軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

332 再会と再戦

どうやら龍の谷の麓までちゃんと転移することが出来たみたいで、古竜と戦ったあの広場の中心にいて、目と鼻の先に封印門があった。

直ぐに精霊女王がちゃんと一緒に転移しているかを確認して、俺は無事に集団転移出来たことに胸を撫で下ろした。

「平気でしたか?」

「ええ。それでこの門の中にあの子達はいるのかしら?」

「はい。この封印門が閉まっているってことは、また開けないといけないんですけどね」

「……」

首を傾げられても溜息しか出てきません。

仕方なく溜息を吐きそうになるのをグッと堪え、俺は封印門へと手を着けた。

するとやはり魔力を吸われたけれど、あまり魔力を消費することなく門は開いてくれた。

「じゃあ行きましょうか」

「ええ」

そして俺と精霊女王が門をくぐるところで、凄い勢いでこちらへと走って……飛んできた二人の女性が見えた。

それは久しぶりに見た人化しているフォレノワールと闇の精霊だった。

「「母様」」

二人は精霊女王に飛びつき、そのまま抱き着いた。

精霊女王も二人を受け止め、抱きしめながら髪を撫で始めるのだった。

感動の対面なんだろうけど、少しこの場にいていいのか迷っていたところへ、遅れて龍神達転生龍とブロド師匠達がやって来てくれた。

「賢者ルシエルよ、よくラフィルーナの封印を解いてくれた。感謝するぞ」

龍神は誰も踏破したことがない迷宮へ俺をいきなり送ったことを悪びれた様子もなく、淡々と精霊女王を救出したことのみ礼を述べた。

小さいかもしれないけど、それは俺の望んだ言葉でも態度でもなかった。

イライラしてしまいそうだったので、一度龍神から目を切り、久しぶりに師匠へと声を掛けることにした。

「師匠、何だか装備が新しくなっているみたいですし、訓練も順調に見えますが如何でしたか?」

「ああ。龍達に何度も戦闘してもらうことが出来たし、戦闘で受けたダメージはすべて聖龍さんが回復を引き受けてくれたから、とても効率が良かったぞ。既に全盛期の七、八割ぐらいまでの動きを戻すことは出来たと思う。まぁそれはライオネルも同じようなものだろうけどな」

