作品タイトル不明
965話 チームカナデ・その3
ガァンッ!!!
鉄の塊を砕いたかのような轟音が響いた。
「カナデ!?」
「カナデさん!?」
リファとミルフィーユの悲鳴。
二人の視線は、ミツキの拳を受けたカナデに向けられている。
「……」
「……」
沈黙。
ややあって、ミツキが大きく後ろに後退した。
カナデ……
「ふぅ……危ない危ない」
ミツキと同じように、全身を輝かせていた。
際どいところで覚醒状態に移行して、ミツキの拳を受け止めたのだろう。
「ふっふっふ、ここからほん……」
「うっさい、黙れ」
「にゃあ!?」
不敵に笑うカナデに向けて、再びミツキが拳を繰り出した。
カナデは慌てて距離を取り、シャーと威嚇する。
「ちょっと! 人が喋っている最中に攻撃するなんて卑怯だよ!」
「戦いに卑怯とかない」
「その通り」
「っ!?」
こっそりコウモリに変身したリファがミツキの背後に回り込んでいた。
実体化。
そして、血の鎌を生成して斬りつける。
ミツキは避けようとするが、
「バインド!」
魔法で作られた鎖が彼女を捕らえる。
「ちっ」
ミツキは力任せに魔力で編み込まれた鎖を壊してみせた。
通常、そのようなことはできないが……
覚醒状態の最強種なら、物理で魔力を打ち壊すという、規格外のことも可能だ。
ただ、その際にどうしても動きが止まってしまう。
リファの鎌の刃がミツキの背中を走る。
浅い。
でも、確かに傷をつけることができた。
「おかわり」
「にゃんっ!」
リファが追撃を繰り出して……
それに合わせて、カナデが拳を繰り出した。
さらに、ミルフィーユも攻撃魔法を重ねていく。
即席パーティーとは思えない、息の合ったコンビネーションだ。
ミツキは、未だ直撃は避けているものの、全てを完全に避けることはできず、小さな傷が積み重なっていく。
そして、回避のタイミングが危うくなってきた。
「こいつら……」
ミツキが舌打ちした。
苛立ち。
そして、焦り。
カナデ達は必死に攻撃を繰り出して……
その内心で、いける! と確かな手応えを得る。
戦いの主導権は自分達に移りつつある。
このままペースを崩すことなく、油断することなく。
パズルを組み立てるかのように、精密な攻撃と連携を続けていけば、ミツキを倒すことができるだろう。
その予測は正しい。
カナデ達の優位は確かなものだ。
……しかし。
その予測を覆すだけの切り札をミツキは持っていた。
「本当に、もう……うっとうしいっ!!!」
「にゃっ!?」
ぶわっと、ミツキがまとう闘気が倍以上に膨れ上がる。
体を包み込むような輝きも増して……
「ぶっころす!」
ミツキのスピードがさらに増した。
カナデの拳とリファの血の鎌が空振る。
「速い……!?」
「えっ、どこに……あう!?」
音を超える速度でカナデの背後に回り込んだミツキは、痛烈な一撃を浴びせた。
カナデはどうすることもできず、吹き飛ばされる。
ミルフィーユが慌てて衝撃を吸収する魔法を展開しようとするが、あまりにも突然のことなので間に合わない。
「この!」
リファは血の鎌を分解して、弾丸に変えた。
それを至近距離から一斉発射する。
埋め尽くすかのような面射撃。
そして、タイミングは完璧。
いかに最強種であろうと避けることは不可能。
不可能のはずなのに……
「えっ」
「うっとうしい」
ミツキはあえて前に出て……
血の弾丸を必要最小限の動きで全て避けてみせた。
驚異的な動体視力と身体能力を持つからこそできる神業だ。
そして、そのままリファの懐に潜り込み、拳を叩きつける。
「かはっ」
直撃。
リファは血を吐いて、吹き飛ばされていった。