軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

剥離

皆の注目を浴びながら、俺はゆっくりと目の前の存在、目黒さんの腹部に埋め込まれたドローンの機体に、小さくなった刀を滑り込ませていく。

最初の目標は、この機体の切り離しだった。

──因果律の存在のまわりにこびりついている、無数の簒奪された魂をまずは解放して、と。

それは一種の、言ってみれば解体作業に近かった。

加藤さんが作ってくれたこの空間は、解体作業をするのに、とても便利だといえる。

月を経由させてダンジョンを世界中に生み出し、それを橋頭堡にして、この世界に生きるものの魂を簒奪しようとしていた因果律。

俺に対抗するために、因果律はその世界中に展開させていたダンジョンを回収して、更には目黒さんの肉体を使い、早川の魂を取り込んで顕在化したのだろう。

なかなか手の込んだことをしているのが、解体する小刀を通じて俺にも伝わってくる。

──とはいえ、はた迷惑なだけだけど。

慎重に俺は手を動かしていく。

その指使いに迷いはなかった。

闇と化したそれはコボルドだった時よりも、それどころか人の手指よりも自由自在で、ハンドメイド程度の嗜みしかない俺でも簡単に作業が進んでいく。

──因果律は、神としては、なかなかの存在感な訳か。

因果律を解体する作業は簡単だが、その結果は激しいものがあった。

それを解体するのに、この加藤さんが作ってくれた空間がなかったら、結構な被害が周りに及んでいたかもしれない。

今も切り離した魂が一つ、荒御魂と化しかける。それも仕方のないことだろう。

──望まぬ形で異界へと連れ去られて、こんな醜悪な存在の一部にされてたんだしな。少しぐらい荒ぶるよね

俺は同情を持ってそれを鎮めると、優しく解き放ってあげる。

加藤さんとイサイサの作ってくれたこのスペースがあることで、俺は安心してその一連の流れに専念できる。

そういうこともあって、俺は解体作業に勤しんでいた。

──よし、魂で出来た因果律の一番、外側の排除はこれで全部だな。

解放された魂たちが、喜んでいるように虚空へと消えていく。

果たして輪廻の輪のようなものがあるのか、ただ虚空へと消えるだけなのかは、それを見送る俺でもわからないことだった。