作品タイトル不明
879話 可能か? 不可能か?
……あれから、さらに1時間ほど話し合いを重ねて、会議は解散した。
魔王が覚醒したが、準備に時間がかかるため、すぐに戦争が始まることはない。
グルンヒルドが攻められることもないだろう。
なので、今しばらくは落ち着いて考えて、いくつかの行動を起こすことは可能だ。
故に、今は宿で休んでいた。
会議で頭を使いすぎて、さすがに少し疲れた。
「……ラインハルト、か」
ニーナの案を思い返した。
もしも彼の協力を得られたのなら、とても心強いだろう。
カシオン達から魔力をもらい、ラインハルトに協力してもらい……
魔王を使役できる可能性がぐっと上がる。
「とはいえ、簡単に協力してもらえないよな」
ラインハルトは人間を滅ぼすと言った。
なら、魔王を放置する可能性が高いのではないか?
そうすれば、魔王が代わりに人間を滅ぼしてくれるのだから。
「最悪、ラインハルトが魔王側に……そうなると、これ以上ないほど厄介な事態に、でも、もしも味方になってくれたのなら……」
あれこれと考えて。
でも、考えがまとまらず、ため息をこぼす。
「どうしたらいいんだろうな」
「アニキ」
振り返るとライハの姿があった。
「どうしたっすか、こんなところで」
「ちょっと考え事をしていたんだ」
「……ラインハルトの?」
「正解」
俺はわかりやすい、ってよく言われるけど、今回は、その自覚はあった。
「味方になってほしい。でも、味方になってくれるとは思えない。どうしたらいいんだろうな、って」
「んー……自分はそんなに詳しくないっすけど、一時、共闘したこともあるっすよね?」
アルトリウスの時のことを言っているのだろう。
たぶん、誰かから聞いたのかと。
「ああ。その場限りのものだけど、一緒に戦ったことはあるよ」
「なら、話をしてみるといいっす。大丈夫っすよ!」
ライハはにっこりと笑う。
その話に根拠はない。
大丈夫、その裏に理由なんてない。
でも、不思議とそう思うことができた。
「なにもしないうちから諦めるなんて、アニキらしくないっすよ。自分の知るアニキは、とにかく前に突き進んで、諦めないで、でも、時々振り返って自分の立ち位置を確認して、それで……えっと?」
話しているうちに混乱してきたらしく、ライハが小首を傾げた。
「と、とにかく! アニキならいけるっす! 大丈夫っす! ゴーゴー、っす!」
「……ははっ」
「えー、笑われた!?」
「いや、ごめん。でも……うん、ありがとう」
ライハの言う通り、迷うのはらしくないかもな。
できることを、できる限りやる。
今までそうしてきたはずだ。
なら、今回も。
「やってみるか」
――――――――――
ラインハルトを説得するにあたり、ソラとルナにちょっとしたお使いを頼んだ。
いつも頼り切りで申しわけない。
それと、コハネに同行してもらうことにした。
ラインハルトと旧知の仲で、彼女がいればあるいは、という打算がある。
あとは、ラインハルトのいる場所だ。
ラインハルトも、この事態を察して……いや。
たぶん、それ以前から俺の動きを把握して、どう動くか、わりと近いところで観察しているのではないか? と考えている。
同じ西大陸にいるはずだ。
「ラインハルトがどこにいるか、できる限り、早く突き止めたいんだけど……みんな、いいアイディアはないかな?」
宿に集まり、みんなに相談した。
こういう時は一人で考えていても仕方ない。
「カナデ、ゴー!」
「私、犬じゃないからね!?」
「カナデ、いける!」
「犬っぽいサクラのお墨付き!?」
「犬猫少女」
「めっちゃ意味不明な称号やなー」
コハネが挙手をする。
「ある程度、場所を絞ることができれば、衛星とリンクして位置情報を共有……えっと、つまり、探ることができます」
「本当か?」
「はい。ただ、ある程度を絞らないといけませんので……」
「その方法をどうすればいいか、だな」
さて、いい方法はあるだろうか?
「それよりも、もっと簡単な方法がありますわ♪」