軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

318 任意? 強制?

現在、世界樹の跡地が迷宮化しているらしく、そこへフォレノワール達の母である精霊女王が封印されているらしい。

そしてその封印を解けるのは俺だけらしい……が、そんな龍神達の会話を俺はまるで他人事のように聞いていた。

正確には他人事のようにスルーして関心を示さないようにしていれば、迷宮へ赴くのをフォレノワール達が止めてくれそうだったからだ。

しかし、どうやらいつまでも静観している訳にもいかないらしいな。

「フォレノワール、何故死ぬ可能性があると思うんだ?」

「それは世界樹の迷宮がこの世界の記憶と言っても過言ではないからよ」

あまりに抽象的過ぎる言い回しに、俺は首を傾げる。

すると龍神がフォレノワールの言葉を付け足すように口を開く。

「この世界が産まれてから存在していた魔物が、世界樹の迷宮に現れるということだ」

見たこともない魔物は確かに厄介だけど、竜達と戦った今、それで死ぬかもしれないという理由が分からなかった。

それにそんな迷宮があるのなら、魔物が溢れ出てくる可能性だって考えられそうなものだけど、その迷宮ごと封印されているということなのだろうか?

「……正直行きたくないが、行かないと邪神を退かせることが出来ないと思うのか?」

これは俺の本音だ。

何とかここで鍛えて、それで邪神を退かせればそんな危ないところへ行かなくても済むのだから。

「邪神を退かせることは間違いなく出来るだろうが、ルシエルが生き残れる可能性は五分に満たないと思うぞ」

その龍神の言葉を聞いて頭を抱えたくなる。

邪神とはいえ、相手が神であることは変えようのない事実なのだ。

豪運先生の運に縋ったとしても、分の悪い賭けになることは間違いなかった。

……元々は龍神騎士となった俺の真の力を目覚めさせるハズだったのに、どうしてこうなったのだろう? 頭に浮かぶのは微笑みを浮かべるレインスター卿だった。

しかしレインスター卿の特訓がなければ、邪神を退けさせる力そのものを俺は持ち合わせていなかったことになる。

俺はため息を吐きながら、世界樹の迷宮について概要を聞くことにした。

「それで……その世界樹の迷宮とは、一体どのようなところなのでしょう?」

今までの迷宮は転生龍達の属性がそのまま反映されたかのような造りになっていた。

ただ今回の迷宮は色々な魔物が出るというのだから、全く想像する事が出来ない。

「我らでは入ることが叶わないから、細かいところまで分からないのだ」

「分からないって……」

待てよ、そもそも龍神達が最初に話していた口ぶりでは、師匠達をここで鍛えるのが確定しているような口振りだった。

それはつまり俺が一人で迷宮へ赴くような……そういうことなのだろうか?

「そこには俺だけで行くことに?」

「我らは入ることは出来ず、送ることしか出来ない。そして迷宮へ入れるのは我らが認めた者のみなのだ」

その人数を大幅に増やすことは出来ないのだろう……。

「それでは何故、迷宮に色々な魔物が出ることを知っているんだ?」

「それは過去に我らが送った者達の死に際を見ているからだ」

「どういうことだ?」

「我らが加護を授けた者達が死ぬ際、死ぬ間際の映像が我らに送られてくるのだ」

それは……嫌だな。

「ちなみにレインスター卿は?」

「……迷宮化する前に人としての寿命が来てしまったのだ」

龍神は顔を背けてそう告げた。

そして俺はフォレノワールを見て聞くことにする。

「フォレノワール、正直に答えてくれ。精霊女王の封印を解いてほしいか?」

「……封印は解いて欲しい。されど相棒が生きていることの方が今は意味があるわ」

「そうか……」

俺は少しだけ考えながら、師匠達が転生龍達に惜敗しているところを見て、龍神に訊ねることにした。

「師匠達をここで鍛えてもらったとして、師匠達はどれぐらいの期間で強くなるんだ?」

「本人達次第だが、数か月だな」

数か月……まぁそれだけあれば迷宮はゆっくりと踏破出来るか……。

「じゃあ食事の分配をしたら、世界樹の迷宮とやらへ送ってくれるか?」

「ルシエル!?」

「フォレノワールは俺の相棒だからな。今まで助けてもらった分、少しだけここで返させてもらう。それに邪神を退ける力があれば、後は平穏に暮らしていける気もするからさ」

驚くフォレノワールに頷きながら、俺の為でもあることを伝える。

「ルシエル、あ奴らの面倒はこちらに任せろ。お前はただ生き残るためだけを考え、そしてラフィルーナの封印を解いてくれ」

するとまだ返事もしていないのに、俺の足元へ魔法陣が浮かぶ。

「慌て過ぎだろ。まだ師匠達に何も伝えてないんだぞ」

「案ずるな。こちらのことは任せろ」

「いや、そういうことじゃ……」

すると魔法陣が発光し、光に包まれる。

ネルダールへと転移した時と同じく、一瞬 重力を感じなくなるが、光が収まると、既に自分のいる場所が龍の谷の麓でないことは確かだった。

「……ないだろう。皆と話すことで、心の整理をする時間ぐらいはくれてもいいだろう」

現在の場所を簡単に表すのなら密林の中だ。

俺は念の為エリアバリアを発動させると、うっそうとした森の中をゆっくりと歩き出した。