軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆154・みっしょんいんぽっしぼぉ~、再び。

ロイド様たちの話し合いが終わり、大公子様とアリーチェ嬢が帰ったあと、席を外していた赤き竜の面々やユージオさんたちも合流し、今後の予定を話し合う。

まず、ウルヒナ・ゾルジ嬢がいるであろうゾルジ侯爵家へは、私がこっそり行くことにする。

ロイド様が行くと、何だか騒ぎになりそうだからね。

ゾルジ侯爵家の場所は、ルー兄が知っていた。

ルー兄は、レギドール中の貴族の家やら何やらを把握しているらしい。

という訳で、ルー兄も一緒に行くことになった。

みっしょんいんぽっしぼぉ~組、再出動である。

ゾルジ家に向かうのは、私、レイ、ルー兄、そしてナツメさんだ。

猫妖精たちの苦手な魔力臭がする可能性があるため、一緒に行く猫妖精はナツメさんだけである。ナツメさんは、魔力臭の確認のために一緒に来てくれるらしい。

ロイド様たちは、ゾルジ家の周辺調査。

デイジーや、デイジーにスキルをかけられた人などいないかを調べるらしい。

トラさんとロックくんと雪丸さんは、今回はロイド様たちに付いていく。

こちらも、猫妖精による魔力臭確認のためだ。

雪丸さんは、猫妖精たちが魔力臭によるダメージを受けてしまった時のためのフォロー要員である。

クロとシロは、妖精の宿邸に戻って待機だ。

ロイド様は、トラさんたちが付いていくと言った瞬間、微かにニヤッとした。

嬉しいのか、嬉しいんだな。

皇子様も、小さきもふには弱かったようである。

ちなみにロイド様は、雪丸さんも人化した猫妖精だと思っていたらしい。

「雪丸殿は、猫のような妖精の姿にはならないのか?」

「私は妖精ではありませんので」

「え? 金竜様の使者であるなら、人ではないのかと思ったのだが……」

「人でもないですよ」

「え?」

どうやらロイド様は、雪丸さんが金竜様の使者だと気付く前は、自分たちと同じく『妖精が見える人間』だと思っていたようだ。

しかし、雪丸さんと同じく金竜様の使者であるクロが、人の姿に変身したケット・シー族であったことから、雪丸さんも人の姿に変身したケット・シー族だと思ったのだろう。

そして恐らく、雪丸さんの猫姿も見てみたい、とか思ったに違いない。

そこで雪丸さんによる、まさかの『妖精ではない』発言。

驚いたところに、『人でもない』と言われ、大困惑しているようである。

「私はフェンリル族ですから」

「フェンリル……族。それはもしや、先ほどの話にも出ていた、『霊獣』のことだろうか?」

「そうですね」

「では、レイ殿も霊獣なのか?」

「違うよ」

「え?」

「僕はちょっと特殊というか……。正確には違うけれど、竜と人のハーフだね」

「竜と……人のハーフ……」

確かにレイは、竜と人のハーフだ。

しかし、一般的な『ハーフ』と認識されているような混血という訳ではない。

レイの場合は、血ではなく、物理的に肉体を半分こしたようなものである。

それ故に、レイには白竜であるアルバス様の記憶もあるらしい。

それはもちろん、アルバス様の方にも同じくで、アルバス様にもレイが人間だった時の記憶が統合されているのだとか。

ただ、主人格が人であったレイか、竜であるアルバス様かの違いが、それぞれを別人として成り立たせているようだ。

それでも時々、レイは人であった時であればしなかったであろうことなどを、無意識にしてしまうことがあると言っていた。

まぁ、それは、梅村花の記憶を持った今の私も、似た感覚を味わうことがあるので、何となくレイの言わんとしていたことが分かる気がした。

だからこそ、私は『梅村花』でもなく、『リリアンヌ・ベルツナー』でもない、『New・リリアンヌ』なのである。

レイも元の名前は『レイ』ではなかったらしいし、アルバス様の記憶が統合された時に、『New・レイ』になったのだろう。……多分。

まぁ、これは以前、レイに聞いたことだ。

ロイド様たちには、あまり詳しく話すつもりはないようなので、大人しく黙っておく。

それでも、レイが『竜と人のハーフ』と聞いたロイド様たちは、脳の処理能力が追い付かなくなったのか、そこだけ時間停止をされたかの如く、完全フリーズ状態だ。

「竜……、竜……、竜!?」

「あ、先に言っておくけど、僕は竜の姿にはなれないからね」

「そうなのですか? しかし、半分は竜族……なのですよね?」

「うん、というか、その敬語、何? 急に畏まらないでくれる?」

「え、あ……、はい」

「……いいけど。まぁ、そうだね……、竜の姿にはなれないけれど……」

そう言いながら、レイは自分の腕を出し、袖をまくった。

