軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

831話 手を取り一緒に

「レインさまはビーストテイマーで、他の最強種の方々と契約をされているのですね?」

「そうだよ」

「でしたら、私とも契約をしていただけませんか?」

突然の申し出だった。

「えっと……それはいいんだけど、どうして?」

「あなたの力になる。私はそう決意しましたが、言葉だけではなくて、確かな形があった方がいいと思いまして」

「そこまで気にしなくても……」

「と、いうのは建前でして」

「うん?」

「私とレインさまの絆が欲しいのです」

「……」

今度は俺が驚く番だった。

絆。

ずっとずっと前……

カナデと出会った時、彼女も同じことを口にした。

「わかった」

断る理由はない。

俺も、コハネと絆を結びたい。

「じゃあ、いくぞ」

「はい」

親指の先を噛み、流れる血で魔法陣を描く。

そして……

「……我が名は、レイン・シュラウド。新たな契約を結び、ここに縁を作る。誓いを胸に、希望を心に、力をこの手に。答えよ。汝の名前は?」

「……コハネ……」

優しい光が広がる。

それは周囲を温かく照らした後、ゆっくりとコハネの手に吸い込まれていった。

「よし、成功だ」

「これが使役されるという感覚なのですね……」

今までにない感覚を得ているらしく、コハネはちょっと楽しそうだった。

思えば、彼女はずっとこんなところにいた。

何年も、何十年も、何百年も。

だから楽しいことをなにも知らないのだろう。

使命に立ち向かうだけじゃなくて。

美味しいものを食べるとか、一緒に遊ぶとか。

そういうこともしていきたいと思った。

「では……改めて、これからよろしくお願いいたします、主様」

「その主様、っていうのは……?」

「契約をされたのですから、主様と呼ぶべきかと」

「そんな堅くならなくていいんだけど……」

「いいえ。こういうことはきっちりしないといけません」

軽く苦笑する。

コハネって、真面目なだけじゃなくて、ちょっと頑固なところもあるんだな。

意外な発見だ。

これからも、そういう発見をしていきたい。

――――――――――

「にゃー……またレインが……」

「「「女の子を」」」

みんなのジト目が痛い。

でも、これは不可抗力だと思うんだけど……

……あの後、コハネに結界を解いてもらった。

今後を考えないといけないけど、俺とコハネだけで話し合うわけにはいかない。

みんなも小屋に来てもらい、コハネの紹介をして……

そして、今後に向けた会議を開くことに。

「よし。まずは、現状を整理しよう」

俺達の目的は、戦争を阻止するために魔族と和平を結ぶこと。

残された時間は、大体、二ヶ月と少し。

それを超えた場合、戦争が開始されてしまう。

ただ、歴史の問題上、魔族と和平を結ぶことは簡単じゃない。

真正面から話を持っていっても、一蹴されるどころか襲われてしまうだろう。

「……現状を整理すると、なんか絶望的ね」

「で、でもでも、諦めるわけにはいきましぇん! あぅ……噛んじゃった」

「よしよし。フィーニアは可愛い」

「でも、魔族も全てが戦いを望んでいるわけじゃありません」

「うむ。四天王の……ほら、あれ。アレなのだ」

「ジルオール?」

「そう! そいつは穏健派、とかいうヤツだったはずなのだ」

「なんとか、なる?」

「さて、どうでしょうか。穏健派は存在しますが、しかし、リースさんやモニカさんのような過激な方もいらっしゃいますから」

さらに現状が整理されていく。

うん。

やっぱりみんなと一緒だと話が進みやすい。

「コハネはどう思う?」

あらかた情報が整理されたところでコハネの意見を求めた。

長い時を生きる彼女なら、きっといいアイディアを持つはずだ。

「えっと、その……」

「コハネ?」

なぜか、コハネはもじもじとしていた。

顔がちょっと赤い。

恥じらっている?

でも、なんで?

「も、申しわけありません……このようにたくさんの方とお話をするのは本当に久しぶりなものでして、このような状況なのですが、嬉しいやら楽しいやら……」

「「「……」」」

みんなはキョトンとして、

「「「可愛い!!!」」」

「ひゃっ」

一斉にコハネに抱きついたのだった。