軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆1・New リリアンヌ

寝て、起きたら別人だった……。

それ、なんてなろう小説?な目覚めを果たした梅村花(36)……いえ、 元(・) 梅村花です。ごきげんよう。

まぁ、気分は全くご機嫌よろしくはない。

何故リリアンヌになっているのか、いつ梅村花は幽体離脱したのか、本当に転生しちゃったのか気になる事は多々あれど、まずは『身体が痛い!』これである。

『あのアホ兄、許すまじ!』とか『治癒魔法もポーションもある世界なのになんでケガしたままなの!』とか『この固いベッドと真っ暗な部屋は何だ!』とか色々と……、ほんっっっと~に、色々と言いたい事はあるけど、それらはとりあえず横に置いておく。

それよりも! 今の私にはやらねばならぬ事がある!

この部屋に……というか、恐らくこの部屋周辺に私以外は誰もいないと思われる。目覚めた時に、あまりの痛さにちょっと……? 割と騒いでしまったが、誰も声をかけてこないし、むしろ何の物音もしない。

こんなケガした幼児を放置とかホントどうなってんだと、また色々言いたいことが溢れてくるけど、今の私にはその方が好都合である。

――ではでは、早速……。

「為せば成る! 為さねば成らぬ何事も! いざ! 〈ライト〉!」

蛍の様な淡く小さな光が生まれるようにイメージしながら、いざ口にした言葉は私が思い描いた通りに形を成した。

「でった~!」

期待通りに、そしてイメージ通りに魔法が使えた事に思わず身体の痛みも忘れて『で~きた、できた、できたできたのハイポーズ♪』と、口ずさんでしまいそうになるぐらいにテンションが上がった。

ついさっきまではご機嫌はすこぶるよろしくなかったが、今はとってもご機嫌よろしくてよ!

淡い光に照らされ、目に映った部屋が家族達への怒りを更に煽りまくっているが、今はそれも後回しだ。

〈ライト〉ができたら次はそう! もちろんアレである!

「〈ハイ・ヒール〉!」

身体の痛みが消えるように、隅々まで癒されるようにイメージしながらその言葉を口にした。すると、淡い緑の光が全身を包み痛みは綺麗さっぱりなくなった。

何となく〈ヒール〉では完治しない気がして〈ハイ・ヒール〉を唱えてみたけど、大成功である。

流石に〈ハイ・ヒール〉は無理かなと一瞬考えたものの、使おうとした瞬間に何故か『出来る』と思ったのだ。ただの勘かもしれないけど、多分出来ないモノは『出来る』とは感じられない気がする。ちょっと野生児っぽいけど、本能でそんな感じがしたのである。

とにかく、快調な身体は手に入れた。おかげで痛みに邪魔される事なく思考が出来る。ならばまずは現状把握と現状整理だ。

小さな〈ライト〉に照らされた部屋を見渡してみる。『もう少し明るくするかな?』と、今度は野球ボール位の大きさをイメージしてもう一度〈ライト〉を使ってみた。

先程よりも、より鮮明に映し出された光景は、魔法が使えた事で上がったテンションを急降下させた。

いや、うっすら部屋が見えた瞬間から色々込み上げて来てはいたんだけど、明るくした事で思った以上に酷い部屋だと改めて気付いたのだ。

まず、窓もない6畳あるか……いや、これ4畳くらい(?)な狭っい石造りの部屋に、古ぼけた木のベッド。

マットなんてもちろん無いし、固い木の板の上に『これシーツ?』と疑問を呈さずにはいられないような小汚い布がペロンと乗っているだけ。

壁にキャンドルスタンドが掛かってはいるけど、火は点いてなかったし、蝋の残りも少ない。部屋にあるのはそれだけ。

『え? 牢獄?』と聞かずにはいられない程に酷い部屋である。

え~? ホント、なんなんベルツナー家。これ、誰指示? 一家の総意? いや、そうだろうね。だって、血の繋がった実の家族であるリリアンヌの言う事、ひとつも信じてくれなかったもん。

リリアンヌ5歳よ? こんな幼女に実の家族の仕打ちが酷過ぎるんですけど。いや、実の家族じゃないデイジーも使用人達も酷いし、おかしいけどさ。

あ~、リリたん、マジ可哀そう…。涙ちょちょ切れるわ。

だがしか~し!

それも今日までの事! なんたって今の私は魔法が使える!

それに身体は幼女でも、中身は立派なおb…お姉さんである!

「ふはははは! 《梅村花》をDLした《Newリリアンヌ》は、泣き寝入りなどせぬわ!」