軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

888話 休むヒマがない

「ふぅ」

魔物を斬り伏せて、その体が魔石に変わったところで吐息をこぼす。

それから周囲を見た。

「今ので最後かな?」

「うん、最後」

「レイン! ぼく、がんばった! なでなで!」

リファは無表情に頷いて、サクラは尻尾をぶんぶんと振って、期待するような目をこちらに向けてくる。

対照的な二人だ。

苦笑しつつ、二人の頭をぽんぽんと撫でた。

「ようっ、そっちは終わったみたいだな」

カシオンがやってきた。

ところどころ、魔物の返り血を浴びているものの、本人はまったくの無傷らしい。

「見ての通り、街には一匹も侵入させていないよ。そっちは?」

「俺様を誰だと思ってやがる? 撃滅だぜ、撃滅!」

「それはいいんだけど……街の外に出て大丈夫なのか? 魔王の影響は?」

「気合だ!」

「……」

「ま、ここはまだ影響が薄いからな。少しなら問題ねえよ」

「そっか、よかった」

「……ほんと、変なヤツだな」

「え、なにが?」

「魔族の心配をする人間なんて、見たことねえよ」

「こうして普通に話ができる、って知ったからな」

だからこそ心配をすることができて、そして、笑い合うこともできる。

「んー」

「なんだ? ガキンチョ」

「キミ、そこそこ強いんだね」

「んがっ」

リファに上から目線で言われてしまい、カシオンが絶句した。

さらに、サクラが追い打ちをかける。

「でもでも、レインの方が上! ぼく、わかる!」

「……よし、レイン。ちと模擬戦をしようぜ」

「いやいやいや。今はそんなことをしている場合じゃないだろ?」

「このまま引き下がれるか! 男のプライドがかかってんだよ!」

「はは……」

……本当に。

こうしていると、俺達となにも変わらない。

「よし。ちょっと街の周囲を調べてくるよ。魔物が他にも潜んでいるかもしれない」

「なら、ボクも行く」

「ぼくも!」

「リファとサクラは、みんなの手伝いをしてくれないか? 俺の方は大丈夫。魔物を見つけても戦うことはしないから」

「むぅ」

なぜかリファがとても不満そうだ。

うーん?

思えば、最近、よく一緒にいようとしているのだけど……

そういう年頃?

「俺はジルオール様のところに戻るぜ。あらかた片付いたみたいだからな。色々と確認しておかねえと」

「了解。俺の方も、周囲の安全を確認したら、そちらに行くよ」

三人と別れて街の外に出た。

まずは、魔物ではなくて動物の捜索。

運良く狼の親子を見つけることができた。

こんなこともあろうかと、持ち歩いていた干し肉を渡す。

代わりに、仮契約。

力を貸してもらい、周囲の安全確保に協力してもらう。

「ひとまず、大丈夫かな?」

1時間ほどかけて、周囲に魔物がいないことを確認した。

狼達に臭いを確認してもらい、見えない範囲にも魔物がいないことを確認した。

絶対に大丈夫とは言い切れないけど……

ある程度は安心してもいいだろう。

「ありがとな」

「オフッ!」

狼達の頭を撫でて、ついでに、追加の干し肉をあげた。

仮契約を解除して狼達と別れる。

グルンヒルドへ戻り……

「レイン!」

「おわっ」

忠犬よろしく、ずっと待っていたらしく、サクラが抱きついてきた。

「もしかして、ここで待っていた?」

「うん! ぼく、レインを迎える役!」

「そっか、ありがとな」

「えへへー……わふ?」

不意にサクラが鋭い表情になる。

俺の顔に自分の顔を近づけて、すんすんと嗅ぐ。

「ぼく以外の匂いがする……レイン、うわき?」

「いやいやいや!?」

「うー、ぼくというものがありながら!」

「ちょっと落ち着こうか?」

誰だ、サクラにこんなことを教えたのは?

頭の中に、ぱっと数人の容疑者が思い浮かぶ。

よし。

後でしっかりと問い詰めておこう。

「主さま!」

ふと、コハネが慌てた様子で駆けてきた。

魔物の襲撃を告げてきた時と同じ様子で……いや。

それ以上に慌てているような気がする。

すごく嫌な予感がした。