軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第307話 リヴァイアス@いつもの

領都に近づくと……まだまだ遠いのに発展具合が凄まじい。

何もなかったはずの場所に点在する小屋が増え、平地部分には畑が拡張されていた。

そして領都方向。もうすぐ着くそうだが。今すぐ王都に引き返してもらいたい。

あの山を超えた先が領都だろう。だってなんかある。

――――なんか、超巨大な、私の像が、ある。

ビル何階建てだろうか。

私は『魔法』と『マンパワー』というものを侮っていたように思う。

以前リーズとクライグくんが5つの店舗の改装をあっという間に行っていたが、ボルッソの子どもは乳幼児含めて200人、彼らの母親にその親族まで集まって自主的に作業に加わっているで……彼女らも含めると軽く500人が死に物狂いで働いている。

彼らだけではなくクーリディアスから送り込まれた数万の隷属兵がいる。彼らもちゃんと食べれて、ちゃんと住処を貰える現状に熱心に働いている。戦争だったしまとめて売り払われるか最悪殺されたっておかしくはなかった。彼らからすれば領主の気分次第で今だって売り払われる可能性はある。

そしてうちの住民だ。

リヴァイアスの人間は皆熱心に働いてくれる。新しい領主が幼女で心配なのもあると思うが結構な人数を超魔力水に漬けて治したのもモチベーションの要因に思える。

恐ろしいほどに発展しているのだろう。紙による報告でも「うまく行っている」「出来た」などは見てて嬉しかったし良いことだった。良いことのはずだが――――……リヴァイアスの領都を取り囲む巨大な壁。その向こうに、見慣れない建造物が増えている。

城が見えていた。それは確かなはずだったのだが……やはり私の像と。立体的に立てられたジェットコースターのような何かが見える。

「あれ!フリム様だよね!おっきい!!」

「………………おっきい、おっきいですね」

縮尺が、酷くおかしい。

遠近法さんが働いてないのか、まだ遠いのに――――とんでもないサイズの私が見える。

「うわ」

「なんですリーズ?言いたいことがあるなら言ってご覧なさい」

「流石に自分の像を作らせるのは趣味がわる――――」

「それ以上言うならお土産をたくさん贈りますよ。具体的には部屋いっぱいになるぐらい」

「……苦労してるのね」

「はい。慰めてください」

「よしよし」

横で褒めてほしそうにしているジュリオンやエール先生を無視してリーズの膝に顔を埋める。

私があれを嬉しいとでも言うと思ったか!

列車が完全に停車しても私は微動だにしなかった。

もう私の精神力は空っぽだ。もう布団に入って眠りたい。

「フリムちゃん、フリムちゃん。起きて……皆が貴女を待ってるわよ」

「はいごめんなさいいますぐちゃんとしますから――――ジュリオン」

「はい」

いやいやと駄々をこねていても現実は変わらない。穴があったら入りたい。穴がなければ掘って入りたい。……本気で動きたくなくてそこにいたのだけどディア様に言われては行くしか無い。

ジュリオンに抱かれて、列車を降りる。

「我らが主が戻ってきたぞォー!!」

「こーちょーせんせー!!」

「おぉ偉大なるリヴァイアス!!」

「おかえりなさーい!!」

「りょうしゅさまー!」

周りから純粋な声援がされて一気に気力が戻った気がする。

「ただいまです!」

あ、やっちゃった。

貴族として「ご苦労様でした。私の留守中になにか有りましたか?」みたいにキリッと偉そうに言うのが正しいはずなのに、これしか言葉が思い浮かばなかった。

「おかえりなさいませ」

「テロス?……彼女らを城に招いた後リゾート地に移動します。警護をよろしくお願いしますね」

「はっ!!」

何故かドゥッガでもアモスでもなくテロスが出迎えてくれた。

移動しながら聞いてみると、ドゥッガとアモスは両方トラブルに対応しているそうだ。

一応鎮圧済みで問題はまったくないそうだが出迎えよりも家臣として『領を滞りなく運営する』方を大事にするという判断のようだ。私もそれでいいと思う。鎮圧済み?

