軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1082話 ここはどこ? 私は誰?

現在、冒険者ギルドと騎士団が協力して、邪教徒達の尋問を行っている。

同時に、持ち帰った情報を整理して、さらに踏み込んだところに調査を進めているらしい。

新しい情報が出てくるまで、しばらくかかるとのこと。

アクスとセルは家に戻り……

シフォン達は、休む間もなく別の任務を請けていた。

手伝おうとしたのだけど、無理しないで休んでいて、と断られてしまう。

無理をしているつもりはないのだけど……

とはいえ、忙しかったことも事実。

厚意に甘えて、ゆっくり休むことにしよう。

……そう思っていたのだけど。

「レイン! ライハが目を覚ましたよ!」

「本当か!?」

翌日。

慌てた様子でカナデが駆けてきた。

急いでライハの部屋に向かう。

「ライハ、大丈夫か!?」

「……えっと?」

部屋に急ぐと、ベッドの上でライハが体を起こしていた。

こちらを見て、小首を傾げる。

「ライハ……?」

「あの……ここはどこですか? 私は誰ですか?」

――――――――――

ライハが記憶喪失になっていた。

幸いなことに、洗脳による一時的なショックで、記憶が混乱してしまっただろう、とのこと。

ソラとルナの見立てでは、放っておいても数日で治るらしい。

よかった。

本当に安心した。

ただ、一つ問題が。

「ライハ、ごはんを持ってきたよ。まだ体はちゃんと動かないみたいだから、私が食べさせてあげようか?」

「ありがとうございます、カナデさん。私のことを気遣っていただき、とても感謝しています」

「……」

「カナデさん? どうしたんですか、顔色が悪いようですが……」

「な、なんでもないよ……なんでも。そ、それじゃあ、はい、あーん」

「あーん」

カナデが差し出したスプーンを、ライハはぱくりと咥えた。

そして、とても優しく、落ち着いた上品な笑顔に。

「とても美味しいですね。こちらの料理は、ルナさんが作ってくださったのでしょうか? 後で、ルナさんにお礼を言わないといけませんね」

「……」

そこで我慢の限界に達したらしく、カナデがぷるぷると震え出した。

「こんなの……こんなの……」

「カナデさん?」

「ライハじゃないにゃーーー!!!」

――――――――――

「あぅううううう、助けてよぉ、れいいいぃん……ライハが怖いんだよぉ、ものすごく怖いんだよぉ……」

「いや、まあ……気持ちはわかるけどな」

ライハは意識を取り戻したのだけど、まったくの別人になっていた。

ソラとルナ曰く、これも記憶喪失の影響らしい。

時間と共に本来の自分を思い出して、元に戻るらしいのだけど……

「あうあうあう……あんな清楚なライハ、解釈不一致だよぉ。怖いよぉ……」

カナデがものすごく怯えていた。

猫って、環境が変わるとものすごく警戒するらしいからな。

猫霊族ということで、カナデも、似たような感覚を抱いているのだろう。

「ライハは……違う?」

話を聞いていたルリが、よくわからないという様子で小首を傾げた。

「そうだなぁ……ちょっと違う感じになっているなぁ」

「かわいそう……」

「ルリは優しいな。でも、数日で治ると思うから。その時は、改めてライハを紹介するよ」

「うん……楽しみ」

ルリは、ちょっと声を弾ませていた。

無表情なのは変わらないけど、少しずつ変わってきているような気がした。

「んー……ソラ、ルナ。ライハのこと、すぐに治すことはできないのか?」

カナデの怯えようが、ちょっとかわいそうなのと……

なによりも、ライハは邪教徒の情報を持っているだろう。

数日待っている間に深刻な事態に発展……という可能性もなくはない。

なので、できるだけ早く情報を手にしておきたい。

「断言はできませんが……可能性はあると思います」

「本当!?」

カナデがものすごい勢いでソラの話に食いついた。

「さっそく、色々と試してみることにしましょう」