軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

795話 最終決戦・その3

「さあ、いくよ!」

アリオスが駆ける。

速い!?

数段階、速度が増している。

カウンター狙いはやめて、防御に専念することにした。

ナルカミの盾を起動して魔剣を受け止める。

「へぇ、おもしろい装備だね」

「だろう?」

「でも……僕の剣を受け止めるには、ちょっと足りないね」

「くっ!?」

圧が増して押されてしまう。

刃が盾をゆっくりと侵食していく。

保たない。

そう判断した俺は、あえて盾を解除した。

アリオスが魔剣を振り抜く。

ただ、受け止めるものが急になくなったせいで、若干、タイミングを崩していた。

その隙に体をひねり回避。

自分にかかる重力を操作して大きく後方に跳ぶ。

「甘いね」

アリオスが魔剣を振ると、その軌跡に従い黒い衝撃波が飛ぶ。

それは、まるで獲物に喰らいつく猟犬のよう。

不規則な軌道を描きつつ、高速でこちらに迫る。

迎撃は……いや、ダメだ。

妙な危機感を覚えた俺は、防御を考えず回避に専念することにした。

それは正解だ。

黒い衝撃波は岩を砕き、木を腐らせる。

防御なんて許さない、と言わんばかりの威力だ。

「初見でこれを避けるか、やるね」

「その力は……」

「僕が得た力さ。他にも色々とあるよ……すでに見せたけど、これとかね。ナイトメアボルト!」

黒い雷撃が疾走した。

「メガボルト!」

同じく雷撃で迎撃しようとするが……

バチィ!!!

こちらの雷撃は一瞬で散らされてしまう。

それでいて、アリオスの魔法はまったく衰えていない。

「召喚!」

使い捨ての剣を呼び出して、それを手前に投げた。

それが身代わりとなり、黒い雷撃を受け止めてくれる。

「まだまだいくよ?」

「なっ……!?」

一人、二人、三人……

アリオスが増えていく。

「これは……モニカの幻影魔法? いや、それ以上に……!」

アリオス達が同時に襲いかかってきた。

空間を埋め尽くすような斬撃。

致命傷は避けたものの、全てを防ぐことは難しく、あちらこちらに傷ができてしまう。

「実体がある!?」

「幻影を減らすことで、ある程度、質量を持たせることができるんだよ。どうだい? なかなか楽しい能力だろう」

「なら、まとめて……!」

「言っておくけど、これだけじゃない」

声は背後からした。

振り返る間もなく、衝撃が体を包み込む。

一瞬、意識が飛ぶ。

視界が上下左右に乱れて……二度目の衝撃。

木の幹に激突することで止まる。

「くっ……今、いつの間に後ろに……」

「これも面白い力だろう?」

「まさか」

リースの力?

「そして……」

アリオスがパチンと指を鳴らすと、魔剣の刀身に炎が絡みついた。

紅蓮の炎。

全てを燃やし尽くすかのような『それ』は、確かに見たことがある。

「……アルテラ……」

「正解だ」

アリオスが衝撃と一緒に炎を放つ。

避け……間に合わない!

「物質創造!」

土の壁を作り出したものの、完全に防ぐことはできない。

轟音と爆発。

再び吹き飛ばされてしまう。

「どうだい、僕が手に入れた力は?」

「お前、どうやって……まさか」

「ああ、違う違う。ソウルイーターで食べた、とか言いたいんだろう? さすがの僕も、そこまで不義理な真似はしないさ。モニカとリースには本当に世話になったからね。まあ、アルテラの力に関しては、リースがこっそりと確保しておいたヤツの魔力を食わせてもらったんだけどね」

「なら、どうして?」

「なんでもかんでも教えるとでも? と、言いたいところだけど、今の僕は気分がいい。だから、全部教えてあげよう。簡単なことさ。借りているだけだよ」

「力を……借りる?」

「彼女達も聖女っていうわけじゃないからね。タダで借りることはできない。契約を交わしたのさ。レインと戦うことができたのなら、その後、生きていようが死んでいようが、僕の魂はモニカとリースに捧げる、っていう契約さ」

どうでもいいことのように、アリオスはさらりと言った。