軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第364話 お茶会するからね(ヒゴロノカンシャ)

お見合い大会の様子を聞いたり、私のやろうとしていることを伝えておいた。

エルストラさんとブレーリグスにも水精石を渡そうとしたのに二人とも受け取らなかった。

「あくまで散歩していたエルストラ様を護っただけだ」

「私達は家族ですからね。精霊石欲しさに動いたわけではありませんから……」

二人とも渋い表情だった。

ブレーリグスははっきりと、エルストラさんはわかりにくいがわずかに眉をひそめてたし、水精石を見ている時間が長かったように思える。

水精石は水属性の魔法使いにとってかなり価値があるものだ。なにせ「水を出す」という魔力の消耗が無くなる。しかも市場には全くでてこないものである。学園で水魔法使いが集まって学生代表を競っていた時でさえ、使っている人はいなかった。

何よりエルストラさんは私からのプレゼントを受け取り拒否するのに葛藤しているのだろう。

「じゃあ……こほん、んっん゛ぅ…………エルストラおねーさんにー、日頃の感謝を込めてー、受け取ってほしいなぁー」

「っ!?……受け取ります」

子供のおねだりのように受け取ってもらった。

今の私は大人モード、エルストラさんよりも年上に見える容姿のはずだ。

呆れられるかもとも思ったけど有効だった。甘えるように渡すとコクコクと首を縦に振って受け取ってくれた。

エルストラさんもブレーリグスも助けてくれたしね。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

一つ考えていたことがある。

リヴァイアスでの交易は順調すぎるほど順調だ。

商人は儲けたくてやってくる。

受入れの体制を整えたのもあるが買い手はたくさんいるし、何なら塩で儲けてるうちで全部買う。しかも拳闘に騎獣レース、船の修理に賭博、オークションといった魅力的なコンテンツが揃っていてなんならお店だって持てる。

選択できる商材は多くあるだろうがリヴァイアスでは食品になるものを重視して買い取っている。

その中でもお茶は商材の中でも狙って買っていた。

お茶は健康に良くて種類も多種多様だ。元々植物の苗なんかは重視して買い取っていた。野菜や果物、お茶や香辛料、それに木には使い道があり、栽培して活用できれば生活が豊かになる。初期コストは高いが。

まずは種や苗を増やすためあまり無理はできないはずだったが……リヴァイアスの恵みの雨でわっさわっさ生えた。

これらを使ってお茶会を開くのだ!

金平糖を出すだけでも良いけど……あれは大きく作るのに何日もかかるらしい。

まだまだストックはある。だけどあれは糖分の塊だ。たくさん食べ続けるのは健康にはあまり良くないだろう。

お菓子で糖分を摂取した後は仕事だ。お茶会の許可は取ったけど開催日を通達する必要があるし、その間に王都がどうなっていたのか知る必要がある。

日々報告書はもらっていたとはいえ、現地の情報はやはり違う。

積まれた報告書を読んでいくと――――ライアーム前王兄殿下がガリアス君の乗っていた飛行船撃沈の知らせを聞いて頭を抱えて体を振った後に倒れたらしい。

力を見せつけてから融和に持っていきたかったのに横から現れた上位存在によって虎の子の兵器が撃沈したのだ。なんか私のせいだとキレているらしい。私に言われても……。

次、お見合い大会の詳細……まずはシャルル。本人からの手紙では女性恐怖症で女性を遠ざけていたシャルルの泣き言ではわからないことも多かったが色々あったようだ。あまりにお見合い大会に出ないシャルルを見かねて貴族の未亡人のおばさま方が集団で突撃、一時は近衛兵が蹴散らされるが扉が重すぎる執務室でなんとか貞操の危機は脱した。小国の姫が「私こそ正妃だ」と主張し、いきなり抱きつきシャルルが突き飛ばした。他にもシャルルを取り合う喧嘩複数、惚れ薬使用複数、天井に土魔法で張り付いて風魔法で降って来た令嬢集団の襲撃二件。

次、他国から来た姫君について……彼女らにもお見合い大会の試験が行われた。となるとどうなるか、思った通り――――ブチギレである。ブチギレ寸前ではなくブチギレだ。オベイロスは大国であり、その王に嫁げると思っていた方々は思った通りにならなかった。その上に辞書サイズのペーパーテストである。初めは「こういうものか」と順応しようと頑張っていたそうだけど、終わらない理不尽問題にキレる姫君続出。しかもシャルルは顔も出さない。

元々他国からも婚姻の打診を持ちかけられていたシャルルからすれば「こういう催しもあるけど参加は自由なんで、どうぞ」としたのかな。シャルルの内心では「あ、出来ればこないで……流石に大きな催しになったしこれまでの申込みも考えれば参加は仕方ないけど出来ればこないで」とでも考えてそうだな。

他国からすれば「大国の王と縁を結べるチャンスだ。姫なんていくらでも送ってやるぜ」な状況であり、姫君らからすれば「大国の王に嫁ぐことになったぜイエーイ!」となったのかな。……渦中の中心と言うか、ダーツの的であるシャルルからは「ヘルプミー!」となるわけだ。

そもそもこんな催し、自国のみでやればいいのに………………いや、考えてみれば筆頭婚約者とされる誰を選んでも……いや、まとめて結婚したとしても力を持った勢力だけあって対立と不和が考えられる。その後も産まれてくる子供で後継者問題は起きる。すると後援する貴族は対立して争う可能性もある。そこから来るオベイロス崩壊を防ごうとしたのかな。

……シャルルも可哀想に。

なんだか文官がひっきりなしに持ってくる書類について聞くと、私への婚姻の申込みがかなりの数をしめているらしい。

これまでなら「シャルルの婚約者だから」という鉄壁のガードがあったはずがお見合い大会にライアームの息子も来たから……このお見合い大会の趣旨は恋愛や精霊の相性を確かめるものであってひかえる必要はないと気付いたようだ。……そのため貴族がこぞって申し込みしてきたのだとか。チッ。

「おねぇ様おねぇ様おねぇ様ぁああああ!!?かんっぺきすぎるでしょ!!!私だけのおねぇ様ぁぁあああ!!!!ふぎゃ……」

あ、私のストレス源がやってきた。

リュビリーナは突撃してきてすぐにジュリオンに潰された。

その手には包装されたプレゼントらしきものもあるからきっとこの大人モードを精霊の恩寵や加護と考えてお祝いを持ってきてくれたのだろう。

「キュクー」

リューちゃんがカエルのように潰れた彼女に乗っかってドヤ顔している。もっとやって……じゃない、やめてあげなさい。