軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

コンテナハウス風拠点

次の日。それなりに試行錯誤した結果、連結可能なコンテナハウス風の拠点を完成させた。

さっそく、その日の夕方に街道傍の野営スポットにコンテナハウスを作っていき、連結してみる。壁の一部は取り外し可能として、隙間無くコンテナを繋ぐ。

結果、小さな公民館程度の拠点が完成した。四十畳ほどだろうか。なかなか大きいが、何万という兵士達が休むのは難しい。

ウッドブロック製だから頑丈であり金属製より遥かに軽い。馬車に幾つ積めるかが勝負になりそうだ。

試しに、どれぐらい組み合わせることが出来るかやってみたが、横幅十メートルを超えると間に柱を設置しないと耐久力が落ちそうだ。なので、基本的には横幅十メートルの拠点を更に接続していくことにする。

間に廊下のような形でコンテナを繋げると無理なく拠点を大きくすることが出来た。

「ど、どうですか!?」

大量のコンテナハウスを作り上げて疲労困憊の様相をみせるオルトから確認されて、一先ず問題なさそうだと頷く。

「よし。これで完成としましょうか。二階、三階も作ろうと思えば作れますが、今回は仮の拠点なので不要ですね。皆さん、お疲れ様でした」

完成を伝えると、オルト達は両手を挙げて喜んだ。自分達で作り上げた仮の拠点を見て回る冒険者達の姿に笑いながら、僕は次の課題を解決すべく頭を捻る。

大量のコンテナハウスもどきを運ぶとなると大型の馬車が必要だ。少し薄暗くなってきたが、それも作っておこうか。

そう思い、トラックのシャーシのような特殊な形状の馬車を作ってみる。タイヤは大きくして溝や段差で止まらないように配慮し、荷台は大きなものが載るように。

と、モノづくりにすっかり夢中になっていると、ティルが困ったような顔で僕の名を呼ぶ。

「あの、ヴァン様? そろそろ、お時間が……」

「え? あ、門限が……!」

ティルの言葉を聞き、背中を氷が滑ったかのように寒気がした。そうだ。もう暗くなっているじゃないか。

僕の門限は夕飯の時間から日没まで延ばしてもらったというのに、それも守れなかったら確実に怒られる。

「か、帰るよ! 後は明日頑張る!」

「はい!」

僕の言葉にティルとカムシンが真剣な顔で返事をした。ちなみにアルテは苦笑しつつ頷いている。

すると、僕達の異変に気がついた冒険者達が慌てて口を開いた。

「ヴァン様、今日は終わりですかい!?」

「お代は……依頼達成報酬は……!?」

そんなことを叫ぶ冒険者達に、両手を振りながら振り向く。

「大丈夫! 後で領主の館に受け取りに来て!」

返答してから踵を返そうとしたのだが、片手を挙げたオルトが待ったをかけてくる。

「あ、ヴァン様……!」

「なに? どうしたの?」

気が急く中、オルトに返事をした。すると、オルトは難しい顔で僕の後ろを指差す。

「冒険者の街から、お偉いさん達がやってきてますが」

「お偉いさん?」

何のことだろう。そう思ってオルトの指し示す方向に顔を向けた。すると、街道の奥から二十人ほどの一団がこちらに向かってきている。

ジャルパ、ベンチュリーを先頭に陛下を含め、貴族達が並んでいた。そして、先頭を歩いていたベンチュリーが試しに作ったコンテナハウスを見て、口を開く。

「おぉ……! またいつの間にこんな建物が……!」

そう言って、貴族達がコンテナハウスの様子を確認し始めた。そんな中、陛下だけはこちらに真っ直ぐ歩いてくる。

「面白いものが出来ていると報告を受けてな。見学に来たのだ」

陛下は楽しそうに笑いながら此処に来た経緯を話した。コンテナハウスに視線を移し、口の端を上げる。

「防衛のしやすさはまだ分からんが、なかなか面白いものを作ったな。実際に作ってみてくれんか」

「あ、分かりました。オルトさん、一軒建ててもらっても大丈夫ですか?」

そう声を掛けると、オルトは気持ちよく了承し、コンテナハウスを一つ作り上げた。もうすっかり慣れてしまい、組み立ては冒険者四人で二分程度で出来てしまう。

その様子に、陛下達は目を丸くした。

「まさか、野営用のテントより早く出来上がるとは……」

「相当頑丈なようだぞ」

「仮設で使うならば十分過ぎるくらいだ」

ざわざわとそんな声が聞こえてくる。ちょうどこちらに意識が向いているので、簡単に説明を終わらせておこう。

「この仮設拠点は繋げて使うことが出来るので、様々な地形に対応出来ます。例えば山道に沿って空いた空間があるなら避難所、休憩所がてら設置が可能です。なお、通常の馬車では運ぶのが難しいと思いますので、専用の馬車を用意しています。この一台で十個の仮設拠点を運べるでしょう」

そう説明すると、陛下は満足そうに頷く。コンテナハウスに感心する貴族が多い中、製作者である僕に目を向ける者もいた。

「……これが子供の考えることか?」

「確か、ヴァン男爵は十歳にも満たないと聞くぞ」

「四元素魔術の適性が無かったから辺境に飛ばされたらしいが……」

そんな言葉が聞こえると、釣られるように何人かの視線がジャルパに向いた。視線を感じているのか、眉間に皺を寄せたまま黙り込むジャルパ。

暫くは貴族達の間で僕とジャルパの話題は流れ続けるだろう。はっはっは。見る目が無かったな、ダディ。

そんなことを思って笑っていると、ジャルパの後方から、いつもより更に難しい顔をしたエスパーダが姿を見せた。

「あ、エスパーダ。ちょっと仮設する予定の拠点について話してて……」

良い言い訳が出来たことに内心喜びつつそう説明しようとすると、エスパーダは深く頷いて口を開いた。

「はい。そちらをご優先ください。ただ、陛下がこちらに向かわれる前に門限の時刻は過ぎていましたので、約束通り二時間の追加学習は行います」

「嘘ぉっ!?」

まさかの宣告に、陛下や他の貴族の人たちの前だというのに、僕は大きな悲鳴をあげてしまったのだった。