軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

934話 緊急対策会議

「では……これより、主さまにいかにして振り向いてもらうか? を題材とした、わたくし達、従魔による緊急対策会議を開きたいと思います」

ホライズンにある、とある飲食店。

そこを貸し切るコハネ達、最強種は、大きな丸いテーブルを囲む。

カナデ達はとても深刻そうな顔をしているが……

ニーナ、リファ、サクラは小首を傾げて。

ティナは苦笑していた。

そんな中、議事進行を務めるコハネが、いつもよりやや力の入った様子で言う。

「まず最初に、みなさまに確認しておきたいのですが……恥ずかしさや照れなどでごまかすことなく、正直にお答えくださいませ。主さまのことを好いていらっしゃいますか?」

「えっと……うん。私は、レインが好きだよ」

「それは、まあ……あたしも。その……好きよ」

「はい、好きですよ」

「うむ! ぶっちゃけ、レインの子供を産みたいのだ!」

「ぶっちゃけすぎですよ!?」

とんでもないことを言う妹に、姉がとても慌てていた。

「わたくしは、レインさまを愛していますわ。ふふ」

「レイン……すき」

「たはー。ニーナは、まだよーわかっとらんけど、ま、本質はウチらと同じやからええか。あ、ウチはレインの旦那、好きやで? もちろん、異性としてな」

「ボクもレインが好き」

「ぼくも!」

「え、えとえとえと、わ、ワタシなんかがそんなことを口にするのはおこがましいというか恐れ多いというか……と、とても好ましく思っていましゅ……」

「自分は、えっと……アニキにずっと隣にいてほしいっす」

一部、まだ幼い感情を見せていたものの……

乙女達は、それぞれ想いを口にする。

それは甘く切なく、そして温かい感情。

それを口にすることで幸せな気持ちになる。

それが『恋』。

「今日、みなさまに集まっていただいたのは他でもありません。主さまの心を射止めるための方法を一緒に考えるためです」

「レイン、鈍いからねー」

「カナデに言われたらおしまいね」

「なにそれ!?」

「まあまあ。仲間同士で争っても仕方ありませんわ」

「しかし、我らはライバルではないか? 必要以上に牙を剥くことはないが、かといって、恋愛に関してまで馴れ合う必要はないのだ」

「その必要がある、と申しましたら?」

「む?」

ルナは興味を覚えた様子で、イリスの言葉を待つ。

他のメンバーも耳を傾ける。

「とてもとてもとても、ものすごく苦労いたしましたが、現状、わたくし達の想いはレインさまの知るところになりました」

「「「……」」」

いくらかのメンバーが顔を赤くした。

ひっそりと抱いていた恋の妄想を、とある事件で思い切り本人に見せつける形になり、それで想いを抱いているのがバレて……

当時を思い返すと悶絶ものなのだろう。

「とはいえ、当時から色々とありまして、返事は保留。しばらくは問題の解決に注力する、ということになりました」

「うん、そうだね。私は、そうする方がいいと思ったから……」

「甘いですわ!!!」

「にゃん!?」

ビリビリと震えるかのような鋭い声をぶつけられて、カナデは尻尾をピーンと立てた。

「わたくし達は、レインさまにすぐに返事をしなくてもよい、と伝えましたわ。レインさまは、いずれ、返事をすると約束してくれました。ただ……」

「「「た、ただ……?」」」

「その返事が、必ずしもいいものとは限りませんわ」

「でも、それは仕方ないんじゃない? レインは一人しかいないわけだし……」

「自分達、みんなライバルになるっすね」

「はぁあああ」とイリスは、これみよがしに盛大なため息をこぼしてみせた。

やれやれと頭を振る。

その態度にイラッとする一同ではあるが、とりあえず続きを聞く。

「みなさん、愚かですわ。考えが足りていませんわ。頭の中、お花畑ですわ」

やっぱりコイツ締めようか?

一同、そんな怒りの表情を浮かべるものの、次のイリスの台詞ではっとさせられる。

「レインさまに好意を抱く女性がわたくし達だけだと、どうしてそう言い切れるのですか?」

「「「っ!?」」」

「王女はレインさまに好意を告げていますわ。勇者も怪しいですわね。冒険者ギルドの受付嬢も、秘めた想いを抱えていそうですわ」

「そ、そう言われると、そうかもしれませんね……」

「むぅ……」

一同は、ようやくイリスの言いたいことを理解した。

自分達は想いを告げた後、暗黙の了解で抜け駆けはしないようにしていた。

一連の問題が解決した後、レインから返事を聞く。

それまで卑怯な真似はしない。

そうすることで、レインにまっすぐに向き合いたいと思ったから。

でも……

そんな暗黙の了解は、サーリャやシフォンは知らない。

というか、知ったことではない。

律儀に守る必要はなくて、むしろ、抜け駆けをして告白をして、そのまま一気に……

「あわわわ!?」

「たい……へん」

「やばいね」

慌てる一同。

一部、本当に慌てているのかよくわからない無表情の子もいたが。

「なので、結ばれるとまでは言いませんが、わたくし達も、のんびりしているのではなくて、なにかしら行動を起こした方がいいのでは? と思った次第です」

「せやなー。そう言われると、その通りや」

「が、がんばりまひゅ!」

「でも、なにをすればいいの?」

サクラが小首を傾げた。

全員ではないものの、すでに想いは伝えた。

その上で保留を互いに望んだ。

これ以上できることは、いったい、なんだろう?

「ふふ。そこは、わたくしにお任せあれですわ♪」

イリスは、とてもとても、とーーーっても悪い顔を浮かべるのだった。