軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第342話 味方X仲間

ゴーガッシュの商店で情報収集していた。

誰がスーリに近づいたのか、様子のおかしい人はいないか、そもそもスーリの目的もわからないのだからスーリがなにかしていなかったかなどなど調べる必要があった。

ゴーガッシュは商人で伝手も広く、なかなかに働いてくれた。

ゴーガッシュからしても自分の首がかかっているとわかっているからかもしれない。物凄く丁寧な扱いを受けている。

半日ほどしてパキスが連れてきたのは……予想外の面子だった。

「ドゥッガとまたやれるなんて楽しみだ」

まずはディーン、これは予想できた。

ドゥッガとディーンとパキスは一緒に行動していたし、ドゥッガはスーリと仕事の打ち合わせで話すこともあったはずだがディーンはそうじゃなかったはずだ。ドゥッガが洗脳済みと仮定すれば……ディーンに声をかけるのは妥当だろう。

「えっと、ミィアについていた人ですよね」

「はい、私が来ることでなんとか主がこずに済みそうでしたので」

数人、予想外の人が来ていた。

ポヨ家の従者の中でも年嵩の女性。

金属製の鎧をスカートの下に着用していた高齢の女性だ。

「フレーミス・タナナ・レーム・ルカリム・リヴァイアスです。皆さんよろしくお願いします」

「先に名乗らせてしまい恐悦です。私はポヨ家の守護者の一人で……閣下に名乗るほどのものではありません。ただの婆です。存分にお使いくださいませ」

「俺はトカゲ女とやりてぇ!」

それにここに来る途中でジュリオンと揉めていた角の生えた女性。

この二人をパキスがつれてきたのはかなり予想外だった。名前聞きたいんだけど……後でゴーガッシュに聞くかな。

「……無事で、無事で何よりです!!」

「エルストラさん……と、ブレーリグスさん」

「…………」

「数日間一人だったそうですがちゃんと食べていますか?どう見てもスーリに見えますが、触れてみれば確かにフリムの大きさですね!!」

凄く心配したようなエルストラさん。

私の姿はスーリに見えているようだけど頭、頬、眉、首、鎖骨、胸、お腹、脇腹、腰、足、くまなく触れられている。

苦虫でも噛んだかのように渋い表情のブレーリグス。

「…………」

「……俺は、エルストラ様を守るだけだ」

「あ、はい」

全身至る所をエルストラさんに触れられている私、そのままブレーリグスと無言で向かい合っているとそう言われた。

パキスくん?……君、もしかして実は私に恨みがまだあって私を殺そうとしてない?あんまりにもな面子だよ?

「だから、私がフリムを抱き上げていればブレーリグスは守ってくれます」

「おぉ!」

「…………」

エルストラさんをブレーリグスは守る。だからエルストラさんが私と一緒にいることでエルストラさんを守るブレーリグスは自動的に私を守る。

心強いは心強いけど……良いのかそれは?ブレーリグス自体は物凄く渋い顔をしているんだけど。

ユース老先生とラズリーさんがいることには深く安心する。

ちなみにうちのストーカーことリュビリーナはよく城に通っていたから洗脳済みと見て声をかけなかったそうだ。そして、パキスと仲の良いモーモスのことを聞くとモーモスも同じ理由。

モーモスに至っては洗脳されていると会話で確証が取れたため不意をついて杖を取り上げて縛り上げて薬品で眠らせて個室に閉じ込めてきたそうだ。可哀想に。

パキスになぜこうなったのか聞いてみる。ディーンはわかるが他の人選は意味がわからなかった。

リゾート地でまず私と懇意にしているユース老先生に声をかけて、話しているところにポヨ令嬢が現れた。話す場所が悪いとエルストラさんとセルティーさんとラズリーさんのいるお茶会の場に連れ込まれて事情を聞かれた。リーナは城で雑務をしていたらしく欠席だった。

