軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆27・おぺれぇしょん・DCS

猫妖精たちからのちょっぴり物騒な注意事項を聞きながら、手が止まっていた食事を再開する。『お猫様その3』改め『セキ』さんが結界上から無言でパンをガン見しているが、当然スルーだ。

私はもぐもぐしながら、ちょっと気になった事を聞いてみる事にした。

「そういえば、白竜様(?)が加護をくれる存在だという事は、人類と敵対してたりはしないんですね?」

「う~ん、それはどうでしょうか? 竜たちがどう動くかは人類の対応次第でもありますからね」

「たち……?」

「ええ、この大陸に居るのは白竜様だけですが、別の大陸には別の竜族がいますよ」

「ほぇ……」

「今はこの大陸で白竜様と人間が争っているという事はにゃいにゃ」

「ミャ、別の大陸では、黒龍が人と争って暴れてるって話はよく聞くがな」

「えぇ? 加護をくれる存在なら、もっと神様的な扱いなのかと……」

「金竜様は一部の人間たちにそのような扱いを受けているようですが、竜が加護を与えられる存在だと知らない者の方が多くなってしまったのかもしれませんね」

「加護を与えられる事を公言している訳ではにゃいし、それ以前に竜族が実在している事を知らにゃい者も多いかもしれにゃいにゃ」

「そもそも普通の人間は、竜族に近付く事も出来ないからな」

「ん? 近付く事も出来ない……とは?」

「この大陸で言うにゃら、白竜様の近くには守り番がいるし、頂上に行くまでにそこそこ強い魔獣達が結構にゃ数いるからにゃ」

「…………。そんな危険な所に一緒に行こうって言いました?」

「にゃ! 吾輩達が一緒にいればにゃにも問題にゃいぞ!」

――問題しかないわっ!

ナツメさんにジト目を向けながら、残りのパンを食べきり、水を飲む。セキさんが『この世の終わり』みたいな顔してるけど、当然スルーだ。カフェオレ飲みたい……。

「ごちそうさまでした」

朝食を終えて、後片付けを始める。使ったモノを魔法を駆使して片付けていると、猫妖精たちの声が聞こえてきた。

「リリアンヌは小さいのに色々出来るんだにゃ」

「すごい、すごい」

「魔法も大人のように使ってますねぇ」

「リリアンヌ、おとな?」

「リリアンヌ、こども!」

「あんなに小さい子が料理しているのはあんみゃり見た事ないな」

「はじめて! はじめて!」

――あ……。そういえば、リリたん5歳だな。まぁ、今更ここで5歳児ぶって『あれれ~?』とか言ったりしない。6歳になっても言わない。それにしても、小さい猫たちは話し方からして、まだ幼児っぽい感じなんだろうか。え? 私が言うなって? 私が幼児なのは見た目だけだからね。

猫妖精たちの会話を聞き流し、片付けを終えて『着替え、もう1枚交換しようかな……』なんて考えながら歯磨きをする。今は白シャツにベージュのズボン姿だけど、狩りとか行くならもうちょっとアウトドアな装備にするべきかな。ん~、でも〈絶対防御〉かけて〈浮遊〉で移動するつもりだしなぁ。とりあえずこのままで行って、なんか不備があれば交換すればいいか。

歯磨きを終えた私はホームのある結界を出て、ナツメさんとソウさんとチビ猫数匹がゴロゴロしている床型結界の方に出た。『チビ猫』と言ってもサイズは普通の猫の成猫サイズだ。ナツメさんたちの縮尺がおかしいだけだ。

セキさんと残りのチビ猫たちは、ずっとホームの結界上をウロウロゴロゴロしている。今はナツメさん達のいる側の結界上の端っこでグデンと前足を垂らしながら、デカ猫同士でお喋りしている。

「あの~、あっち側とか木のない広い所に、ここと同じような平べったい結界張りましょうか?」

《秘儀・猫妖精達を分散させよう作戦【Operation Disperse Cait Sith】》である。別にいてもいいんだけど、せめてホームの上からは降りてほしい。頭上をウロウロされると気になって仕様がないのだ。

「にゃ! ほんとか!?」

「はい、あの辺でいいですか?」

「どこでもいいにゃ」

――どこでもいいんかいっ!

「じゃあ、開けてる所にいくつか張りますね」

〈浮遊魔法〉ですぃ~っと移動しながら、開けた所に適当に結界を張ろうとして少し考える。結界は中の空間には私しか入れないけど、既に張った結界の上で猫妖精達がゴロニャンゴロニャンしている通り、上に乗ったり、触ったりは出来る。

「これ、草の多い所に張ったら、雨とか遮っちゃうんじゃ……。あれ? 雨遮る?」

なんとなく、透明の板的な感覚で見ちゃってたけど、そういえば普通に風とかは通ってたなと。そもそもイメージを具現化している〈魔法〉だから、私のイメージ次第かと改めて気付いた。ちょこちょこ魔法を使ってはいるけど、やっぱり魔法の使える世界にはまだまだ慣れてはいないのだ。多分、この結界も雨を遮るようにイメージすれば、雨を遮り、雨を通すようにイメージしてれば、雨を遮らない結界になるんだろう。

うむ、改めて不思議世界である。

そう考えると、そもそも〈結界〉でなくてもいいような気がしてきた。ナツメさんは確か『結界から魔力が漂っている』とかなんとか言ってたハズだ。なら、魔力が漂ってるなら結界である必要はないって事だ。

私は『雨も風も通し、猫妖精達がゴロニャンするための床』をイメージしながら〈結界〉改め〈ゴロニャンエリア〉を適当にいくつか展開しておいた。これで大丈夫なハズ。

現に既に出した〈ゴロニャンエリア〉にチビ猫妖精たちがちょこちょこ集まっている。

よしよし! とホームに戻ったものの――

――あれ? 減ってない? え?

私はホーム周辺の猫妖精達と、新たに出した〈ゴロニャンエリア〉の猫妖精たちを見比べる。

――え? あっちもいっぱい……。こっちもいっぱい……。

「…………」

――増えてた。

《秘儀・猫妖精達を分散させよう作戦》は失敗のようである……。