作品タイトル不明
935話 旅行・その1
国、各地の最強種。
そして魔族の協力を得て、ラインハルトに関する情報収集。
及び捜索が行われている。
ただ、難航しているようだ。
ラインハルトに関する情報はちょくちょく拾えているらしい。
古い文献などを丁寧に調べると、彼に関する記述が見つかるという。
でも、行方に関してはまったくの不明。
魔王城での戦いを最後に、姿は綺麗さっぱり消えた。
足取りをまったく掴むことができずにいた。
のんびりしていられないのだけど……
とはいえ、焦っても仕方ない。
今、俺達にできることは信じて待つことだけ。
それと、最後の戦いに向けて体を休めて、英気を養うこと。
――――――――――
「……と、いうわけで、ちょっとした旅行に行くことになったんだけど」
場所は、東大陸のクリオス。
人間と鬼族が暮らす街だ。
以前、ちょっとした事件でクリオスに赴くことがあり、街の人と交流を深めた。
観光地としても有名らしく、クリオスの人達も歓迎してくれていて、旅行先に選ばれることに。
「ほう、なかなか綺麗な街ではないか。人間にしてはやるな」
エーデルワイスも一緒だ。
彼女とは契約をしたから、それは当然のこと。
「わくわく、わくわく」
「リファの故郷なのに、楽しめるん?」
「色々あるから楽しいよ」
「遊びまくるっす!」
みんな、気合たっぷりだ。
こんな時に旅行なんてどうかと思ったけど……
来てよかった。
体を休めるだけじゃなくて、心もリフレッシュしてほしい。
「じゃあ、宿に行くか」
「「「おーっ!!!」」」
――――――――――
二泊三日の旅行。
長いようで短い日程だ。
宿に荷物を置いた後、みんなで街へ繰り出す。
「おー!」
カナデを始め、みんなは目をキラキラと輝かせた。
クリオスは湖の上に建つ街だ。
その特殊な構造から観光客が多く、そのための施設も多い。
以前来た時は、観光どころじゃなかったけど……
こうして落ち着いた時に来ると、以前はわからなかったことが色々と発見できた。
「レイン、なんだか美味しそうな匂いがするよ!?」
「レインさま、わたくし、あちらの書店に興味がありますわ」
「れ、レインしゃん……えっと、まずはお土産を探してもいいですか……?」
困った。
みんな、やりたいことがバラバラだ。
とはいえ、無理に一緒に行動する必要はないか。
「じゃあ、午前は自由行動で。昼は一度合流して、みんなでごはんを食べよう」
「「「はーい!」」」
というわけで、解散。
さて、俺はどうしようかな?
――――――――――
「はふぅ♪ お魚、最高にゃ~」
「こっちの肉串焼きもいけるわよ。肉汁たっぷりでジューシーね」
「やっぱり、我らはホットドッグなのだ!」
「はむはむ……街によって微妙に味付けが異なり、そういうところが楽しいですね」
カナデ、タニア、ルナ、ソラの四人は屋台巡りをしていた。
みんな、両手に料理を持っていて、口元をソースで汚していた。
苦笑しつつ、声をかける。
「カナデ達は屋台巡りか?」
「あ、レイン! うん、そうだよー。やっぱり、旅行に来たら、その地域だけの美味しいものを食べないとね」
「こう見えて、あたしはグルメなのよ」
「でも、カナデはただの食いしん坊なのだ」
「食いしん坊猫として名を轟かせていますからね」
「聞いたことないんだけど!?」
ちょっと否定できない俺がいた。
「そうだ、レインも食べる?」
「えっと……じゃあ、一つだけ」
昼まで時間はあるから、少しくらいなら大丈夫だろう。
「はい、どーぞ」
「あげるわ」
「あーん、なのだ」
「どうぞ、口を開けてください」
みんなが一斉に屋台料理を差し出してきた。
「いや、えっと……それ全部は、さすがに」
「じゃあじゃあ、誰か一人を選んで?」
「え」
「あたし達の誰が選ばれるのか、勝負よ!」
「ふふん、負けないのだ」
「ソラは、ソラが選ばれると確信しています」
「えっと……」
「「「さあ、誰を選ぶ!?」」」
いきなり妙な対決になってしまう。
ど、どうしてこんなことに……?
――――――――――
……とりあえず。
一人を選ぶことはできず、みんなの屋台料理、一口ずついただいた。
これ、昼は大丈夫かな……?