軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

615話 久しぶりだね

「にゃー……にゃん、にゃん。にゃ? にゃにゃにゃ、にゃーん!」

街の広場で、カナデが猫と話をしていた。

猫という共通要素があるから、話ができるらしい。

「にゃふー……にゃん! にゃあにゃあ、にゃ!? にゃっくー!」

ただ……傍から見ていると、ちょっと奇妙な光景だよな。

猫好きの女の子が遊んでいるだけのようにも見える。

ちなみに、なぜこんなことをしているのかというと……

「レイン、お待たせー」

「どうだった?」

「うん、バッチリ! この先でフーコちゃんを見かけたって」

「なら、行ってみるか」

今は依頼をこなしている最中だ。

依頼といっても、魔物を倒すとか希少な素材を採取するとか、そういうものじゃない。

迷子の猫の捜索だ。

本来なら、Fランクの冒険者が請けるような依頼だ。

ただ、迷い猫のフーコはやたら警戒心が高く、誰も捕まえることができないという。

そして、依頼人は小さな女の子。

フーコに嫌われたと思い込み、涙ぐんでいて……

なので、俺が引き受けることにした。

「ふふ」

突然、隣を歩くカナデがうれしそうに笑う。

「どうしたんだ?」

「んーん、なんでもないよ。ただ、レインらしいなあ、って思って」

「俺らしい?」

「レインはAランクだから、依頼は選び放題でしょ? それなのに、女の子のために依頼を請けるなんて、優しいなあ、って」

「まあ、緊急性は低いけど……でも、こういう依頼も大事だからな。本来、冒険者はなんでも屋のようなものだから。あと、この街のためにできることがあるのなら、なにかしておきたいし」

とても綺麗なところで、活気があって……

それに街の人は優しくて、とても居心地がいい。

二つ目の故郷と言ってもいいくらい、思い入れがある。

「えへへ……ねえ、レイン」

「うん?」

「私ね? レインのそういうところ……好きだよ」

「っ!?」

突然の告白に動揺してしまう。

カナデは顔を赤くしているものの、俺ほど慌ててはいない。

ちょっといたずらっぽい顔をして、じっとこちらを見つめる。

「返事を待っているんだから、これくらいはいいよね?」

「あ、ああ……」

「あとあと、振り向いてもらえるように、日々、コツコツとアピールしていかないとね」

「……まいったな」

女の子はたくましい。

それに比べて、俺は情けないな。

そういう経験がまるでなかったせいか、どうにもこうにも答えにたどり着けない。

今後どうするか? という点は置いておくとしても……

せめて、自分の気持ちくらいはハッキリさせておきたいのだけど。

どうしたものか。

「にゃあ」

ふと、少し離れたところから猫の鳴き声が聞こえてきた。

トーンが高く、あまり聞かない鳴き声だ。

たぶん、フーコだろう。

「よし、この先にいるみたいだな」

「レイン、がんばってね」

「大丈夫。ちゃんと、あの子のところに戻してみせるさ」

ビーストテイマーらしく、がんばるとしよう。

俺とカナデは一度足を止めて、タイミングを測り……

そして、通りを抜けたところにある公園に移動する。

そこで見たものは……

「よしよし。君、かわいいね。どこから来たのかなー?」

フーコと思わしき猫が、とある女の子に撫でられていた。

その女の子は……

「「シフォン!?」」

「あ、レインくんにカナデさん。久しぶりだね」

新しい勇者の女の子はにっこりと笑うのだった。

――――――――――

フーコを依頼人の女の子のところへ届けた後、俺達は近くの飲食店へ。

テーブルを囲み、それぞれドリンクを注文した。

「まさか、ホライズンでシフォンと再会するなんて、思ってもいなかったよ」

「うん、私も。この街が、レインくん達のホームグラウンドだったんだね」

別れてからしばらくの時間が経っているのだけど、シフォンは元気そうだ。

太陽のような明るい笑顔はそのまま。

こうして話をしていると、元気をもらえるようだ。

ただ、変わっているところもある。

シフォンがまとう雰囲気は、以前と比べて鋭くなっているような気がした。

気性が荒くなっているとか、そういうことではなくて……

洗練されているというべきか。

しばらく見ない間に、大きく成長したらしい。

「こんなところで会えるなんて思っていなかったよ。元気にしてた?」

「見ての通りだ」

「私は元気だけが取り柄だからねー!」

「ふふ、そうね」

「素直に肯定された!?」

ごめんなさい、とシフォンが笑う。

カナデは頬を膨らませつつも、本気で怒っていないので、雰囲気は柔らかい。

二人共、再会を喜んでいるみたいだ。

「ねえねえ、ショコラとミルフィーユは一緒じゃないの?」

「今は、ちょっと別行動をしているの。後で合流する予定だから、その時は、ごはんでも食べましょう」

「うんうん、いいねー……じゅるり」

「あはは。カナデさんは変わっていないね」

「そういうシフォンも」

「レインくんも特に変わって……ん? 変わっている、かな?」

「え、そう見えるのか?」

「うん。なんか、前よりもすごく強くなっているような気が……? あと、そんな武器は持っていなかったよね?」

「ああ、そういう意味か」

クサナギがメイン武装になって、猫霊族の里で稽古をした。

それらの経験があるから、以前と違って見えているのだろう。

「ところで、シフォン達はどうしてホライズンへ?」

「んー……レインくん達なら話してもいいかな。というか、できれば協力してほしいし」