師匠の視線がライオネルに流れたので、俺は一度聖龍にお礼の会釈をしてから、ライオネルに視線を移した。

するとライオネルは笑顔で軽く頭を下げて口を開く。

「ルシエル様、まずは無事のご帰還おめでとう御座います」

「ありがとう。それでライオネルもやっぱり七、八割ぐらいまで力を取り戻すことが出来た?」

「技術的にはほぼ全盛期に近いかも知れません。ただレベルが低いので、どうしても力負けや反応が遅れてしまうことがありますね」

確かにスピード重視の師匠よりも、パワー型のライオネルの方が苦戦するか。

ということは身体能力の底上げであるレベル上げはやっぱり必要になるかな。

しかし約六十日でそこまで力を戻すなんて、やっぱりこの二人は別格なんだな。

俺は次に視線をルミナさんへと移した。

戦乙女聖騎士隊がどれぐらい力をつけたのかが知りたかったからだ。

しかし視線を向けた戦乙女聖騎士隊の面々は、皆一応に表情が硬く感じられた。

「ルミナさん、戦乙女聖騎士隊の調子はいかがですか?」

「そうだな……私達が強くないことを知ったかな。環境においての不満はない」

うわ~ルミナさんまでショックを受けているのか、声のトーンが暗いぞ。

「それではついて来ない方が良かったですか?」

すると真剣な表情で首を振りながらそれを否定する。

「いや、それはない。ただ私達は自分達が強い存在だと驕りがあったのだと自覚させられたの」

……まぁ師匠やライオネルの訓練を見たらそうなるだろうな。

努力の塊で戦闘狂だし、人外に足を踏み込んでいるから、参考にしてはいけない人達だ。

他のナディアやリディアを参考にした方がいいと思うんだけど……まぁ古竜を使役したり、精霊を召喚出来る存在だから比較は厳しいか。

「それならある程度戦闘訓練も積めたみたいですし、レベルを上げて身体能力の底上げを一緒にしましょう」

「迷惑では?」

「いえ、これからの戦いを考えると、信頼出来る戦力が欲しいです」

「そうですね。それでは戦乙女聖騎士隊をよろしくお願いします」

「「「お願いします」」」

なんで敬語になったんだろう? それに何だか意味合いが少し違う気もするけど……。

「師匠、全体で今足りないのは技術ではなく、身体能力の底上げであるレベルでいいでしょうか?」

「まあ技術が拮抗してしまえば、差が出るのは身体能力だからな。低いよりは高い方がいいだろうからな」

あまり焦る必要もないと思うけど、やることはしっかりとやっておいた方が、いつイレギュラーがあったとしても対処しやすいよな。

「それでは決まりですね。雷龍の封印されていた迷宮でレベルを上げましょう。今回はいきなり迷宮へと飛ばされましたけど、レベルだけはかなり上がったので」

「分かった。それでドラン殿達はどうする? 一応呼んで来た方がいいか」

あ~時空間属性を習得したことも、ちゃんと話さないといけないから、呼んでおこうかな。

「そうですね。師匠、すみませんが呼んできていただいてもいいでしょうか」

「ふっ気にするな。今この集団を率いているのはルシエルなんだからな」

師匠はそう言い残して、ドラン達を呼びに行ってくれた。

「おい賢者ルシエル、どうして我を無視するのだ」

イラついた顔をした龍神がいたけど、どうやら精霊女王を助けたことで、色々と我慢しているらしい。

「ええ、自分でもこの行動には驚いていますよ。まさか食料の確認もしないでいきなり高難易度の迷宮へと飛ばされるなんて思ってもいませんでしたから」

「……許せ。人が食事をしないと生きられないことを失念したいたんだ」

機嫌が悪かったのに、急に眼を逸らすとはな。

「そうですか。じゃあ久しぶりに強くなった俺と模擬戦をしていただけませんか?」

「模擬戦だと?」

人化しているから、直ぐに感情が読み取れる。

「はい。あれからどれだけ強くなったのかを見ていただきたいんです。龍神様ならどれぐらい強くなったのかも分かると思いますし」

「……何か企んでいるのか? まぁ今回は本気で行くから、負けたら飛ばされた先の迷宮で何があったのかを聞かせてくれよ」

よし。獲物はしっかりと罠に掛かったな。

どうやら勝つつもりらしいけど、今回は模擬戦という名のお仕置きだ。

ノーダメージで終わらせてもらおう。

「分かりました。じゃあ前と同じ場所で戦うというこでいいですか?」

「今回は前のようにはいかんぞ」

どうやらいきなり高難易度の迷宮へと送った罰を受けてもらえそうだな。

そう思いながら、龍神と一緒に闘技場へと先頭で向うと、その後ろを他の皆も興味があるのかついて来た。

龍神と戦う場所は相変わらず広く、そして崖の上の至る所から竜がこちらを覗き見している場所だと感じる。

しかし今回はレイススター卿と会うことは出来なかったか。

一応精霊女王のことを伝えたかったんだけど、まぁしょうがないか。

さてと、たぶんレベルがかなり上がっているから、前回の模擬戦の時よりもかなり上がったと思う身体能力だけで、少しは驚いてもらえるだろう。

でも龍神だって、世界樹の迷宮で放った手加減なしのブレスは吐いてきてなかった。

そう考えると一切油断は出来ない。

それに俺は真面目な戦闘をするつもりはないしな……ただルミナさん達、戦乙女聖騎士隊が見ているなら、少しはポジティブになれるような戦い方もしたい。

「……まぁやれるところまでやったらでいいか」

「ん? 何をぶつくさと言っているんだ」

「いえ、そろそろ龍化されないのかと思いまして。」

「ふん、的が小さければ賢者ルシエルの攻撃力は半減するだろう? この前は焦って龍の姿になったが、このまま戦えば我の方が強い」

「そうですか。じゃあ龍化したくなるようにしてあげますよ」

「言うではないか。ならば掛かって来るがいい」

龍神のその言葉が戦闘開始の合図となった。