そして露わになったツルスベ素肌の腕が、徐々に鱗に覆われ始める。

「おお!」

「あれ? リリアンヌ、これ気持ち悪くない?」

「全然! むしろカッコイイ」

「かっこいい?」

「カッコイイ!」

「……そっか、ふふ」

「リリアンヌは案外、トカゲ系の魔獣も好きそうだしにゃ」

「……トカゲ系?」

ナツメさんの『トカゲ系』発言を聞いたレイが、ナツメさんに笑顔を向けた。

ただし、凄まじく黒いオーラが透けて見える。

どうやら、ここにも怒らせてはイケナイ人がいたらしい。

顔がキレイな分、余計に怖い。

「にゃっ!? 違うぞ! レイがトカゲ系だと言った訳ではにゃい!」

「やだなぁ、分かってるよ」

まぁ、ナツメさんが言いたかったことは、何となく分かる。

私は、レッサーワイバーンやコモドドラゴンっぽい魔獣とか、割と好きだからね。

いつかアルバス様のドラゴンモードも見てみたいものである。

そんなこんなな雑談を交えながら、今後の予定を決めた私たちは、早速行動することにした――。

お昼は大分過ぎているけれど、日暮れまではまだ時間があるからね。

やたらと畏まっていたロイド様たちも、今は元に戻っている。

次の目的地であるゾルジ侯爵家のタウンハウスは、現在滞在中の宿と同じく、皇都レギンにあるようだ。

滞在中の宿からゾルジ家までは、馬車で二十分ほどの所にあるらしい。

街中をパカパカとゆっくり走る馬車で二十分なら、レッサーワイバーンだと五分くらいで着くのではないだろうか。

とは言っても、レッサーワイバーンでの移動は目立つので、ロイド様たちは馬車で移動するようだ。

私たちも同じ馬車に乗っていくかと聞かれたのだけれど……。

「飛んだ方が早そう……?」

「じゃあ俺は走ろうか?」

「にゃ? ルーは吾輩が乗せてやってもいいぞ」

「いいの?」

「にゃふん! 任せろ」

「ルーファスは一応、リリアンヌに〈認識遮断〉の魔法をかけてもらって」

「分かった」

「ガッテン、ガッテン!」

という訳で、私たちは馬車に乗らず、飛んで(走って)行くことにした。

「じゃあ、ゾルジ家の覗k……調査が終わったら、ロイド様に〈文球〉を飛ばしますね」

「え? あ、ああ」

「ん? 飛文書の方がいいですか?」

「いや、もう〈文球〉が使えるのかと思っただけだ……」

「ん?」

「ついこの間まで知らなかった上級魔法を、アッサリ使えるようになっていることに驚いただけだ。まぁ、君なら、そう驚くことでもなかったか……」

そう言えば、この前BBQ大会をした時に、ロイド様とミルマン兄さんにも魔法のことを聞いたね。

単純に火や水を出現させるだけなら、初級。

ファイヤーボールとかウォーターボールだね。

火や水、土や風を変質させるなら中級。

これはアースランスとか、ウィンドカッターとか。

範囲攻撃や治癒系魔法は上級~特級。

特殊な魔法、〈鑑定〉とか〈文球〉とかも上級魔法らしい。

そして、特殊な魔法でありつつ、魔力消費が多いものが特級。

〈ハイ・ヒール〉とか〈飛行魔法〉とかね。

ロイド様たちの前では今更かと、特に気にせず使っているけれど、人の世での魔法に対する認識も知っておくべきかと、聞いたのだ。

人前では、できるだけ上級以上の魔法は使わない方がいいかもね……と思いつつ、出かける準備を整える。

隣の部屋で、みっしょんいっぽしぼぉ~スタイルにお着替え。

必要ない? いや、必要さ。

やはりエーなジェントは、黒い服でないとね。

着替え終わったら、元の部屋に戻り、同行者を確認する。

ルー兄は元々黒い服だし、ナツメさんもほぼ黒毛。

ということで、いつもの仔猫姿になったレイの首元に、そっと黒いリボンを結んでみる。

「ん?」

「レイも、エーなジェントだからね!」

「ああ、うん」

「にゃ? 吾輩にはないのか?」

「え、だってナツメさん、もう黒いし」

「それとこれとは違うであろう!」

「え~、ナツメさんに何か着せたら、それだけ浮いて見えるんじゃない?」

「にゃ! 魔法をかければいいのだ!」

どうやら、〈認識遮断〉とは別の、人間の目から見えなくなる魔法があるらしい。

という訳で、黒い何かがほしいと強請るナツメさんに、そっと黒いほっかむりを被せてみる。

「ふっ……」

「にゃ! どうだ?」

「ふっ……、似合ってるよ」

「そうか?」

――うん、かわいい。

レイがちょっと笑っちゃってるけど、かわいい。

そうなると、ルー兄にも……ということで、ルー兄にも黒いスカーフをあげた。

ナツメさんにあげたのと同じものである。

ルー兄は、身体のあちこちに武器を仕込んでいるからね。

付ける場所は自分で選んでもらうことする。

さて、準備はできたかい? では……。

みっしょんいっぽしぼぉ~組、出動――!