改めて自分の像に近づくと元のモチーフがすぐに分かった。

自由の女神像だろう。経済的に凄いってアメリカの説明をしていた時に自由の女神像を絵に描いて説明したような気がする。何を思ったのかアホ毛部分と手に持つ杖の先が光るらしい。

もちろん「ご領主様は自分を称えるような像よりも意味のあるものを作ることを重視しているのだから」と、内部は防衛基地や空を飛ぶ種族のための施設でもあるらしい。すごいヤダ。

……これも多分シャルルだな。一度しめたほうがいいんじゃないだろうかあの保護者兼任婚約者は。

壊したいところだが……リヴァイアスが気に入ったようでたまに見に来るそうだ。ちくそう……これでは自己主張の激しい見えっ張りな領主のようではないか。しかもこれだけのサイズともなれば部下をこき使うような非道なタイプ。

…………いや、いいのか?今は悪役令嬢をしているし、ポヨ令嬢ぐらいにしか「悪役」をしていることはバレていない。シャルルが婚約者をはっきりと決めるまで種明かしは無しの予定だし、今だけならありな気がする。解体はあとでも出来るだろう。きっと。

幸いなことにライアーム息子たちは到着していないし時間はある。令嬢方の移動を見送りつつ領都の様子を見る。

建物よりも高く、ジェットコースターの線路のような何かが配置されている。人の影も見えるしツリーハウスのように高所に小屋もあることから何かに使われてあるんだろう。

たくさん丸投げしておいた都市開発計画、思いつく限りのものが全部できている。

コロシアム、競馬場、オークション会場、カジノ、船着き場、造船所、リゾート施設…………あ、なんか知らない施設もたくさんあるって??

利権関係も基本最高権力者である私の一存で邪魔する人はいない。予算も潤沢、土地も建物も無料で作りたい放題。奴隷もたくさんいて働き手には困らない。物資もどんどん船で届く。

ダンジョンを大量の奴隷に使わせた結果、希少な魔導具もザックザク、奴隷たちは良いものが食べれて良い服が着れる。「うまく行けば奴隷頭だったローガンのように爵位がもらえる」とやる気満々だ。

少しばかり食糧事情はよろしくないな。ダンジョンにいる食糧めがけて奴隷も、亜人で傷を治した人たちも群がって行く。おいしい肉の取れる獣や魔獣は最近では逃げてしまうそうである。

アモスとドゥッガがいないのは少し心配だけど……とりあえずお見合い参加者たちは一度城に案内して、その後全員リゾート地に押し込める。

この地には外国からも多くの商人が来ているし、お見合い参加者に自由にさせれば……「外国の脅威を知らない」「理性もちょっとイマイチ」な彼らが問題を起こさないわけがない。確実に起こすことだろう。彼らが原因でなくとも100人を超える人間が好きにすれば攫われてしまいそうだ。

筆頭婚約者には自己責任と言いつけた上で護衛もつけて自由にしてもらうが、その他の貴族はある程度まとまって順番に外出してもらう。

ちょっとは好きに休めると思ったのに……仕事は山積み?かんべんしてくださいよ。

仕事があるのはわかりつつも、ゴロゴロ出来るって期待もあったのに!

執務室に行くと……列車での移動している時間の分も含めて、山盛りの書類が出迎えてくれた。

しかも最高権力者でないと解決できない問題は現在進行系で増えていく。領を預かるアモスとドゥッガがいないのも彼らじゃないと対応できない問題があるからだ。

人が増えれば問題も、悪い意味ではなくても報告も問題も増える。分かってはいてもこの仕事量は……フリムちゃん、見たくなかったなぁ。

「ジュリオン、とりあえず私は休憩するのでアモスの様子を確認してきてください」

「はっ!」

――――……よし、少し休むか。きっとこの場にいることも仕事のはずだ!!