軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

570話 画伯、爆誕

「では、次はニーナの絵を見せてくれますか?」

そう言うノキアさんは、少しワクワクとした感じを見せていた。

愛娘がどんな絵を描いたのか、母親としてとても興味があるのだろう。

「わたし、は……これ」

ニーナが描いたのは、自分……

ではなくて、ノキアさんだった。

線は荒く、ちょっとバランスもおかしい。

でも、それは子供が描いたものなので気にするところじゃない。

ニーナの絵は荒いと言えば荒いのだけど……

でも、描かれたノキアさんはとても優しい顔で笑っていた。

どれだけ愛されているか、どれだけ好きなのか。

そのことが伝わってくる、とても温かい絵だった。

「これは私ですか?」

「うん。ママを、描いた……よ?」

「ふふ、ありがとうございます。うれしいです」

「えへへ」

微笑ましいやりとりの一方で、

「ニーナは、ほんまええ子やなー」

「見た、イリス? ああいうことを計算なしでできるのが、一番ポイント高いのよ」

「う……」

タニアがニヤリと笑い、イリスが怯む。

それから、深いため息をこぼす。

「わたくし、なんだか自分が汚れていることを見せつけられた気分ですわ……」

「にゃん……」

カナデがぽんぽんとイリスの肩を叩いて、慰めていた。

みんな、なにをしているのやら。

「ふふん、次は我らの絵を見せてやるのだ!」

「見て驚いて」

ルナとリファが名乗りをあげた。

そして、自分でババンと言いつつ、絵を見せる。

「へぇ……」

「これは……」

「かなりええんちゃう?」

「うむ、良い絵じゃな」

教師陣が揃って感嘆の声をこぼす。

それもそのはず。

ルナとリファは、見事な風景画を描いていた。

適当な景色ではなくて、この家の屋上から見えるものだ。

その景色を切り取ってきたかのように精密で……

そして、描かれた雲が今にも動き出しそうな、そんな躍動感にあふれている。

それだけじゃない。

ルナの絵がリファの絵を引き立てていて。

リファの絵がルナの絵の補完をしていて。

互いの絵が良い感じに影響しあっていて、並べることで魅力が何倍にも増していた。

「我らは自然が好きなのだ!」

「うん、どうかな?」

「わー、すごいね!」

「ルナとリファらしい絵ね」

他のみんなにも好評だ。

二人の意外な才能に、みんなは拍手を惜しまない。

特に順位はつけていないのだけど……

もしも競うとしたら、ルナとリファが並んで一位をゲットしていただろう。

「ふははは! 我らぺったんこシスターズの勝利なのだ!」

「ぶい」

「そんな名前で誇ってええの……?」

勝ち誇るルナとリファ。

しかし、そこに最強の刺客が現れる。

「勝ちを宣言するのは、まだ早いですよ」

そう……まだソラの絵を見ていない。

ソラはどんな絵を描いたのだろう?

ルナと同じ風景画か。

それとも人物画か。

どちらにしても、早く見てみたい。

ソラなら、きっとすばらしい絵を描いてくれるだろうという、期待とワクワク感がある。

「では、ソラさんの絵を見せてくれますか?」

「はい。これが……ソラの描いた傑作です!」

ソラは、自信たっぷりに絵を披露して、

「「「っ!?!?!?」」」

瞬間、みんなの顔が凍りついた。

いつも不敵で余裕たっぷりのアルさんが、おもいきり顔をひきつらせている。

笑顔を絶やさないノキアさんが、ちょっと泣きそうになっている。

そしてみんなは……

魔王が現れたような感じで、カタカタと震えて、顔を青く白くしていた。

「どうして、そのような反応をするのですか?」

「わ、我が姉よ……そ、そのおぞましいものはなんなのだ?」

「見てわかるでしょう? 家の裏に咲いているお花ですよ」

「花……花?」

「私の知るお花って、足は生えていないんだけど……」

「手だって生えていないわよ……」

カナデやタニアが言うように、ソラの描いた花は、なぜか手と足が生えていた。

いや、それだけじゃなくて……

「なんで、目と口と鼻があるんや……?」

「この花、なんで怒っているの?」

「グルルルッ……オンッ! オンッ!」

ついには、サクラに敵視されてしまう始末。

「ふぇ……」

「こ、怖いですぅううう……」

ニーナとフィーニアは抱き合い、うっすらを涙さえ浮かべていた。

「くっ、こ、このプレッシャーは……わたくし、絵ごときに負けるとでも!?」

イリスは、よくわからない戦慄を覚えていた。

「えっと……ちょっとまってください。みんなの反応が、ソラはとても納得いかないのですが」

「いや、その……こう言うのはなんだけど、至極当然の反応だと思うぞ」

「レインまで!?」

「花というか、なんというか……」

魔王を見たことはないのだけど……

たぶん、こんな顔をしているんだろうなあ、という感じの絵だった。

「な、な……納得いきませーーーん!!!」

ソラの悲痛な叫び声が響いたとかなんとか。