作品タイトル不明
895話 天才と呼んでもいいよ?
改めて会議を開いて……
問題点を洗い出して、解決策を探り……
そんな中、モナが名乗りをあげた。
「それ、たぶん解決できるぜい?」
「本当か?」
「あれぇ!? なんで、真っ先にラインハルトが疑うの!? 主従関係を結んでいるんだから、信頼するべきところでしょ」
「お前は適当がすぎる」
「しょぼん……」
モナが涙目で、机の上に指先で『の』の字を書く。
それを見たミツキとアリエイルが、彼女を慰めて……
「うっさい。なにか案があるなら、早く言え」
「私、思わせぶりな態度をとる子は嫌いよ? おしおきしちゃうかも、ふふっ」
訂正。
慰めることなく、脅していた。
「ボクの仲間は、どうしてこう、バイオレンスなんだろう……? マスターのせいかな? マスターのせいだよね?」
「モナの日頃の行いのせいだ」
「しょぼん……」
今度はガチ凹みだった。
「ごめん。どういう解決策があるのか、早く聞きたいんだけど……」
「よくぞ聞いてくれたね! うんうん、やっぱりこういう感じでないと。頼りにされるって気持ちいいよねえ。ふひひひ、っていう感じで笑みがこぼれちゃうよ。さあ、もっとボクを頼りにして! 迷える子羊達に、このボク様が知恵を授けて……」
「噛むぞ」
「答えは早く出さないとね!」
ミツキが口を開いて尖った牙を見せつけると、モナはたらりと冷や汗を流した。
「こ、答えは簡潔にしないとね、うん。ボクもそう思っていたところさ! で、その答えはというと、テイム技術を解析して、それを元にしたお守りを配ればいいのさ!」
「テイム技術を解析……」
「お守り……」
ミツキとアリエイルが揃って小首を傾げた。
仲が良い。
こちらのメンバーも、同じように不思議そうな顔をしていた。
ただ、イリスやコハネなどは、納得した様子で頷いている。
「簡単に言うと、擬似的にテイムされるアイテムを作るのさ。そのアイテムを持っているうちは、すでに他者に使役されていると、魔力の流れそのものに誤認させる。魔王の支配は魔力を使ったものだから、先に支配されていたら割り込む余地はないのさ。あくまでも力任せの単純なものだからね」
「なるほど、妙案だ」
「ついでに、契約者に魔力が流れていくような機能を追加しようか。そうすれば、魔力を集める、っていうのも簡単にできて、一石二鳥さ」
モナはドヤ顔で語り……
カナデ達は、「おー」と感心した様子で拍手をした。
実際、それくらいすごいアイディアだ。
魔王の影響をどうにかするだけではなくて、魔力を集める手段も確保してしまうなんて……
敵として対峙した時は非常に厄介だったけれど、味方にすると、すごく頼りになる。
「そのお守りは簡単に作れるのですか?」
「んー……ちょっとレイン・シュラウドを解剖、じゃなくて、調べる必要はあるから、今すぐにっていうわけにはいかないかな? でもまあ、そこまで時間はかからないよ。調べて、試験品を作って、グレードアップして、量産して……1週間ってところかな? ほら、前にカシオンやコハネが色々と研究していただろう? その成果を引き継げば、かなり短縮できるはずだ。まあ、前の研究のバージョンアップ、って考えた方が良いかな」
ジルオールの質問に、モナは少し考えてから答えた。
「一週間……か」
人間の軍が動き出すのも1週間後。
シフォンが足止めをしてくれると言っていたものの、ほぼほぼ時間がないと考えた方がいいだろう。
「ギリギリだな」
「もうちょっと早くならないのか? 我らも手伝うぞ」
「あー……それ込みで、1週間って考えていたんだよねー」
「でもでも、どうにかして短縮しないとだよ!」
「そうね。街の外で活動できるようになったとしても、人間の軍とカチ合うことになったら意味がないわ」
「せめて、3日くらいの猶予が欲しいやん」
「そう言われてもなあ……」
モナは困り顔だ。
1週間という数字も、わりとギリギリなのだろう。
あまり無理を言って困らせたくないのだけど……
でも、どうにかできないか考えたい。
そんな時、ラインハルトが口を開く。
「モナ」
「へいへい」
「俺も手伝う」
「へ? マスターも?」
「お前のことだ、俺はカウントしていないだろう?」
「ま、まあ……」
「あと、コハネの能力は解析に非常に有効だ。モナが思っている想定の十倍は早くなるだろう」
「え、マジで?」
コハネは謎に包まれた、最後の最強種。
故に、モナもその能力の全てを知らなかったらしい。
まあ、俺達もまだまだ知らないところはたくさんあるのだけど。
「それが本当なら、んー……4日に短縮できるかも?」
「だ、そうだ」
ラインハルトが俺を見た。
しっかりと協力してくれていて、驚きを感じてしまう。
「なんていうか……ありがとう」
「この問題が片付くまでは味方だ。ならば、やれることはしっかりとやる」
頼りになる人だ。
できるなら、ずっと味方でいてほしいのだけど……
たぶん、それは無理なのだろうな。
味方になるというラインハルトの言葉に嘘は感じない。
でも、それは『今』だけ。
魔王の問題が片付いたら、俺は、彼と戦うことになるだろう。
それは運命のように……
絶対に避けられないものなのだと思う。