軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

861話 譲れない想い・その3

「わんっ!」

再びサクラが突撃した。

そんな彼女をフォローするように、リファもその背中に続く。

サクラが殴り込み……

リファが、血の大鎌を薙ぐ。

いくらかの敵が吹き飛んで、いくらかの攻撃を相殺した。

「フルバースト」

コハネが周囲に展開した銃が、再び一斉に火を吹いた。

しかも、一度ではなくて連続で。

弾丸の嵐。

それらは正確に魔族の手や足、それと翼を撃ち貫いていく。

音がした瞬間、すでに弾丸が到達している。

そんなすさまじい攻撃を回避することは難しく、次々と魔族が倒れていく。

そんな仲間を回収して、後方に下がるものの……

コハネがさらに追撃する。

「容赦ないな……」

「主さまに敵対する以上、敵でございますので。情けをかける必要は一切ありません」

実は一番、コハネが怖いのかもしれない。

「……みんな、この場は任せてもいいか?」

取り巻きを倒しても意味はない。

狙うは、リースとモニカ。

二人を止めるか……

あるいは、倒すかしないといけない。

「いいよ。他はボク達に任せて」

「が、ががが、がんばりましゅ!」

「わふっ、がんばれる!」

「アニキ、お願いするっす!」

みんな、迷うことなく頷いてくれた。

ただ、コハネは俺の隣から動こうとしない。

「相手がお二人ならば、わたくしにご一緒させていただけませんか? こう見えて、戦闘は得意でございますので」

「ああ、頼むよ。元々、コハネに頼むつもりだった」

「光栄です」

コハネは嬉しそうに微笑む。

自惚れかもしれないけど、俺のために役立てることが嬉しい……とか?

「む。なんか、モヤモヤ……」

「あわわわ、リファさん。それは、もしかしてもしかすると!?」

「ぼく、いっぱいがんばってレインに褒めてもらう! 頭、なでなで」

「いいっすね! アニキのなでなでは至高と聞いているっす。恍惚感に満たされて、魂を奪われて、もう戻ってこれないとか」

誰だ、そんな話をしたのは?

「じゃあ、ここは任せた。いこう、コハネ」

「はい」

みんながタイミングをあわせて、牽制の一撃を放つ。

包囲網に穴が空いて、俺とコハネは飛び込んだ。

一気に駆け抜けて……

奥に控えるリースとモニカと対峙する。

「あら。こうも簡単に抜かれてしまうとは……まったく。後でお仕置きが必要ですね」

「後で、なんてものはない。ここで終わりにする」

「ふふ。威勢だけはいいですね」

「リースさま、レインさんを侮らないでください。彼は脅威です」

「ええ、わかっています。私達の計画を、ことごとく潰された……その中心にいたのは、いつも彼ですからね。こんなことになるなら、一番最初に狙うべきだった。ふぅ……私も、なかなかにダメですね」

おどけてみせるものの、リースから放たれるプレッシャーは増していく。

空気が重く、息をするのも辛いほどだ。

本気……ということなんだろうな。

一方のモニカも圧を増していた。

表情はどこまでも鋭く。

瞳は研ぎ澄まされて。

名匠が鍛えた剣のようだ。

「主さま、私にリースの相手を任せていただけますか?」

「いいのか?」

元々、そう考えていた。

できることなら、モニカの相手は俺がしたい。

人間がやらかしたことは、人間の手で後始末をつけるべきだ……と。

とはいえ、リースは強敵だ。

限定的ではあるが、時間を操るという、とんでもない能力を持つ。

コハネを信じていないわけじゃないけど、しかし、どこまで対処できるか……

いや。

そんな考えを持つこと自体、信じていないっていうことになるな。

大丈夫。

コハネは強い。

うまくやってくれるはずだ。

「わかった、頼むよ」

「信じていただき、ありがとうございます」

「ただ、絶対に無理はしないこと。約束してくれ」

「はい。わたくしは、主さまのもの。主さまの許可なく、消えてしまうようなことはありません」

「うん、了解だ」

まだ出会って間もない。

戦うところを見たのは、今回が初めて。

それでも、コハネのことを信じることができる。

だって……

大事な仲間だから。