作品タイトル不明
864話 譲れない想い・その6
六人目、七人目、八人目……
どんどんモニカの幻影が増えていく。
いつの頃からかニ桁に達して、数えるのが難しくなるほどだ。
前後左右。
四方八方。
ありとあらゆる角度、方向から剣撃が放たれてきた。
「ブースト!」
俺は闘気をまとい、さらに身体能力強化魔法を自分にかけた。
その状態で回避に専念して、モニカ達の攻撃を避ける。
あるいは防ぐ。
その間にも、モニカの幻影はどんどん増えていた。
上限はないのか?
このペースで増えていくと、そのうち、百を超えてしまいそうだ。
そうなる前に決着をつける。
「っ!? 動きが……」
まずはテスト。
幻影と思われるモニカに魔眼を使用した。
ピタリと動きが止まり、彼女達の連携が乱れる。
通常、魔眼は実体のないものには通用しないのだけど……
幻影には問題なく通用するらしい。
実体を持つほどのレベルだからこそ、魔眼も通用するのだろう。
続けて、あらかじめ作っておいた、麻痺毒の瓶を空中で割り、散布した。
俺は、ルナとの契約で得た状態異常無効化があるから問題ない。
ただ、幻影のモニカはそうはいかないらしく、いくらかが動けなくなり、倒れた。
やはりだ。
通常、幻影なんてものに麻痺は通用しないが……
実体を持つことで、逆に通用するようになっていた。
弊害と言うべきか?
ただの幻影なら対処することは難しい。
モニカが管理するものだから、俺が打ち消すことはできない。
ただ、実体を持つのなら……
「まとめて薙ぎ倒せばいい!」
わりと簡単な答えだ。
迷うことはない。
クサナギをサードフォームへ。
弾薬を装填。
力が行き渡り、刀身が淡い光をまとう。
まとわりついてくる幻影達を振りほどくように、宙へ跳んだ。
回転して、角度を調整。
「重力操作!」
地面に向けて急加速して……
そのままの勢いで、ありったけの力を叩きつけた。
「「「っ!?」」」
ゴッ! というような衝撃と爆発。
幻影達がまとめて吹き飛んで……
ほどなくして、その姿が消えていく。
おそらく、ダメージの許容限界に達したのだろう。
人間で言うと致命傷。
それに等しいダメージを受けた場合、消滅するようだ。
「やりますね」
「ですが、私の力が尽きることはありません」
「力の源は、胸の内で燃える憎しみの炎……それは、いつも激しく燃え盛っているのですから」
すぐに幻影達が復活した。
数だけじゃなくて、生み出される速度も増しているらしい。
なんて厄介な。
今の攻撃でモニカも……なんて、都合のいいことを期待していたけど、そうそううまくはいかないみたいだ。
やはり、どうにかしてモニカを見つけて、叩く必要がある。
幻影の対処は問題ない。
そうなると、次に取る行動は……
「甘いですね」
「っ……!?」
声は後ろから聞こえてきた。
それと同時に、腹部に走る強烈な痛み。
視線を落とすと、血に濡れた刃が生えていた。