軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆48・勝手に始まるコンテスト

――こんなにも二度寝を熱望する事がかつてあっただろうか……。

あ、うん、結構あったな。冬の連休明けとか、夜更かしした朝とか、かなり粘ってたわ。

それより、白竜様によだれ拭かせるとか、大事件なんですけど……。

チラリとお鳥様の様子を窺ってみるも、なんか想像と掛け離れた表情をしていた。え? それ、何顔? おラダ様、めっちゃ頷いてますけど、それ何目線? 何に納得してんの? おラキ様に至っては、その何かを拭うジェスチャー、何? 知りたくないから、聞かないけど。

「ふふっ、やっぱり小さな子は可愛いねぇ。僕は永く生きているけど、人間の子供とふれ合うのは初めてだよ」

「……初めて?」

「そうだよ。僕に近付ける人間自体、凄く少ないからね。人族の子供なんて、近付いたら普通は死んじゃうよ?」

「え? 死んじゃう?」

「魔力濃度が高いからね。魔力が少ない者には耐性が付いてなくて濃度の差に酔っちゃうんだよ。今も大分、抑えてはいるけど、人族にはかなりキツイと思うよ? まぁ、リリアンヌには無縁の話だよ。こんなに魔力が多い子は初めて見たよ。竜族並みにあるよ?」

「へっ……!?」

――え? 竜族並みってどゆ事? びっくりし過ぎて、声、裏返ったわ!

「ふふっ、そのおかげで僕は、初めて人の子を抱っこ出来たんだけど」

――あ~、なるほど、なるほど?

初めて触れ合えた小動物と触れ合うのが楽しくて、変なテンションになっちゃってるって事ね。子猫や子犬が、ミルクや食べかすを口周りにべったり付けてても、何故か可愛くしか見えないアレみたいな感じね。OK、OK! 理解! ならば、色々なやらかしは全て忘れて、白竜様のマスコットに徹しよう。そうしよう!

白竜様の初めての『ぬい』に徹していると、何やら猫妖精たちの方が騒がしくなって来た。

『ん? 何事?』と騒ぎの方に目をやると、魔獣の山が出来始めていた……。

――え? マジで何事?

「にゃはははは! これは吾輩の勝ちだにゃ!」

「はぁ? 多ければいいってもんじゃないのよ!」

「シロのは、美味しい」

「オイラ達のだって美味しいヤツだにゃん!」

「それに僕等のは、毛皮だってきれいだにゃ~!」

どうやら、一部の猫妖精たちが『借り物』ならぬ、『狩り物』競争をしているようである。

――えぇ~。なんか猫妖精って、思った以上にワイルド種族……。

「おや、私が最後ですか?」

「ソウ! 遅かったにゃ!」

「ええ、ちょっと珍しいのがいたもので」

「にゃに!?」

「珍しい……?」

「私のだって、珍しいのよ!」

「僕達のだって……」

「にゃはは! 黒兎は既に、吾輩がリリアンヌにやったにゃ!」

「え……。そんにゃ……」

「にゃ~! 白兎があるにゃ~!」

一体何の勝負なんだか……。

「まぁ、決めるのはリリアンヌですから」

――は?

え? 何を? 何の話? 聞こえなかったフリをして、『私、関係ありません』顔を決め込む。

「ねぇ、それは僕も参加していいのかな?」

――え? 白竜様?

「む! 白竜様が参加されるのであれば、私たちも参加すべきだな!」

「…………。手持ちの獲物でもいいなら……」

――なんか参加者増えたけど、結局、何勝負なんだろうか……。

「にゃ! 白竜様たちが参加しても、勝負は公平に決めてもらうのだ!」

「それは、もちろん」

「当然だ!」

「…………。私はリリアンヌが喜ぶなら、勝負の結果はあまり気にしない」

「では、順番に自分の獲物を自分の前に置き、その中からリリアンヌに気に入った物を選んでもらいましょう」

「そうだね」

「うむ!」

「…………。わかった」

「にゃ!」

「ええ、そうしましょう!」

「ん」

「わかったにゃん!」

「わかったにゃ~!」

――え? なんか話が勝手に進んでるんですけど。

「ふふっ、僕も並ぶから、一度降ろすね」

そう言って、白竜様の膝上から降ろされたものの、どないせぇっちゅ~ねん!

「リリアンヌ、毛皮が欲しいと言っていたようですから、皆で色々獲ってきました。気に入った物を選んで下さいね」

「え!? 毛皮なら既に、ナツメさんに貰ったんですけど……」

「まぁまぁ、他にも色々ありますから。使わない分は換金すればいいですし。とにかく見て下さい」

ソウさんにそう説明され、とにかく気に入った『毛皮』を選べばいいのかと、無理矢理納得してみた。

「あれ? 毛皮限定なの? 僕のは毛皮じゃないけどいいかな?」

「私のも、毛は生えてないな」

「ん、シロのも毛は少ないけど、ハネならある」

「あら? 私のも毛皮じゃないけど、綺麗な皮ならいいのよね?」

「そうですね、リリアンヌが気に入ればそれで良いかと。それでいいですか? リリアンヌ」

「え? まぁ、毛皮以外でも使えるなら何でも……」

「なら、毛皮でなくても良いと言う事で。では、並んで獲物を出しましょう」

そうして、『私の気に入る皮コンテスト』が勃発したのである――。