作品タイトル不明
681話 万能無敵最強精霊ソラちゃん
「ホントなら、うちは家事に専念した方がええと思うんやけど……」
ティナは難しい顔に。
そのままサクラを見る。
「サクラの気持ちは、痛いくらいにわかるつもりや。だから、わがままになってしまうけど、なにかしてあげたくてなー」
そっか。
ティナは、三十年以上、幽霊をやっていて……
実の両親はもう他界している。
だからこそ、両親を求めるサクラに対して、色々と思うところがあるのだろう。
そんなティナの気持ちを察したらしく、みんなは優しい顔になる。
「うん、私はいいと思うな。みんなは?」
「あたしも賛成」
「うむ、問題ないのだ!」
次々と賛成の声が上がり……
満場一致で、もう一人の同行者はティナに決まった。
「みんな、ありがとなー」
「家事は私達でがんばるから、ティナは、サクラのためにがんばってね!」
「まかせとき」
ティナはにっこりと笑うのだった。
――――――――――
サクラの件を調査するメンバーは決まった。
ただ、話し合いはもう少し続く。
「一週間で結果を出さないといけないから、調査を効率的に進めるための手がかりがほしい……なにか良いアイディアはないかな?」
そう言って、みんなの顔を見る。
「私が鼻で探してみようか?」
「確かに、カナデならアリかもしれないわね」
「うむ。カナデなら嗅ぎ分けることができるかもしれないのだ!」
「あれ!? 冗談のつもりだったのに、本気で受け止められた!?」
話がややこしくなるから、冗談はなしで。
ちなみに……
俺も、一瞬だけど、それはそれでアリかな、なんて思ってしまったことは内緒だ。
「こういう時はソラに任せてください。レイン、アルトリウスの所持品を持っていませんか? なんでも構いません」
「それは……あ、そういうことか」
ソラがやろうとしていることを察した。
「これはどうだ?」
家の奥から、アルトリウスが手にしていた教典を持ってきた。
彼の装備などは証拠品として押収されたのだけど……
この教典は、教会が発行しているものとなにも変わらないため、証拠能力なしと判断されて押収されなかった。
なにかの役に立つかもしれないともらっておいたのだけど、さっそく役に立つ時が来たみたいだ。
「あら? そのような本を持ち出して、どうされるのですか?」
「うむ。姉よ、どうするつもりなのだ?」
「イリスはともかく、どうしてルナも不思議そうにしているんですか……ソラ達は色々な魔法を使えること、忘れたんですか?」
「???」
「本気で忘れているんですね……はぁ」
ソラは疲れた顔をして、ため息をこぼした。
そして説明を諦めた様子で、教典に手の平を向ける。
目を閉じて集中。
魔法を詠唱する。
「メモリー・サーチ」
対象の記憶を読み取ることができるという、精霊族だけが使うことができる特殊な魔法だ。
全ての記憶を見ることはできないが、それでも十分すぎるほどに便利だ。
魔法を使うソラを見て、ようやく思い出した様子で、ルナが「おお!」と声をあげていた。
「読み取り、完了です」
「おつかれさま」
「……」
ソラは難しい顔をしていた。
嫌な記憶を見たのか?
それとも、これからの困難を連想させるものを見たのか?
どちらにしても、良い話はなさそうだ。
ソラがサクラに尋ねる。
「サクラ。ちょっと聞きたいんですけど……」
「オフゥ?」
「サクラの両親は……父は背が高く、母は背が低いですか? 耳と尻尾はサクラの毛と同じ色。父は頬に剣の傷跡があり、母は、髪の毛の一部が赤い……そうですか?」
「オンッ! オンオンッ!!!」
興奮した様子でサクラが鳴いた。
ソラが言っている内容に間違いはないようだ。
どうしてわかるのか?
改めて問いかける必要はない。
記憶を辿り、その答えに行き着いたのだろう。
「やはり……」
「ソラ、なにが見えたんだ? サクラの両親は?」
「……」
ソラは苦い顔をして……
でも、黙っているわけにはいかないと覚悟を決めたのだろう。
そっと口を開く。
「今言ったように、サクラの両親らしき姿が見えました」
「無事なのか?」
「……わかりません」
ソラは難しい顔で、吐息をこぼす。