作品タイトル不明
学園の判断
<学園長室>
「学園長。今回の不正に関与していた教師は三名。生徒に関してはAクラスに二名、Ⅾクラスに三名、Eクラスには六名おり、供述と金銭の授受も確認できました。その者のリストがこちらです」
調査官は報告書を学園長に提出。
「……ニルヴァーナ・キャステンとローレル・キャステンの名は無いんだな」
「はい。いくら聞き取りしても二人の名前はなく、金銭の授受や証拠は一切出ませんでした」
「では、不正に関与していないという事か……」
「それか、キャステン公爵がとても巧妙で証拠を一切残していないのか……」
「君はキャステン公爵が不正に関わっていると?」
「いえ……そういうわけでは……」
「君も令嬢の再試験の場にいたではないか。それでも疑う余地があると?」
「ニルヴァーナ・キャステンの方は潔白でしょう。ローレル・キャステンの方は……」
「何かあるのか?」
「……不正をしていた生徒と親しかった目撃証言があります」
「直接的なやり取りはないが、間接的な疑いはあるということか……」
「可能性が拭いきれないというだけで、証拠はありません」
「……そうか……証拠がない以上、そちらは保留だ」
「はい。それで、今回の処分はどうされますか?」
「どうしたものか……君はどう思う?」
「私は関与した教師は辞職させ、生徒の方は停学・退学の話し合いが必要になるでしょう」
「あぁ。不正を犯した者はそれでいいだろう。問題は……」
「ニルヴァーナ・キャステンですか……」
「学園としては誠意を見せる為に、公表するべきだが……」
「令嬢は望んでいませんでしたね。それに、境遇を考えると我々の行動が公爵を刺激しかねません」
「あぁ。学園にいる間は、我々が令嬢を守ることは出来ても学園の外では無力。令嬢がどんな扱いを受けているかなど知る由もなかった。まさか『娼婦の娘』と虐げられていたとは……」
由緒あるキャステン公爵。
そんな公爵家にその様な事実が隠されていようとは誰も気づかなかった。
「令嬢の目標が『無事に学園を過ごす事』とは……」
「その言葉が出るにはどれだけの事を経験してきたのか……」
「不正を公表し、調査の発端がニルヴァーナ・キャステンだと公爵に知られた時を考えると……」
「令嬢の為にも公表は避けるべきか……クラスはどうする? 令嬢はAクラスへの移動は望んでいない。だからと言ってこのままFクラスでは能力を生かしきれない。何か方法はないものか……」
「それなのですが、今後はAクラスの課題を自由参加の共通課題にするのはどうでしょう。令嬢限定ではなく『より多くの意見を聞く為』とすれば、問題ないかと。令嬢以外にも同じように能力を隠していた者が現れるかもしれません」
「共通課題……そうだな。それが無難か……」
「はい」
調査報告書とニルヴァーナ・キャステンが受けた再試験の答案用紙を机に並べ見比べる学園長。
「優秀な生徒なだけに、勿体ない」