軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魂の輝き

目黒さんの体から逃げ出した因果律の存在を、無へと返し終えたあと、残ったのは早川の魂だけだった。

目黒さんの口許にベッタリとこびりついた早川の血を、俺は闇と化した指で優しく拭いとっていく。

気がつけば俺の腕の数は無数に増えていて、その腕の先の手は、早川の血の一滴すらも残さないように微細に動かせるように、小さく枝分かれしていた。

──うわ、これは、見た目も完全に化物、だ。ま、いっか。それで、早川が助かるなら。

小刀で剥離させていく間に、無数の魂を扱い、すっかりその扱い方にも慣れた俺だが、早川の魂は、そんな俺からしても特別に見えた。

一切の衝撃も、毛ほどの傷もつかないように、俺は無数に増えた手で優しく早川の魂を掬いあげる。

そこへクロが声をかけてくる。

「ユウト様、緑川が早川姫の肉体、およびその母親を無事に確保いたしました。パスが繋がっております」

そう告げたクロの横には一体のワケミタマドローン。そのホログラムが、緑川さんと、隣に横たわる早川の姿を映していた。

俺はそれをみて、クロの働きに感謝をしながら、完璧な状態で掬いとり確保していた早川の魂をクロへとゆっくりと手渡す。

俺の伸ばした手の動きにあわせて、たゆんと揺れる早川の魂は、俺の目には輝かんばかりに眩しく。それでいて、穏やかな木漏れ日を思い起こさせるような優しさに満ちあふれていた。

俺の手が触れていたのが、申し訳なくなるほどに、それはそれは、美しかった。

だから、俺はこれで人として発するのは、最後とばかりに、クロの持つ早川の魂へと声をかける。

『もうしわけ、ない──』

俺なんかと関わったばかりに、こんなことになってしまったことへの、心ばかりの、謝罪の言葉。

これが俺の人としての、最後の言葉となった。