますよ」

「ありがとう」

今日も紳士なソウさんになら、安心して持っててもらえるというものだ。うっかりナツメさんに預けたら『ぷしゅライム』にされてしまいそうだからね……。

「もう一匹は……」

「リリアンヌ! これはどうだ?」

「…………だから赤はイラナイ」

「に⁉ これは赤ではにゃい! オレンジであろうが!」

ナツメさんが指差したのはブラッドオレンジみたいな色のスライムだ。

「ほぼ赤寄りだし、なんでそんな血の色みたいなの選ぶの? この前も血みたいな色の狼持ってきてたし。怖いんだけど」

「にゃ……、強そうにゃ色でいいではにゃいか……」

――え? そんな理由?

「私、別に強さも強そうな色のスライムも求めてないよ? 出来れば可愛い色がいいんだけど……」

「可愛い色……」

ナツメさんが『この世の最難関問題を出された』みたいな顔してるけど、自分で選ぶよ? クロが「この赤なら可愛いわ……」とか呟いてるけど、何か言われる前にさっさと決めてしまおう。

水色と並べるならピンクか黄色かなと、スライムを見回していると、さっきまで居なかったピンクのスライムが、ぽちゃんと小川の中に入ってきた。

「あっ! この子にする!」

川に入ったばっかりで申し訳ないけど、一目で気に入ったピンクのスライムを掬い上げた。

「あら、それも中々、可愛いわね」

「にゃ……、それが『可愛い』……」

「いいですね。他にも選びますか?」

「ううん、この2匹にする」

「では、選んだスライムに魔力を少しずつ流しながら、名前を付けてあげてください」

――え? 名前どうしよう……。