軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

891話 狂化

ライハ、コハネを抜いた残りのメンバーで街の外に出た。

地図を確認しつつ、教えてもらった場所へ急ぐ。

「カナデ、匂いわかる?」

「リファまで私を犬扱い!? あーもう!」

カナデはヤケになりつつ、くんくんと鼻を鳴らす。

「……あっち!」

「了解。おいで」

リファは親指を噛んで血を垂らす。

そして、眷属である巨大な狼を二頭、召喚した。

「レイン、乗って」

「わかった!」

「ボクとレインが先行するね」

「任せたわ!」

狼が力強く大地を蹴り、ぐんっと急加速した。

ちょっとでも気を抜いたら振り落とされてしまいそうだ。

その代わり、予想以上の速度で現場に駆けつけることができた。

大きな荷物を背負う魔族達が十数人。

道の途中でうずくまり、体を震わせている。

中には地面に爪を突き立てたり。

あるいは、目を血走らせて、獣のように唸っている人もいた。

「これは……」

「魔王の影響?」

「たぶん、な」

どうする?

まだ、ギリギリのところで理性を保っているみたいだ。

ただ、奇跡的なバランスで成り立っているだけ。

すぐにでも暴走してしまいそうだ。

「どうする?」

「……乱暴になってしまうのは悪いけど、拘束して連れて行こう」

助けたはいいものの、途中で暴走されたらたまらない。

心苦しいのだけど、グルンヒルドまでは拘束させてもらう。

動物を使役したり、リファの眷属を借りれば、この人数も運ぶことは可能だ。

みんなに頼めば、荷物も全部運ぶことができるだろう。

「う、ぐっ……あ、あんた達、は……?」

一人の魔族がこちらに気づいて、警戒するように後ずさる。

そんな彼に向けて、俺は手を差し出した。

「大丈夫、俺達は味方だよ」

「み……かた?」

「ジルオールやカシオンに頼まれて、助けに来たんだ」

「……」

「頼む、信じてくれないか?」

「……ありが、とう」

男は苦しそうにしつつも、なんとか笑みを作り、俺の手を取る。

「俺達は、もう……だから……」

「切り捨てる、なんてことはしないさ。拘束はさせてもらうけど、そこは我慢してほしい」

「迷惑、かけて……すまない」

「気にしないでくれ。こういう時は、お互い様だから」

小さく笑い。

男も笑う。

「よし。リファ、この人達の動きを止めるぞ」

「オッケー。ブラッドバインド」

リファの血が糸状に変化して、魔族達を地面に縫い付けていく。

血の糸はとても細いが、しかし、鋭利ではなくて肌が切れることはない。

弾力性と剛性に富んでいるらしく、いとも簡単に魔族達を拘束してしまった。

「……そんな技、あったのか?」

「今、作った」

簡単に言うけど、とてもすごいことだ。

リファって、ぼーっとしているようで、でも、実はとんでもないんだよな。

血を使い、ありとあらゆるものを生成して。

さらに、眷属を作ることもできる。

わりと完璧だ。

「でも、その場に繋ぎ止めただけ。新しく、ぐるぐる巻きにしないと」

「ぐるぐる巻きにしなくてもいいと思うけど……それは、みんなが来てからにしよう。って、ちょうどいいところに」

「レーイーン!」

カナデ達が遅れてやってきた。

避難民達は危うい様子ではあるが、まだ暴走はしていない。

よし。

これならなんとかなりそうだ。

「さあ、がんばろうか!」

――――――――――

「ふぅ、こんなところか」

みんなの協力もあり、避難民達が暴れても問題ないように拘束が完了した。

イリスに、簡単な荷馬車を用意してもらい……

俺が仮契約をした馬で、避難民達を乗せた荷馬車を引いてもらう。

避難民達の荷物も、同じようにもう一台荷馬車を用意して対処した。

「他に懸念点があるとしたら、魔物だけど……」

「……主さま。周囲一帯をスキャン、精査いたしましたが、魔物の姿はありません」

「そっか、それはよかった」

「ただ……」

コハネの表情が曇る。

その理由をすぐに理解することになった。

「やっほー、レインくん」

「……シフォン?」