軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

737話 ところがどっこい

ゼクシードの標的はライハだった。

奇妙な攻撃をする彼女を脅威と感じたのかもしれない。

「死ね!」

「ところがどっこい!」

ライハはその場でくるっと回転。

影をまとうことで巨大化した翼を叩きつけて、ゼクシードの攻撃を相殺した。

いや、それだけじゃない。

こっそりと追加で影をまとい、さらに翼と尻尾を巨大化させた。

「カウンターっす!」

巨大化した翼と尻尾を同時に叩きつける。

ガンッ!!!

巨大な槌で殴り飛ばされたかのように、ゼクシードが吹き飛んだ。

「にゃー。ライハの能力って、リファに似ているね」

「自分の体の一部を強化、巨大化、武器として扱うことができる能力……かしら?」

「面白そう」

子供がおもちゃを欲しがるような感じで、リファがライハをじっと見つめていた。

見たところ、ライハはどの距離にも対応できるようだ。

威力も調整することができて……

タニアとは違う意味のオールラウンダー、といったところか。

「ライハはリファと一緒に後方から援護を。カナデとタニアは、一緒に頼む」

「了解っす!」

「ん」

ライハは元気よく、リファは静かに、それぞれ対称的な動作で頷いて……

「らにゃー!」

「オッケー!」

カナデとタニアは不敵な笑みを浮かべて、それぞれ俺の隣に並ぶ。

「くっ……そうか。貴様は、同胞でありながら人間の研究をする異端者か」

ゼクシードが苛立った様子で言う。

ライハの家のことを知っている?

気になるけど……

でも、のんびり話をしているような状況じゃないか。

「ファイアーボール・マルチショット!」

複数の火球を生み出して、ゼクシードに向けて解き放つ。

ゼクシードは翼を大きく羽ばたかせると、そのまま急加速をして避けてみせた。

「甘い!」

避けたところにタニアのドラゴンブレスが叩き込まれた。

あらかじめ軌道を読んでいたらしい。

「そのようなもので!」

「なっ!?」

驚くことに、ゼクシードは剣圧でドラゴンブレスを防いでみせた。

技術と力があるからこそできる芸当だろう。

「これでも……」

「喰らえ」

ライハは影の刃を。

リファは血の弾丸を。

それぞれありったけを叩き込み、ゼクシードを防御に専念させた。

そこにカナデが駆けて……

宙を蹴りつつ、跳躍。

ゼクシードの頭上に飛び上がり、直上からの蹴撃を放つ。

「おおおぉっ!!!」

そのタイミングに合わせて俺も動いた。

物質創造で足場を作り、上に飛ぶ。

さらにブーストを自分にかけて、その状態で下から上にクサナギを振る。

俺とカナデの攻撃のタイミングがピタリと合う。

「ぐぅっ!?」

俺の刃とカナデの拳が同時に炸裂した。

それぞれ、ありったけの力を込めた渾身の一撃だ。

その威力、破壊力は申し分ない。

結果……

ガッ!!!

鈍い音と共に、ゼクシードの翼の一枚が半ばから吹き飛んだ。

そのまま宙を舞い、そして、塵となって消える。

「ちっ」

ゼクシードはわずかに表情を歪めると、一度、大きく距離を取る。

その動きはまるで変わらない。

翼の一枚を失ったのだから、それなりに機動力を失っていてほしかったのだけど、そうそううまくはいかないようだ。

さすが四天王、というべきか。

「……くっ、ふふふ」

少しの間、にらみ合い……

ややあって、ゼクシードが笑う。

楽しそうに。

幸せそうに。

嗤う。

「いいぞ、この痛み。この傷。素晴らしい、とても素晴らしい戦いだ。そうだ、私はこういう戦いを望んでいたのだ。弱者をなぶるなどつまらない。己の命を賭けた戦い……その闘争の中に身を置くことで、私の命は真に輝く」

「な、なにあいつ……?」

「やばいわね」

カナデとタニアが引いていた。

リファとライハも、かなり微妙な表情をしている。

そんな中、ゼクシードは笑みを顔に貼り付けたまま……

ゴゥッ! と圧倒的な闘気を放つ。

「さあ……最高の戦いをしよう」