軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

931話 最後の脅威

エーデルワイスと王の会談は何度も何度も行われた。

和平が結ばれることは、ほぼほぼ決定だ。

ただ、そうなると、賠償や補償、協定などの細かいところを詰めていく必要がある。

一度で終わるはずもなくて、話し合いが重ねられていた。

ただ、聞くところによると、わりとスムーズに会談は進んでいるらしい。

時折、意見が衝突するものの、互いが納得する折衷案が浮上して、そこで話がまとまるとか。

いい感じだ。

これなら和平が成立するだろう。

今まで成し遂げられなかったことを成し遂げることができる。

希望だ。

それを見て、エーデルワイスは良い刺激を受けると思う。

彼女の中の魔王も、そこそこの影響があるはず。

――――――――――

3日後。

会談が繰り返された結果、和平の内容はほぼほぼまとまった。

あとは時間をかけて周知させて、納得してもらい、調印に至るだけだ。

と、いうわけで……

落ち着いたところで時間をもらい、ラインハルトの話をすることにした。

俺とコハネ。

シフォン。

王とココロさま。

エーデルワイスとジルオール。

計7人による、極秘の会談だ。

こちらは公にするわけにはいかない。

初代勇者が人間を滅ぼそうとしているなんて話、知られるわけにはいかない。

「ある程度、事情を知っている人もいるだろうけど、改めて説明すると……」

長くなってしまうものの、俺は、一からラインハルトに関する事情を説明した。

話が進むにつれて、みんなの表情が険しくなっていく。

「……ラインハルトに関して俺が知っているのは、こんなところかな」

「初代勇者が私達を滅ぼす……悪い夢みたいな話だね」

「とはいえ、儂らが、それだけの業を重ねてきたのは事実だ。責任を痛感しておるよ……」

「ふむ。説得はできないのだろうか? こうして、エーデルワイス殿ともわかりあえたのだ。なれば……」

「無理ですね」

ココロさまの質問に、俺は首を横に振る。

「ラインハルトの決意は絶対に覆らないと思います。それだけの強いものを感じました」

「……まあ、それもそうなのだろうな」

食い下がることなく、ココロさまはあっさりと納得した。

ラインハルトは、初代勇者として世界を救おうとした。

愛した人を助けようとした。

しかし、助けた人間が世界を蝕み、魔王を生み出した。

愛した人も、そんな人間を助けるために身を削り、倒れた。

その間に産まれた子供もまともな道を歩くことはできていない。

人間に愛想を尽かすのは当たり前。

世界にとっての害であると考えるのも当たり前だろう。

「ふむ……質問をよいか?」

エーデルワイスが小首を傾げた。

「ラインハルトというのは、私と戦っていた長身の人間だな? それと、ヤツの仲間は、あの場にいたいくらかの最強種。それで間違いないな?」

「ああ」

「こう言うと反感を買うかもしれぬが……ヤツは世界の脅威になりえるのか?」

「え」

「私と戦っていた時、本気を出していたように見えたが……私に遠く及ばないぞ?」

「魔王様。あなたと比べるというのは、さすがに……」

「だから、私に勝てぬ男が世界の敵となりえるのか、と聞いている」

言われてみると、それはもっともな疑問だった。

エーデルワイスを止めるため、ラインハルト達と共闘した。

ラインハルトも刃を抜いて一緒に戦った。

しかし、純粋な戦闘力はエーデルワイスの方が圧倒的に上。

普通に戦っていたのならば、俺達は負けていただろう。

今の結果を迎えられているのは、皆の絆があったからこそだ。

「いざという時は、私が動けば問題はないのではないか?」

「ふむ……エーデルワイス殿の話はもっともではあるが、儂は、そう簡単な話とは思えぬ。世界を相手に個で挑む、なんて愚かなことはしないだろう。なにかしらの策を用意していると思う」

「父の意見に賛成だ。私も、初代勇者は、世界を敵に回すだけの切り札を持っていて、そして、自信があるのだと思う」

「それらの正体を突き止めたいところですが……」

ジルオールを始め、この場の皆の視線が俺に。

俺は首を横に振る。

「ごめん。そういう細かいところは、なにもわからないんだ」

「そっか、残念。なら、私達がこれからやることは、ラインハルトさんがどんな方法で戦おうとしているのか突き止めること、でいいのかな?」

「シフォンよ、それだけではない。なにが起きても対応できるように、防備も進めなければ」

「なれば、私も協力しよう。ジルオールよ。人間達と協力して、防備についての策をできるだけ揃えてみせろ」

「はい、かしこまりました」

……その後も色々と話が行われたものの、どれもこれも推測にすぎず、決定的な情報にたどり着くことができない。

ラインハルト……お前は、いったい、なにをしようとしているんだ?