軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

◆136・息継ぎはもふもふで。

ロイド様へ飛文書を飛ばしたあとは、もふもふたちとの騒がしい食事タイムだ。

お子狐様はウサ肉をご所望だったので、シンプルに焼いたものと、カラアゲにしたものを用意。もしかしたら、生肉の方がお好みかもと思って聞いてみたら、普段は生で食べているので、生ではないものが食べてみたいとのことだ。

お子狐様は霊獣なので、猫妖精たちのように人間が食べるものも普通に食べられるみたいだからね。

ウサ肉シチューも出しちゃおうかな…と思ったんだけど、獣型のお子狐様がシチューを食べるのは難易度が高そう?

具材だけお皿に載せればいいか。食べ比べっぽく、色んなウサ肉を盛ろう。

猫妖精たちは出せば何でも食べてくれるので、何を出すかは気分だ。

という訳で、今夜のメニューは『リリたんの気まぐれディナーセット ~美味しければそれでいい~』という名の在庫処理をば……。

ちょっとずつ余っていたおかずを、それらしく盛れば完成――っと。

「ふぃ~……」

「お、今日はいろんなのがあるにゃ!」

「ほんとにゃ~!」

「ん……、いっぱい。嬉しい」

「おいしそうにゃん」

「うん……」

在庫処理とは言っても、アイテムボックスに入れていたから、出来たて状態のままだもんね。

猫妖精たちも嬉しそうにしているし、余計なことは何も言うまいて……。

そう、これは『ア・ラ・カルト』なのだ。うむ。

「いただきます」

「「いただきます」」

「いただきますにゃ~!」

「いただきますにゃん!」

「キュンキュキュン!」

「にゃっ!」

お子狐様も『いただきます』って言ってるのかな。かわいい。

その隣で、ナツメさんが『用意しました!』みたいな顔をして頷いているのはちょっと解せないけれど、まぁ、食べましょ、食べましょ。

「にゃ? これは肉ではにゃいにゃ?」

「ん? ああ、ライスコロッケだよ」

「らいす……、おにぎりとやらに似ているが……」

「うん、『ライス』はおにぎりに使っているお米のことだからね」

「ふむ……、だが、おにぎりとは大分違った味だにゃ?」

「そうだね、ケチャップとチーズで、おにぎりとは大分違う味になってるかな」

「僕、これ好きにゃ~!」

「オイラも好きにゃん!」

「キュキュクゥン?」

「森狐も食べてみたいって」

「はぁい、どうぞ」

もふもふたちがライスコロッケを頬張る横で、一人、お茶漬けを啜ってみる。

ご飯の上に焼き鮭とあられ、ネギと海苔を載せて、白だしをかけたものだ。

「ふはぁ~……」

「それ、美味しそうだね」

「うん、美味しい」

「僕も食べたいな……」

「いいけど、猫舌……」

「………………うん、元の姿に戻るから大丈夫」

「え?」

「ここでなら戻っても大丈夫でしょ」

そう言って、久方ぶりに人型の姿に戻ったレイ。

お茶漬けのために人型に戻るとか……。

――てか、眩しっ。

レイが人型に戻った瞬間の圧倒的女神感に、思わず防御態勢を取る。

仔猫姿の時は気軽に話していたけれど、もふかわの正体を再認識すると冷や汗が出るね。一旦、もふを見て落ち着こう。深呼吸をスモファーッとな……。

「この貝は、この前の 港町(みにゃとまち) で買ったヤツか?」

「エビも美味しいにゃ~」

「ん……、美味しい」

「ずっと『美味しい』しか言ってないじゃない」

「全部美味しいにゃん」

「そうですね、全部美味しいです」

――うむ、かわいい。平和。

「お茶漬け食べたいな?」

「……あ、はい」

もふで情緒の立て直しを図るも、レイの顔を見たら、あんまり意味がなかった。

それにしてもレイさん、『お茶漬け食べたい』というワードがとてつもなく似合わないね。似合わなさ過ぎて、聞き間違いかと疑うレベルだよ。

シュールな現実に向き合いながら、レイのお茶漬けを用意する。

まぁ、ご飯に具材を載っけて、だしをかけるだけだ。

笑顔でお礼を言いながら、お茶漬けを受け取るレイ。

美麗人外さんの手に、お茶漬け……。

持たせるアイテムを間違っている気がするが、まぁ、本人のご所望である。

――《ズズズッ……》

「はぁ~……、美味しい……」

レイさん、やっぱり、お茶漬けを啜る姿がとてつもなく似合わないね。

似合わなさ過ぎて、AI画像かと疑うレベルだよ。

ていうか、普通にお箸使ってるし……。

一応、スプーンとお箸の両方を用意したんだけど、迷いなくお箸でいったね。

レイに対して、異世界文化の知識に明るそうだと思うことがちょいちょいあるのだけれど、お箸も使えるのはちょっと驚きである。思わず食べるのを忘れて、美麗人外さんがお茶漬けを啜る姿をしばらく鑑賞してしまった。

