作品タイトル不明
741 それでも変わらないから
ライハの覚醒。
勇者にしか使えないと言われている雷を操ったこと。
そして、四天王候補。
ダンジョンの出来事を再現したかのように、次々と新情報が明らかになり、さすがに少し混乱してしまう。
ただ……
「ナイスだ、ライハ!」
「え?」
今は深く考えない。
ライハがゼクシードの動きを止めてくれた。
この絶好のチャンスを逃してはいけない。
たぶん、ライハは相当の覚悟を持って本当のことを明かしてくれたはずだ。
なら、俺達はそれに応えないといけない。
「セカンドフォーム!」
クサナギを小さな刃に分かち、その全てをゼクシードに飛ばす。
鳥が駆け抜けるように刃が飛んで、ヤツの自慢の翼を傷つけていく。
「くっ!?」
ゼクシードは傷の痛みに顔をしかめつつ、再び超加速した。
それを封じるために翼を狙ったのだけど、まだ甘かったみたいだ。
「あいつ、まだあんなに動けるなんて……にゃー、レイン、どうする!?」
「何度も頼るけど……ライハ、もう一回頼めるか?」
「え、えっと……それは問題ないっすけど……なんか言うことないっすか?」
「なにが?」
「いや、だから……」
ライハは、とても困惑した様子で言う。
「この自分の姿とか、四天王候補だったとか……」
「ライハはライハだ」
「っ……!!!」
ライハは目を大きくして驚いた。
「聞きたいことは増えたけど、でも、無理に話す必要はないし聞くつもりもない。っていうか、根本的に、そういうのはどうでもよくて……ライハは、俺の大事な仲間だよ」
「うぅ……アニキ!!!」
大きくした瞳に涙をためて、ライハがぎゅっと抱きついてきた。
しっかりと受け止めて、その背中をぽんぽんと撫でる。
こんな小さな体で、色々なことを背負ってきたんだろうな。
でも、大丈夫。
ライハがなんであろうと、大事な仲間であることに変わりはない。
それは、ずっとだ。
「よし!」
ややあって、ライハは俺から離れた。
涙は消えている。
「いくっす!」
ライハは翼を広げて構える。
「自分はライハ……雷を司る存在。雷速に比べれば音速なんて、あまりにも遅い……くらうっす!!!」
ライハは、横に手を払う。
その軌跡に従い、紫電が迸る。
紫電は龍のようにうねりつつ、宙を駆けた。
そして……逃がさない、というライハの意思を体現するかのように、獲物であるゼクシードに食らいつく。
「ぐっ……!?」
超速移動が強制停止させられて、ゼクシードの姿が現れる。
ヤツは苦い顔をしつつ、再び羽ばたこうとするが……
「にゃん!!!」
「ブラッドサイズ」
それをのんびりと見送る仲間はいない。
カナデとリファが飛び込み、それぞれ拳と血の鎌を叩きつけた。
防がれてしまうものの……
ぜんぜん構わない。
というか、これで終わりと思わないでほしい。
そんな感じで、二人はラッシュを叩き込む。
重く速い連撃を食らい、ゼクシードはその場に固定される。
「タニア、合わせてくれ!」
「了解よ!」
ライハと契約をして。
そして、彼女が本当の力を発揮して。
その瞬間、ライハと契約したことで得た力を本能的に理解した。
俺が得た力は……
「ルナティックボルト!!!」
勇者しか使うことができないと言われている、雷の魔法だ。
「っ……ドラゴンブレス!!!」
タニアは驚きつつ、すぐにブレスで合わせてくれた。
雷撃と熱線がゼクシードに襲いかかる。
「貴様ら……離れろ!」
「ダメだよ」
「ここでじっとしてて!」
リファとカナデは、巻き込まれないように離脱するものの……
それぞれ一撃を与えて、ゼクシードの体勢を崩しておいた。
そして……直撃。
雷撃と光熱が嵐のごとく暴れ回る。
「ぐっ……がぁあああああ!?」
ゼクシードの悲鳴が響いた。
ただ……それでもなお、ヤツは落ちない。
ボロボロになりつつあるものの、致命傷は遠い。
翼も健在で、超速移動が可能だ。
「このまま終わってたまるものかぁっ!!!」
ゼクシードが吠えた。
残った翼を大きく広げて、再び超速移動を……
その時、ヤツの後ろの空間に穴が空いた。
「終焉の白撃!」
「「グングニルツイスター!!」」
イリスとソラとルナの力強い声が響いた。