ポヨ令嬢が私のもとに直接来ようとしたがポヨ令嬢自身にはそこまで戦闘能力が高くないので代わりに従者のお婆ちゃんが来ることに、セルティーさんは乗り気ではなくてむしろリヴァイアス侯の安全なんて知らないと言った反応だったけど国の一大事だとポヨ令嬢に説得されて角の生えた護衛の人がこちらに来た。

ラズリーさんはユース老先生について来ていた。

「――――して、どういうことか教えてもらっても?」

「ユース老先生……どこから説明すれば良いものでしょうか」

ユース老先生はいつもの優しげな目じゃない。

ラズリーさんを後ろにして、私に……いや、スーリに警戒しているのがわかる。

とりあえず私も何が起きているのかどうしてこうなったのかわからないけど、伝えられることを伝えた。

「すると、怪我や衝撃で術が弱まる可能性があるのじゃな?」

「はい、可能性というだけで確証ではないのですが」

自分の頭を無言でぶん殴ったユース老先生。

「ふむ、かわらんな。これだから上位存在というものは厄介なんじゃ……」

「爺、もっと衝撃が必要なんじゃないか?」

「やめい。しかし、確証が欲しいの……」

「あ、金属の話なんですが、銅はすぐに熱を伝えますし、鉄は長く熱を保ちますよね」

「賢者フリムであると儂が認めよう」

一瞬であった。研究でこういう話をしていただけあってこれまでの積み重ねで証明は簡単すぎた。

もしこれでだめだったら証明のために「ここの地下の私にしか入れない部屋にはエロ本が大量にあった」とか話すしか無いと思っていたがなんとか回避できてホッとした。

「スーリの目的は全くわかりませんが、助けてくれると嬉しいです」

「頼ってくれて嬉しいです!」

エルストラさんを頼ったわけではなく、パキスがいきなり連れてきたんだけどな。まぁ助けてくれそうだし、何も言うまい。

しかし、この人数でどうにかできるのだろうか?

スーリは単独でもすごく強いし、その上ここにはリヴァイアスの精鋭がいる。戦力という意味では数があまりにも違いすぎる。

「……あまり言いふらすような話ではないのじゃが、儂なら条件さえ揃えばなんとか出来るやもしれん」

「と、言いますと?」

「数代前、儂の親友はリヴァイアス当主になってな。その際に当時の建物が劣化していたこともあって儂が祝いに城を建てたのじゃ。じゃから城なら兵を止めることぐらいはできよう」

なんとリヴァイアスの城はユース老先生の作品だったようだ。

「抜け道とかありますかね?」

「いくつかあるが……酒飲みながら作ったんで詳しくは覚えとらん」

予想外だったけど、これなら手段は増えそうだ。

ユース老先生はもう私に対して警戒もしていなくて、私の前に来た。

「…………これも『人の世』よな。儂は親友を人の争いで亡くしたが、その血族が儂と関わりを持った。見捨てられんの」

ユース老先生に頭を撫でられた。

少し硬い手で、目測が外れたのか少し撫で始めは微妙だったがとても優しく撫でられている。

私も前世の知識があるからこそ子供の見た目ではあるがそれまでの経験から行動している。だけどユース老先生のように老齢とまで言える年齢にはなっていなかった。だからきっと、私には無いなにかに思うことでもあるのだろう。

「初めて学園に来た生徒の中にあの杖を持つ者がいると聞いての……初めは疑っていたのじゃがその力を見た。力を持っているのなら魔導師に推薦し、手元に置こうとも考えた。……しかし、新たな知見を得たし、賢者に推薦した。儂も人の子、やはりしがらみからは抜け出せんということか」

「後悔してますか?」

「……むしろこの出会いを精霊に感謝しとるよ。儂もまだまだやれることがある」

私の我儘に、助けてくれようとする人を付き合わせても良いものかと迷うが……それでも私は。

「命懸けになると思います。私がやる必要なんて無いのかもしれません。――――それでも私は大切なものを取り戻しに行きたいです。手伝ってくれますか?」