我に返り、パリポリとたくあんを齧る。

その横で美麗人外さんもたくあんを齧る。

「レイって、もしかして『和食』好き? あ、和食っていうのは、こういう……」

「好きだよ」

――わっ、眩しっ。

突然こっちを向くのはやめてもろて……。

人型のレイを正面から見るのはまだ耐性が付いていなくて、攻撃力が激高でごわす。一旦、もふもふたちの方に視線を遣って、落ち着くべし、落ち着くべし。

「このキノコはティントルの森で採ったものだにゃ!」

「いっぱい採ったにゃ~よ!」

「あの時ベルベリーも採ったようにゃ……」

「ベルベリー食べたいにゃぶ!」

「キュ~ン」

――うむ、もふもふ。平和。

少々落ち着いたところで、ふと思う。

そんな訳はないんだけど、時々レイから『同郷み』を感じることがあるなぁ……と。話している時には気にしていなかったやり取りとか言葉とかも、あとから『あれ? そういえば……』って思うことがあるんだよねぇ……。今だって、『和食』が何かを分かっている感じだったし。不思議。

レイの謎に少々首を捻りつつ、その後も食事を続けた。

お子狐様はどのウサ肉もお気に召したようだし、もふもふたちは出した料理を完食。『ごちそうさま~』と食事を済ませたあとは、ゆるゆるとポニワ生産の続きをすることにした。

猫妖精たちはすでに生まれたポニワを集め、何の歌を教えるかを話し合っている。

「この前、リリアンヌが歌っていた『おうおう』の歌はどうだ?」

――おうおうの歌? そんな歌、歌った記憶はないのだが?

「どんな歌みゃ?」

「『オクラ』がどうとか……」

――あ、ちょっと、その歌は……! ヤメテ! ヤメテ!

思わず、ナツメさんに飛び込みアタックをして、ナツメさんの口を手で押さえる。

「にゃ゛っ!? にゃふ……も……ご……」

「ナツメさん、シーッ! それ、シーッ!」

「にゃ!?」

歌と呼ぶにはおこがましい鼻歌を聴かれて、覚えられていたとか、ある意味拷問である。そもそも、ポニワに歌わせる歌としてのチョイスがおかしいわ!

ナツメさんに「あれは歌ではない」と必死に伝えて、『おうおうの歌』は封印してもらうことにした。

――危な~っ……。

大量の冷や汗をかきつつも、どうにか難を乗り越えたことに一安心していると、眼前に手紙が飛んできた。

「ぼっ!」

ビックリし………………いや、これが正式な飛文書の受け取り方である。

声を出さずに受け取るという選択肢はない。

それはさておき、手紙の差出人を見る。

「あ、じぃじ……」

ロイド様からの返事かと思えば、じぃじからの手紙であった。

手紙を読み進めると、デイジーにスキルをかけられていた人たちの状態異常が解けたことが書いてあった。

そう言えば、ベルツナー家の状態とか気にしていなかった……。

むしろ、ちょっと存在を忘れていたくらいである。

確か、術者が死んでもスキル効果が残ったままの状態になる場合もあるから、確実にスキルを解除させたいなら、かけた本人に解かせるのが一番いいんだっけ?

ということは、デイジーがスキルを解いた?

「…………う~ん?」

デイジーもベルツナー家のこととか忘れてそうなんだけど……。

いきなりスキルを解いたりするだろうか?

死んでもスキルが残る 可(・) 能(・) 性(・) が(・) あ(・) る(・) というだけで、絶対という訳でもないんだよねぇ?

じゃあ、デイジーが……?

いや、死んだとは限らないよね。

何らかの事情でスキルを解いた可能性だってあるし……。

もしくは時限性だったとか、人数制限があったとか?

まぁ、ここで理由を勝手に考えたって答えは出ないのだから、一旦置いておくことにしよう。

ただ、これはロイド様たちにも報告だね。

そんなことを考えていると、ロイド様からも返事が飛んできた。

明日の昼前にはリビエスの街に到着するらしいので、ロイド様たちが滞在予定の宿で落ち合おうとのことだ。

アルベルト兄さんとルー兄にも飛文書を飛ばしておこう。

じぃじへの返事も書いて……っと。

飛文書を飛ばし終えたら、今日は早めに休むとしよう――。