軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第281話 フリム の 救出

歩き疲れて仮眠した。真っ暗な中、どこから襲われるかも分からないというのはストレスになる。

もしかしたら私が見えてないだけで数メートル先には私の動きを嘲笑ってる人たちがいるかもしれない。

今にも魔法が飛んでくるかもしれない。

お腹は空いてないが、そういう場所かもしれない。もう何日ここにいるかも分からない。ひょっとしたら数分しか経っていないかもしれないが時計もないし音も全くない。

なかなか寝付けなかったがこれ以上は限界だと無理やり寝ると……なぜかポヨ令嬢がいた。

「これは夢で、俺の魔法だ。わかるか?」

「わかんないです」

「だろうな……えーと、その、なんだ?魔法が使えてる時点で目的は達成してるんだが…………」

「髪黒い方が似合ってますよ」

「あぁ、ありがとうよ…………じゃない。せつめーしないとだな」

どうやら闇の魔法によって夢に来た彼女は寝ている人の夢に入れるらしい。

「ほとんど意味が無い魔法なんだ。一度使うと精霊がチョーシに乗って他の人の夢にも入れやがるから寝た気になれねぇし」

「はぁ」

使った相手の方角と距離がある程度わかるのと、距離や場所に関係なく相手と話すことができるという。

「たまに使った相手の家族とかとも話せることもある。知らねーやつと話すこともねーのによ。頭がこんがらがるから使いたかねーんだが…………まぁ、これでフレーミスの位置をへーかに伝えたからな」

「ありがとうございます」

「それでな……まぁ無理はすんな」

夢見心地でなんか変な気分だ。これも起きれば忘れるのだろうか?

「もしかして以前エルストラさんと喧嘩したのってこれが原因だったりします?」

「まぁな、暗くねーと近寄らなきゃ使えねーし、暗けりゃ暗いでどこの誰に繋がるかもわかんねークソ魔法だ」

「そういえば以前に話したいことがあるって言ってましたが、何だったんでしょうか?」

一対一で話す……なんだかルカリムの精神接続のような能力だな。

もしも夢ではないのなら感覚が違う。ルカリムシステムでは起きた状態でやるが思考が勝手に漏れるし意識の押し合いみたいな感覚があった。しかしこれはこの謎空間で話せているのと……なんかふわっとしてる気がする。

「…………余裕そうだな。外ではあまり時間は経ってないとは言えまだ敵がいるかもしれねーんだ。気をつけるこった」

「わかりました。でもポヨさんが敵か味方かもわかんないので色々お話したいです」

「俺は味方だ!……って言っても信じられねーよな。俺のとこのもんも襲撃に参加してたもんな。ごめんな、悪かったよ」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ポヨの魔法によって方向はわかった。

闇の迷宮は王城地下の迷路の先にあって広大だ。方向がわかれば後はルーラの索敵範囲に引っかるだろうし、それだけで充分……あとは俺が駆け抜ければ良い。敵がいないとも限らないが、迷路の出入り口はキレているフリムの部下が抑えた。

フリムの救出のためだと理由をつけて役割を与えねば容疑のかかっている全ての貴族を滅ぼさんとしていたからな。

ローガ将軍の弟君もフリムに忠誠を誓っているし、ローガ将軍の配下は貴族の次男や三男のような「当主を打倒すれば成り代われる人材」が揃っている。本気で争いが始まれば最悪国が潰れる。

流石にフリムの配下が優秀とは言え、王都にいる人数ではそこまではできんだろうし、もしもそんなことになれば後にフリムの立場が悪くなるだろう。やってほしいものだが。

迷宮を駆け抜け、急ぎ進むと足に水がかかった。

「っ!< フ リ ー ム !!>」

大声を出すが……近くにはいないか、少し警戒する。エールは俺を釣り出すための罠の可能性もあると言っていた。

この水も水の魔法使いが出しただけでフリムとは別の……ポヨ令嬢の、いやポヨ大臣の刺客がいるかもしれない。

危険とわかっている。爺に知られれば止められるだろう。

だから知られる前に俺が前に出た。これより早い方法は無いと断言できるし、もたつけばそれだけフリムの身が危ない。

フリムの不幸は、あれもこれも俺のせいだ。俺が出来ることであるのなら、命を懸けてでもやらねばならん。

――――……いい加減、決着をつけねばならんな。

一応警戒して進む。俺には先までよく見える迷宮だ。ルーラから伝わる感知にも敵はいない。しかし何かしらの特殊な方法で隠れていればわからん。

人の気配もないが、警戒して進むと氷の塊があった。床に柱のように立つ氷の塊。

見れば表面にあらびあ数字で番号が書かれてある。脱出のための目印だろう。これは俺にしか分からんな。そう思えば俺への信頼がわかって少し嬉しくもありつつも気が重くなる。信頼してくれているのに、危険にさらしている。

…………いや、リヴァイアスでは教育にあらびあ数字を取り入れているんだったな。俺への信頼で作っただけじゃないか。

いかんな、焦ってしまっていると自覚する。気を引き締めねば。

水浸しの左右の道、おそらくどちらかに進んだはず。

「<ルーラ、どっちだ?>」

「…………!」

俺の索敵には引っかからないし、ルーラに案内を任せて進むと――――あっさり見つかった。

小さく、丸まって……。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

気が付けば誰かに背負われていた。

お腹は空いていたが敵襲がどこから来るかも分からない状況に心労があった。みんなが危ないかもしれないのに、急ぐこともできなくて明確に消耗した。

敵が来たら起こすように精霊たちには言っていたが起こしてはもらえなかった。

そして………なぜか誰かに背負われている。真っ暗だが揺れと体温でわかる。

――――……水の砲弾、使うか?

「起きたか?怪我はないか?」

「シャルル?」

「無事で良かった。大丈夫、俺が来たからな」

シャルルだった。やばい。頭に向かって水ぶっ放すところだった。

でもシャルルと知って安心した。どれだけ長い間ここにいたのかわからないが安心したからか、それとも疲れでか――――失神しそうだ……泥のように眠りたい。

シャルルがいるなら周りに騎士もいるだろうしきっともう安全なのだろう。

「良いところだったのに」

「は?」

「いえ、ポヨ令嬢と夢で話して盛り上がってました」

「なる……ほど?」

「疲れているので、寝ていてもいいですか?」

「あ、あぁゆっくり休むが良い」

自分でも助けに来たシャルルに対していらないことを言ってしまったと自覚する。

疲労からかまだ頭は回っていない。

「あの」

「なんだ?」

「助けに来てくれて、ありがとうございます」

お礼を言うのなら正面から顔を見て言いたいものだが、真っ暗なままでこのダンジョンでは見れないだろう。

寝落ちしてしまう前に伝えたかった。

「……俺が悪いのだ。礼を言われるようなことではない」

「それでも助けに来てくれました」

一瞬震えたシャルル。

私に対して申し訳無さがあるのだと察する。

シャルルの部下がやったし……気にするよなぁ。彼にはどうすることも出来ないのに……可哀想な王様である。

「……後のことは俺に任せろ」

「……はい、おやすみなさい」

先程仮眠するときは不安でたまらなかったのに、シャルルの体温に安心して……凄く眠くなった。

今度は安心して、心地よく寝れた。