作品タイトル不明
896話 この夜を守るために
ピーガガガガガ!
ギュイイイイイィーーーン。
ガッ、ガッ、ガッ……ドガガガガガ!
ガゴーン!!!
――――――――――
「これ、なんの音なんや……?」
「今、モナがレインを調べているみたいなんだけど……甲高い音は謎ね」
「こ、コハネしゃんの力、でしょうか……?」
「気になる」
「あちらは任せて、ソラ達はお守りの量産体制を整えましょう。時間はありませんよ」
「うむ。こっそり覗くのは我に任せるのだ」
「「「お前も働け!」」」
――――――――――
「つ、疲れた……」
「主さま、大丈夫ですか?」
「なんとか。俺のことを調べる、っていうだけで、寝ていただけなのに……こんなにも疲れるなんて」
「身体の調査は、意外と負担がかかるものですから」
「疲れたのなら休むか?」
「いや。まだまだ動ける。なにも問題はないさ」
「その意気だ。期待しているぞ」
――――――――――
あっという間に3日が過ぎた。
お守りの製作は順調。
というか、すでに完成した。
今は量産体制に移行している。
ラインハルト達の協力もあり、予定通り、4日で完了しそうだ。
その後、1日で進軍の準備を整えて。
1日で魔王城、及び魔王を攻略する。
残り1日は保険だ。
「ふぅ」
夜風を浴びつつ、冷たい水を飲む。
全身に染み渡るみたいで美味しい。
西大陸に来て、何度目になるかわからない夜空を見上げた。
地上の動乱とは正反対に、夜空はとても静かだ。
こちらは関係ないというかのように、星が点々と輝いている。
深く濃い夜空。
輝く星。
とても綺麗だ。
「なにも変わらないんだよな」
だからこそ守りたいと思う。
「レイン」
「ラインハルトか……どうかした?」
「そろそろ宿に戻れ。お前の使い魔が、レインがいない、もしかして……とソワソワしていたぞ」
いったい、みんなはなにを考えているのだろう?
そこがすごく気になる。
「教えてくれてありがとう」
「礼を言われるほどのことはしていない。ただ、お前の仲間の様子を伝えただけだ」
「そっか」
すぐに宿に戻るつもりにはなれなくて。
そして、ラインハルトも隣に並び、夜空を見上げた。
「あのさ」
俺は自然と口を開いていた。
「魔王をなんとかして……その後、やっぱり考えは変わらないか?」
「変わらないな」
即答だった。
迷いも、躊躇いも、それらは欠片も感じられない。
「そっか」
その答えは予想できていたから驚くことはない。
やっぱり考え直してほしい、とお願いすることもない。
ただの確認のようなものだ。
だから……
俺は、以前と同じように、同じ言葉を繰り返す。
「止めるから。俺は、ラインハルトのやろうとすることを止める。絶対に」
「……」
返事はない。
俺も、彼の顔を見ない。
それは、改めての宣戦布告のようなもの。
それでも……
場は、少し柔らかい雰囲気が流れていた。