作品タイトル不明
886話 実は仲良し?
グルンヒルドを少し出たところに、猫霊族と竜族の姿があった。
しかし、それはカナデとタニアではない。
ラインハルトを主と慕う、ミツキとアリエイルだ。
「あらあら。けっこうな数の魔物がやってきたわね。百匹は軽く超えているみたいだけど……これだけの数が揃うと、けっこう壮観ね」
「なんでもいいよ。ぶっとばしがいがあるし」
「もう、ミツキは戦うことしか考えていないのね」
「私は考えるの苦手だから、そういうのはラインハルトに任せる」
「困った子」
「にゃ!?」
ふと、第三者の声が響いた。
二人が振り返ると、そこにはカナデとタニアの姿が。
「あんた達は……」
「ミッツーとアルル!」
「「違う!!」」
ミツキとアリエイルは言葉を重ねて否定した。
「絶妙に間違えないでくれるかしら? 私はアリエイル。で、この子はミツキよ」
「おー、そうだった。ごめんね?」
「シャー……」
名前を間違えられて不機嫌らしく、ミツキが牙を剥く。
「で、あなた達はなにをしに来たのかしら?」
「もちろん、魔物の撃退だよ」
「あちらこちらからやってきているから、あたし達がここを担当することになったんだけど……」
あんた達と一緒に戦うの?
タニアはその言葉を飲み込み、代わりに微妙な顔をした。
一時的なものではあるが、ラインハルトとは協力関係を築くことができた。
彼と契約するミツキ達も味方と思いたいのだけど……
「フシャー!」
この様子を見る限り、なかなか難しそうだ。
やれやれ、とタニアは小さなため息をこぼす。
「お前達なんていらないよ。あの程度の魔物、私達が全部ぶっ殺す」
「でもでも、協力した方が早いよ? 同じ猫霊族なんだし」
「うっさい。私は、馴れ合うつもりなんてないからな」
「にゃー……」
「うっ……な、なんでそんなにしょんぼりするんだ?」
「だってだって、せっかくの猫霊族同士なのに、寂しいことを言うから……」
「そ、それで落ち込むとか、意味不明だし!」
「にゃー……」
「だから落ち込むな!」
カナデの尻尾がしゅんと垂れ下がり。
それを見て、ミツキが慌てて。
そんな二人を見て、タニアとアリエイルが不思議そうに言う。
「意外と仲が良いのかしら……?」
「かもね」
こちらは、それほど仲は悪くなさそうだ。
「あんたは、あたし達と協力することに反対?」
「いいえ。楽ができるのなら、それに越したことはないわ」
「ふーん、話がわかるじゃない」
「それと、あんた、じゃなくてアリエイル、って呼んでちょうだい」
「なら、あたしのことはタニアで」
二人は微笑み、握手を交わす。
気が合うようだ。
「ほら、ミツキ。いつまでもわがままを言っていないで、ちゃんと戦うわよ」
「でもでも」
「協力した方が良いに決まっているでしょう? 失敗でもしたら、ラインハルトに見せる顔がないわよ」
「っ!? それは嫌だ!」
「なら、いいわね?」
「うー……仕方ないな。おい」
ミツキがカナデをちらちらと見る。
まっすぐに見ることは難しいようだ。
「えっと、その……私の足を引っ張るなよ?」
「うんっ、がんばるよ!」
「な、なんでそこで嬉しそうにするんだよ……訳わかんないし」
「にゃふ~♪」
カナデの尻尾が立ち上がり、ゆらゆらと揺れた。
「カナデ達も問題なさそうね。と、いうわけで……」
タニアは門の外を睨む。
すでに魔物の群れは目前に迫っていた。
「ひと暴れといきましょうか!」
「「「おうっ!!!」」」