作品タイトル不明
お断り
「私が王子の婚約者に選ばれる可能性はかなり低いと感じますし、私は私自身が相応しいとは思えません。きっと『義妹の方が相応しい』と身を引く事でしょう」
「そんなっ。ニルヴァーナ嬢は王妃になれる可能性を秘めているんですよ? 公爵家の人間を見返したいと思わないんてすか? 私ならそのお手伝いが出来ます」
男が私を婚約者にさせたいのは、きっと公爵家で不遇な扱いを受けてきた時間が長い私ならローレルよりも簡単に操れると思われているのかもしれない。
「王子の婚約者になった時、見返すどころか私は更に公爵家に囚われることでしょう。それは私が最も避けたいことなので、あなたの……ゃ……優しさには……感謝致しますが私はこのまま婚約者候補のままで終わりたいと思っています」
過去、私を断罪するまでのこの男の仕打ちを知っているので「優しい」「感謝」など本当は言いたくなかった。
「王子の婚約者、王妃となれば公爵もニルヴァーナ嬢には逆らえません。もし恐怖から公爵を前にして命令できないのを不安に思っているなら、僕が王子の側近となりニルヴァーナ嬢を傍で支えることが出来ます。協力することを約束します」
王子の側近になる事が既に確定しているの?
もしかしたら、王子はこの時期に既に本人にそれとなく伝えているのかもしれない。
でなければこんなに堂々と近い将来側近として「(婚約者候補の)ニルヴァーナ嬢を傍で支える」なんて宣言は出来無いはず。
「令息の提案は私ではなく、ローレルや他の候補者達にしてあげてください。私は結構です」
笑顔で一礼し、私は逃げるように男の前から去っていく。
「ニル……ヴァ……」
振り向くことなく逃げ出した。
「……はぁ……」
廊下に誰もいないと分かると安心し、溜め息を吐いた。
「なんなの? こんな事、過去にはなかったのに……疲れた……」
あの男に直接あんな風に絡まれたのは今回が初めて。
頭の中はとても混乱していたがこのまま学園にいるのも安全ではないと思い、急いで馬車に乗り込み屋敷を目指す。
屋敷に到着しても誰にも見つからないように部屋に閉じ籠り学園での出来事を忘れようと頭を休ませた。