作品タイトル不明
過去に起きたことは今回も…
「……お義姉様は交流会用に何の作品を参加されるんですか?」
ローレルが話し掛けてくる時は、大抵何か知りたい時。
『ラルフリード様と何を話したんです?』
『ラルフリード様に私の事を何か話しましたか?』
情報が得られないと『そうですか』と長居することなく去って行く。
「私は何も参加しないわ」
「……参加……されないんですか?」
「えぇ」
「お義姉様はご存じないかもしれませんが、婚約者候補の方達は皆さん参加されますよ?」
「そう。だけど私に得意なものはありませんし、参加は強制ではないはずよ」
「……確かに強制ではないですが……本当に参加されないんですか?」
「しないわ」
「……そうですか」
私に興味を失くし、ローレルは去って行く。
絵画や彫刻が展示室に飾られる日が近付く。
今日も、疑いを掛けられないよう素早く帰宅の準備を始める。
『……様の絵画と……様の彫刻が?』
『えぇ。偶然……した…がいるそうです』
『そんなことまでするなんて……あの方って……かされてましたかしら?』
『いいえ。音楽の方も芸術の方も参加されていなかったかと……』
詳しく聞こえなかったが、噂話をする令嬢の声が耳に入った。
内容からして、絵画と彫刻に何かあったよう。
前回と同じように今回も破損事件が起きたのだろうと私には推測できるも、最後の方の会話が気になった。
私としては今回こそ巻き込まれないように近付かないように行動するも、『芸術祭に参加していない』と聞こえた。
それって私の事なの?
もう、私が犯人だと噂が広まっているのだろうか?
確認に行きたかったが、美術室に近寄るのが怖くなってしまった。
周囲の人間の反応を盗み見るも、私と視線が合うと口を閉じ視線を逸らしその場を去っていく。
「また、私が犯人だと思われているの?」