軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

862話 譲れない想い・その4

「やはり、最後にはあなたが立ちはだかるのですね……レインさん」

「何度でも邪魔をするさ」

モニカと対峙する。

モニカは細身の剣を。

俺は、クサナギを。

それぞれに構えて、睨み合う。

「あなたはかつて、イリスさんの復讐を許容しようとした、と聞いたことがありますが……」

「そんなことまで調べているのか」

「今では、最大の強敵ですからね。情報収集は欠かせません」

やっぱり侮れない相手だ。

改めて気を引き締める。

「私の復讐は認めていただけないのですか?」

「……正直なところを言うと、わからないでもないさ」

モニカの怒りは至極当然のもの。

復讐は正当な権利だと思う。

ただ……

「今の俺は、譲れないものを抱えているから」

魔族と和平を結び、戦争を止めてみせる。

王に、そう宣言してみせた。

自分の言葉には責任を持たないといけない。

モニカの事情に同情はするが……

だからといって、やっぱり止めた、なんて無責任なことはできない。

たくさんの場所で、たくさんの悲劇を見てきた。

そんなものはもう、終わりにしたいと、心の底から強く思った。願った。

だから。

そのためにできることをやる。

やると決めたことを貫き通す。

「俺は、モニカを止めるよ」

「止める……ですか。そこは、殺す、ではないのですね」

「できれば、それは避けたい」

「同情ですか?」

「同情だよ」

「ふふ、ありがとうございます。安い同情なんて、と言う人もいるかもしれませんが……まったくの無関心よりは嬉しいですからね。誰かに気にかけてもらえる。それは、とても幸せなことではないでしょうか? 私は、そのことを嬉しく思います」

「……モニカ……」

「ですが」

モニカの殺気が膨れ上がっていく。

「私の邪魔をするのならば、消えていただきます」

「させないさ」

睨み合い……

呼吸をして……

「「っ!!」」

俺とモニカは同時に前に出た。

それぞれに剣を繰り出して、刃が交差する。

競り合いは少し。

腕力なら俺の方が勝る。

モニカの剣を弾き飛ばそうとして……

しかし、それを察知したモニカが横に飛んで、競り合いから逃れた。

そのまま、回り込むようにして駆けた。

横から突っ込んでくる。

速い。

こちらは、さきほどの競り合いでわずかに体勢を崩している。

強引に迎え撃つか?

それとも、避けて体勢を立て直すか?

判断に迷い……

第三の選択肢を取る。

「っ!?」

魔眼。

睨みつけることで、モニカの動きを若干ではあるが止めることに成功した。

そのまま拘束したいものの、うまくいかない。

相手が実力者の場合、そうそう長い時間は効かないのが難点だ。

モニカは、警戒するように一度距離を取る。

「今のは……?」

「さて」

「厄介ですね。いつの間にか、私の知らない力を身に着けているなんて」

「そう思うのなら、諦めてくれると嬉しいんだけど」

「そういうわけにはいきませんね。それに……私も成長しているのですよ?」

モニカの姿が蜃気楼のように消えた。

幻影を生み出す能力の応用だろう。

「……」

どこから来る?

周囲を警戒して、いつでも動けるように身構えた。

1秒、5秒、10秒……

そして、30秒が経ち、焦れてきたところでモニカが姿を見せた。

意外というか、真正面だ。

それまでなにもなかったところに、突如、姿を映す。

鋭く速い一撃。

タイミングは崩されているものの、心構えはしっかりしておいたので、それほど動揺することなく、失敗することなく剣を受け止めることができた。

再び競り合う形になって……

「甘いですね」

「なっ!?」

もう一人のモニカが背後から斬りかかってきた。