作品タイトル不明
531話 サードフォーム
「オォ……グッ、アアアアア!!!」
百を超える剣の乱舞を受けながらも、ギガブランドは倒れない。
苦痛にうめきつつも、その太い足で地面を踏みしめて、反撃に出る。
今のすさまじい連撃は、おそらく、ある程度の魔力を使うのだろう。
俺のブーストと同じ要領で、身体能力や剣を強化。
そして、連撃を放つ……というような仕組みになっているのだと思う。
それ故に、技を放った直後はすぐに動くことができず、隙が大きい。
そこを狙われてしまい、ギガブランドの拳がユウキに迫る。
「坊っちゃん!?」
「させるか! クサナギッ、アイギスッ!」
ユウキとギガブランドの間に割り込み、アイギスを展開。
さらに、クサナギを収束させて盾として、二重の防御とした。
「くっ!」
吹き飛ばされてしまうような、強烈な衝撃が襲う。
それでも、二重の盾のおかげで、なんとか耐えることができた。
「ありがとう、レイン」
「友達を助けるのは、当たり前のことだろう?」
笑う。
ユウキも笑う。
こんな時だけど、彼の心に軽く触れたような気がした。
「イグニートランスッ!」
「アイシクルランスッ!」
すかさず、ソラとルナの援護が飛んできて、
「来たれ、殲滅の雷撃」
イリスの雷撃も参加。
それぞれの攻撃がギガブランドの体を痛烈に打つ。
「ちっ、アレでも倒れねえのか……この化け物の体力は無限か?」
「さすがに、それはないと思いたいけどね。でも、さすがに四天王というだけはあるね」
「以前、戦ったよりも、遥かに強くなっている」
「そっか。レインは、戦ったことがあるんだね……攻略法とかはない?」
「どうかな……」
以前、戦った時は、俺はサポートに徹していた。
トドメを刺したのはアリオスなので、どのような能力を持つか、どのように戦えばいいか、具体的なことはわからない。
ただ……今と同じく、やたらと頑丈で、再生能力も有していたはず。
「ヤツの防御力を突破して、なおかつ、一撃で倒すような強烈なものを叩き込まないと……ユウキやグレイは、できるか?」
「できるといえば、できるんだけど……」
ユウキは困った様子で、軽く周囲を見る。
「ここで使うと、みんなを巻き込みそうで怖いかな」
「俺は、基本的にタンクだから、そういう派手なのはねえな」
「……よし、了解。なら、俺がやる」
クサナギを左手に持ち替えて……
右手でカムイを抜いた。
「まだ慣れていないから、時間稼ぎを頼む」
「了解! 任せたよ、レイン」
「ああ、任された」
背中を預けるというのは、こういう感覚なのだろうか?
ユウキなら、きっとなんとかしてくれる。
絶対に耐えてくれる。
出会ったばかりなのに、ユウキのことを心から信頼することができた。
「そういうことなら……」
「我らも、より積極的に戦うのだ!」
ソラとルナが前に出てきた。
イリスが後方に下がり、タニアの支援に専念。
代わりに、二人が前線で戦うらしい。
「ソラとルナも、頼むよ。ユウキを支えてあげてほしい」
「うむ。ご主人さまの命令とあれば、なんでも任せろなのだ!」
「さあ、いきますよ!」
「精霊族と一緒に戦えるなんて、光栄だな……よし、いこう!」
ユウキとグレイが前衛。
ソラとルナが後衛。
シンプルな陣形を組み、四人はギガブランドに突撃をした。
ギガブランドの防御力、耐久力はとんでもないが、攻撃力はそれほどでもない。
切り札がないとは言えないが……
ユウキのすさまじい連撃を受けて尚、切り札を切らない理由がわからない。
それを考えると、おそらく、攻撃力はないのだろう。
なら、耐えることはできるはず。
「俺がやるべきことは、ああ言った以上、しっかりと自分の役割を果たすことだ!」
集中。
そして、とっておきを繰り出す。
「サードフォーム!」
クサナギに魔力を注いで、十二の刃を精密にコントロールする。
刃を収束させて……
しかし、クサナギに戻すのではなくて、カムイと合体させる。
クサナギとカムイを合体させて、二つの力を一つにする。
そうすることで、カムイは、覚醒したみんなの力にも耐えることができるように。
それだけではなくて、威力は何倍にも引き上げられているはず。
これが、俺の新しい切り札だ。
「イリス!」
「ふふっ、了解いたしましたわ」
ふわりと飛んできたイリスと手を繋いだ。
カムイは、基本的な構造は変わらないから、みんなの魔力をストックしておくことはできない。
特大の一撃を見舞う時は、今までと同じように手を繋がないといけないのだけど……
その分、威力は保証する。
「みんな、後ろへ!」
俺の合図で、ギガブランドを押し留めていたユウキ達が後方へ下がる。
逆に、俺とイリスが前に出る。
「これなら……」
クサナギと一体化したカムイを振りかぶる。
「どうだぁあああああっ!!!」
トリガーを引いて、蓄えられた力を解放。
クサナギの刃がそれらを増幅。
カムイを光が包み込む。
太陽が間近に降りたのではないかと思うほどの輝き。
そして、熱。
その光を、ギガブランドに向けて叩きつける!