軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

撤退

「私が、 殿(しんがり) につこう」

メラニーの喚んでくれたイケメンモンスターの背に激しく揺られながら、ドーバーナが叫ぶ。

「無用だ! 無駄に命を散らすな」

ドーバーナを制止したのは、オボロだった。

加藤たちは、絶賛、撤退中だった。

幸いなことに往路で加藤が切り開いた道は狭く、人一人が通るのがやっとのサイズ。

そこを、オボロは天躯で。他の者たちはそれぞれメラニーの喚んだ足の速いイケメンモンスターの背に張り付くようにして逃げていた。

そんな彼らの少し後方からは、壁が力任せに押し広げられる、激しい騒音が鳴り響いている。

巨大赤ん坊達が無理やり通ろうとして通路をその巨体で押し広げているのだ。

──この狭い通路でなら、対応可能な気もするが……。いや、ここはオボロの指示に従おう。しかしオボロ、撤退中だということを除いても、やけに急いているような雰囲気がする。

先頭をかけるオボロの背を、顔をイケメンモンスターの背に伏せた隙間から覗きながら加藤はそんなことを考えていた。

「まもなく、外です! オボロ様」

イサイサが告げる。

「外に出たら、すぐさま散開しろ! のろまな奴は、死ぬぞっ」

「え、どういう?」

「わからんのか、加藤! ユウト様だっ! ユウト様が、顕現なされている!」

「あ……すんっ……あぁ」

叫んだオボロに、加藤以外ではドーバーナだけが驚いたように声をあげると、鼻を鳴らしすぐさま悩ましげなため息をつく。

「外ですっ!」

「散れっ!」

イサイサの声とほぼ同時。通路を飛び出す加藤たち。

辺りはすっかり夜のとばりが降りていて、暗い。

しかし、夜目が普通の人間程度にすぎない加藤にも、外に蠢く無数の命の気配が感じられる。

これが、コボルド達ならもっと明確に嗅ぎとれているのだろうと、なんとなく想像できる。

欠けた月の光の照らす薄暗がりの中、闇に蠢く何者たちかの気配に気圧されながら、加藤をのせたイケメンモンスターは走り続ける。

──周りにいたのはダークコボルドたちかっ!

ようやくそう視認したときだった。

加藤たちが抜け出てきた通路が、爆発する。

無理くり通路を押し出てきた巨大赤ん坊たちが、まるで噴水のように何人も何人も、その穴から噴き出すようにして、現れた。