軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

噂の結果

放課後の廊下での宣言は、疎らとはいえ各クラスの生徒がいた。

翌日には噂は学年に広まり、一週間もすれば知らない者が居ない程になる。

『ねぇ、あの人が?』

『そうみたいだよ』

貴族の……ましてや公爵家の醜聞は面白おかしく生徒の話題となり入学早々、キャステン公爵家の名は知れ渡る。

周囲の私を見る目は貴族を見る目ではなく、あからさまに蔑みや侮蔑が込められている。

こうなることが予想できていなかったわけではないので、なんとも感じない。

寧ろ原因が分かっている分、過去より気持ちが楽。

生徒達は私が生粋の貴族でないと分かると、侮辱することになんの抵抗もみせない。

平民・貴族関係なく私への悪評が広まっていく。

『あんな貴族もいるのね』

『高貴面しちゃって』

大して接点もなく私が彼らにどんな迷惑を掛けたのか知らないが、噂が途切れる事がない事に感心してしまう。

数週間が経てば噂も落ち着く……事はなく、以前に増して盛り上がっているように感じた。

皆公爵家の醜聞は美味しいようで、様々な味付けがされ人々に消化されていく。

特に最近の私の事を

『娼婦の娘は淫らに男を誘う』

私から男子生徒と二人きりにはならないよう気を掛けているし、くだらない会話に返事をするつもりもない。

それでも下位貴族男子生徒や平民の男子生徒にはお誘いの言葉を掛けられる。

「なぁ、俺が相手してやろうか?」

すれ違い様には卑猥な言葉を投げられるようになったが、決して足を止めたりはしない。

次第に私の話題は世間から見れば家族である、ローレルやベネディクトにも影響が出始めた。

ベネディクトは学年が違い、男性ということもあり、ゆくゆくは公爵家を継ぐからか表だっての被害はない。

ニルヴァーナと同じ学年のローレルは、令嬢からの嫌みを受けることが増え私にも聞こえてくる。

「お義姉様はそんな人ではないわ」

目立つ中庭で義妹は数名の令嬢に囲まれていた。

私はそんな集団を三階の廊下から眺めている。

必死に義姉を庇う姿は家族思いの心優しい妹のようだが、私には娼婦の娘の義姉を利用し自身は生粋の貴族だと宣言し自分の事でもないのに相手の言葉に傷つきながらも義姉の為に一人立ち向かう私は素敵でしょ? にしか聞こえない。

現に三階まで相手の声は聞こえないのに彼女の声は響いた。

彼女の表情は見えないがきっと今頃涙を浮かべ、健気さを最大限に押し出しているに違いない。

忠告を終えたのか名も知れぬ令嬢達が先に去っていき、ローレルはその場で立ち尽くしている。

「もう少し何かあっても良かったのに……」

見世物が終わると見物していた生徒も興味が失せたのか、静かに散っていくので私も窓から離れた。

教室でいつものように一人で過ごしていると、噂なのか私に聞こえるように会話しているのか分からないがローレルについて聞こえてきた。

『私見ましたよ。妹君が男性を惑わすように誘い、彼らからの熱い視線を注がれ喜んでいる姿を……』

『もうあの姉妹は婚約者候補から除外よね?』

『そうでしょう』

『娼婦姉妹ですもの』

今では私だけでなくローレルも娼婦の娘と噂されている。

噂では『男子生徒に言い寄っている姿を目撃』とあるが、王子の婚約者を目指しているあの子がそんな失態を犯すとは思えない。

きっと私のように相手から言い寄られている所を目撃されたのだろう。

私と違うのは、ローレルは『心優しい』を印象付けようと誰に対しても冷たくあしらうことが出来ず対応した結果、他の婚約者候補達に足をすくわれる形となった。

本人が気付いた頃にはかなりの人に噂が広まったよう。

私のところにも聞こえてくるなら本人は勿論、知らない婚約者候補はいないだろう。