軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

学園入学前

愛する妻を殺し存在を認めたくない娘であっても、公爵という立場から世間体を考え学園から逃れることは出来ず私は入学を余儀なくされた。

このオーガスクレメン学園は、由緒ある学園で貴族であれば誰もが通う。

卒業資格のない貴族は

『落ちこぼれ』

『欠落者』

『堕落者』

『滑落者』

と呼ばれ貴族社会では生きていけない。

オーガスクレメン学園の入学で、私の人生は更なる転落を見せる。

人付き合いの苦手な私は周囲から

『何を考えているのか分からない』

『見下している』

『冷酷』

と囁かれるようになり、社交的な義妹と常に比べられていた。

彼女は

『誰にでも優しい』

『表情豊かで愛らしい』

『公爵令嬢なのに驕りがない』

学園でも皆に愛されていた。

その噂が学園に広まる切っ掛けとなったのは、過去に私をお茶会に招待したが当日欠席の連絡を受け取り蔑ろにされた令嬢。

王子の婚約者の座を狙い、有力候補である公爵家の娘の私を陥れようと躍起になっている者。

婚約を打診したが私が『嫌だ』と我が儘を言って断られたとされる令息によるものだった。

貴族社会に疎い私は、そのような悪評が蔓延していることすら知らずにいた。

それら全ては私ではなくあの男が私を貴族社会から隔離する為に吐いた嘘。

噂を知り誤解を解こうにも、私には弁明の機会すらなかった。

後妻の娘であるローレルに私が虐げているというありもしない噂まで生まれ皆が噂を信じた。

学園は公爵家以上に居心地の悪い空間となり、最終的に過去の私は卒業式で追放。

そして卒業資格は無効。

私は

『不適合者』

『元公爵令嬢』

と呼ばれた。

学園に入学すれば過去を繰り返す事になるので、入学しない方法はないかと考えるも良案は何一つ浮かばず公爵の多額の寄付金によりローレルのオマケで私の入学も決まった。

そして今日はクラス決めの事前の試験が行われる。

クラスは到達度別でAからFの六クラス。

前回の私はAクラス。

ローレルはDクラスだった。

過去は父に認められたい一心で、毎日時間を忘れる程勉強した。

だけど、いくら良い点数を取っても私が認められることも『良くやった』と褒めて頭を撫でられ愛されることはない。

私と違い勉強が出来なくても愛されるのはローレル。

「勉強だけが全てじゃない、ローレルが居るだけで癒され周囲が華やぐよ」

あの男はローレルの頭を撫でていた。

未来を知っているので、今回は無駄な努力は端からしないと決めている。

それでも過去の無駄な努力の産物があるので大概の問題は解けてしまう。

問題も過去と一緒と言うこともあり、満点を取ろうと思えば取れる自信はある。

良い点数を取らぬよう気を付けて、問題が分からないフリをしながら簡単な問題を探していく。

全て解けてしまう私にはどの問題が難しいのか分からず、どの答えを書くべきか悩んでいる姿は試験監督からは問題が分からず頭を抱えているように映っていただろう。

この試験監督もいずれローレルを庇い私を陥れるような発言をする男。

今回の私の目的は、娼婦の娘に相応しい点数を取り周囲にも私が娼婦の娘だと認識させる事。

どのくらいの点数を取るのが良いのか分からず、どの教科も八問のみ回答することにした。

「令嬢は……Fクラス……ですね」

私は念願のFクラスとなった。

ローレルは過去と同じ、Dクラス。

家族は娘がDクラスであるのを祝う為に豪勢な食事で家族仲を深めていた。

その場に私も呼ばれたが参加は断り、いつもと同じように時間をずらし静かな食事をする。

それでも給仕を行う使用人は私がFクラスであるのを小声で口にする。

『ニルヴァーナお嬢様、Fクラスだったみたいよ』

『だから夕食に誘われないのかしら?』

同じ空間にいるのでいくら小声でも多少は聞こえてしまう。

過去の時は私がAクラスだった事を誰も知らず、あちらのパーティーのオマケの豪勢な食事もない。

この屋敷では私が落ちぶれれば落ちぶれる程彼らは喜ぶのだ。

「なら、もっと喜ばせてあげなきゃね」